私のことは忘れて下さって構いません。だけどあなたは死んで下さいね。
わすらるる みをばおもわず
ちかひてし ひとのいのちの おしくもあるかな
前回、百人一首関連のエッセイを書いたので、ふとこの歌も紹介したくなりました。私のかなり好きな歌です。
これは百人一首の中にある歌なのですが、簡単な言葉が多いので、たぶんみなさん似たような現代語訳をされていると思います。一応私的な現代語訳はこんな感じ。
忘れられてしまう私の身は惜しくありません
ただ、神に誓ったあなたの命が惜しいのですよ
……
こわっ!
私がこの歌の意味を知ったとき、思わず大爆笑しました。だって何百年も前の姫が、こんな豪快な嫌みを言うなんて爽快でしたので。
なろうで言う悪役令嬢に通ずるものがあると思います。
時代は繰り返されるってことですね。
私はかねがね、この歌を名歌百首の中に選んだのは、定家のウケ狙いだったんではと思っています。どう考えてもこれは情緒豊かで機知に富んだ名歌たちの中で浮いています。
わすらるる みをばおもわず
ちかひてし ひとのいのちの おしくもあるかな
ちなみにこの歌は、男に捨てられた友人の代理で詠んだ歌らしいです。取り巻きを害されて奮起した悪役令嬢なイメージです笑