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プロローグ 黒竜フェルゲニシュ戦 2

予約投稿などしてみました。

 さて、自己紹介も終わったところで、攻略に話を戻すとしよう。


 黒竜フェルニゲシュは、ヴァルハラオンラインの発売一周年に初めて行われたバージョンアップ『竜族の逆襲』で導入されたIDインスタンスダンジョンのボスモンスターである。


*ボスや中ボスといったような、いわゆるネームド(名前付き)モンスターやユニークモンスターといわれるモンスターは、フィールドやダンジョンに1匹しかいないような、フィールドモンスターが一般的ではある。しかしながら、いい武器をドロップするようなネームドモンスターがいて、そのネームドモンスターが全フィールドにおいて1匹しかいないことになると、プレイヤーの中でそのモンスターの取り合いになってしまう。

 そこで考えられた対策が、IDインスタンスダンジョンといわれるもので、ある特定のダンジョンにPTパーティが入ると、入ったPTの数だけダンジョンが複製されて、同時に多数のPTがネームドモンスターにチャレンジすることが可能になるというシステムである。


 今日は7月30日、7月1日の導入からちょうど一月が経過したところだが、まだ誰も討伐を成し遂げていない。

 我がギルド、『ヴァルハラの戦乙女ワルキューレ』も多分に漏れず絶賛攻略中である。


「HP残り20%、ドラゴンスレイブPOPまであと20秒!」


 フェルゲニシュの居室である、半径50ほどの空間によく通る少女の声が響く。


 声がした方に目をやると、そこには、黒髪黒眼に透けるような白い肌に意志の強そうな切れ長の瞳、髪の毛と同じ漆黒のローブに身を包んだウィザード、我らがGLギルドリーダーの紫苑シオンの姿が見える。

 紫苑が矢継ぎ早にスペルを唱えつつ、フェルゲニシュ及びメンバーの状況を把握しながら続けて指示を飛ばす。


「あと10、9・・・5、4、3、2、1、GO!」


 その合図に合わせたように、フェルニゲシュの眷属であるドラゴンスレイブが10匹、フェルニゲシュを中心に円を描くようにPOP(出現)した。


 ボスモンスターとの戦闘中に雑魚モンスターがPOPするというのは、ボス戦でよくあるギミックだが、現状において最高級の攻撃力を持つボスモンスターであるフェルニゲシュを相手にした状態で相手にすることは困難を極める。


*一般にボスモンスターはそれぞれ固有のギミック(例えば、雑魚モンスターの召喚、全体攻撃、攻撃無効可などがあげられる)をもっていて、それを如何に発見して対処するかが、ボス攻略のきもとなる。


 これまでの攻略によってフェルゲニシュ戦では、HP70%、40%、20%で、それぞれ3匹、5匹、10匹のドラゴンスレイブが一定時間でPOPすることが判明していた。

 ここまで攻略するのに、何度も処理ができなくて全滅を繰り返してきたものだ。


 紫苑の合図とともに、再びフェルニゲシュとの距離を詰めると、大きく息を吸い込み、その息をスキルの発動とともに一気に吐き出す。


【バトルシャウト】大きく威嚇する声が、ドラゴンスレイブのヘイト(敵視)を高める。


 バトルシャフトは、一般にタンク(盾)職といわれる職業の一つであるウォーリアの固有のタウント(挑発)スキルであって、スキル使用者を中心として9mの範囲のヘイト(敵視)を高めることができる。


 なお、フェルニゲシュにもバトルシャウトは効果を発揮するが、フェルニゲシュはメインタンクであるランサーのマチルダがしっかりとヘイトを十分に取っているため、こちらにターゲットが移ることはない。

 ヴァルハラオンラインのヘイト(敵視)システムについては、そのうち紹介をしようと思うが、とりあえずは最もヘイトをとっているプレイヤーに敵が攻撃をしてくるようになっており、敵に攻撃すること、バトルシャウトなどの挑発系のスキルを使うことや、味方のHPを回復すること等によってヘイトが高くなるようになっている。


 バトルシャウトの効果によりドラゴンスレイブ達が一斉にこちらに視線を向け、フェルニゲシュよりは小柄だが3mはある身体を震わしてこちらに飛びこんでくる。


【シャドウステップ】影が敵の攻撃受けている間に離れた位置に移動する。


 影に飛び込んだドラゴンスレイブたちが目標を失ってしばらく動きを止める。その隙をつかって、おれはドラゴンスレイブから大きく距離をとる。


 ヴァルハラオンラインでは、ランサーとウォーリアがタンク(盾)職として位置づけられている。

ランサーがその大きな盾と重装の鎧による防御力により敵の攻撃を受け止めることよって、敵の攻撃を引き受けるのに対して、ウォーリアは敵の攻撃を回避することによってタンクこなすため、ウォーリアーには攻撃を回避するスキルが充実しており、シャドウステップもその回避スキルの一つだ。


 ドラゴンスレイブ10匹同時POPをなかなか処理しきることができず、最終的に我々のギルドがとった戦術は・・・ずばり・・・


 とにかくST(セカンドタンク、サブ盾)であるおれが、雑魚のターゲットをとって逃げ回るという戦術だ!!!!


 いや、これも立派な戦術なんですよ!?通称カイト(凧揚げ)などと呼ばれていてですね・・・


「「「「「ギャァア」」」」」


 ドラゴンスレイブ達が混乱から立ち直り、怒りに満ちた目をこちらに向け、一斉に動き出す。それを確認するやいなや、おれは背を向けて、一目散に走りだした。36計なんとやら??


 不意に足元に紅い光が広がる。まさに足を踏み入れた範囲内が、その色がより鮮やかに真紅へと染まっていく。


(まずいっ)


 次の瞬間、ハルがいた空間が業火に包まれた。

もうちょい読んでもいいなと思われる方がいれば、ブックマークなど頂ければ感謝感激です!

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