正体
クスト国王シャンがピース騎士団を設立し、志願兵が集まっていた。
「皆、来てくれて本当にありがとう。ここでこの騎士団の隊長を紹介する。出て来てくれ。」
シャンの呼びかけに影から人が出てきた。
白く短い顎髭が生えた男。
「げっ!?」
ニークが驚く。
そう。
隊長はあの時の軍人だった。
「よお、俺が隊長のレン・フェン…レン・フェンスだ。よろしくな。」
レンが皆の前に立って言った。
ー あいつ、この間の名前と違うぞ?偽名か?
ニークがずっと見ているとレンと目が合う。
ー あ、あいつはあの時のガキ…。ばれたか。
冷や汗が出てきたレン。
「皆俺の命令を聞いてもらう。しかしだ、俺の意見が間違っていたりしたらそこはどんどん言ってくれ。これから大変な道のりになるが、よろしく頼む。」
その後レンがニークを呼び出す。
「俺は毎回偽名を言うが毎回違う偽名を言ってしまうんだ。お前が感のいいやつなら俺の正体に気づいているかもしれない。」
俺の名は…
レン・フェンダーだ。
ニークはレンの迫力に疑いを持たなかった。それほどの何かがあった。
「少しわかってはいた、いましたけど。そんな人がなんでここに…。」
ニークが聞く。
「単純に平和を望んでもいるが、この騎士団に実の息子がいるんだ。俺は子供を捨てた酷い親だが、心配なんだよ。」
下を向いてレンが答える。
「息子さんが…?息子さんはあなたが父親であることを知ってるんですか?」
少し驚きながら聞くニーク。
「いや、俺が父であることは知らない。あ、あとこの事は誰にも言わないでくれよ?」
「もちろんです、誰にも言いません。」
2人の会話を覗く者が居た。
あれが伝説の勇者…
レン・フェンダーか。