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ペンタハイラント〜5人の救世主〜  作者: 赤麦茶
5人の少年、少女
7/16

友の死

谷の間を軍隊が通っている。

同盟を結んだヴィット国とヴァーラ国のほぼ全軍がいる。

どうやら両国の国王が移動しているため、ここまで厳重な守りのようだ。


「ピース隊長。どうしますか?」

谷の上に四人のクスト国の兵士がいる。

「今は王を暗殺するチャンスだ。逃すわけにはいかない。」

そう言うのは隊長と呼ばれる男。ピース。

クスト国軍の隊長。

「しかし、あの守りをどうやって突破したら。」

「一発だ。クスト国の秘密兵器。この弾が透明で音もでないライフル。一発しかないが、これで決めるしかない。」

そう言うとヴィット国の王に照準を合わせた。

ー 頼む、当たってくれ!



「王様。お車のカーテンを閉めた方がいいのでは?」

忍者の格好をした男が言う。

「あぁ、そうじゃな。ありがとう。さすがワシの見込んだ男だ、ハンよ。」

その時、車の窓ガラスを貫通し王の目の前を何かが通った。

しかし、音もなかったので誰も気づかない。

「王様。少し席を外します。」

ハンがそう言うとどこかに消えた。


「ゴミが。」


ハンの手には鋭く長いかぎ爪がある。




「くそっ。皆すまない。外しちまった。」

その数秒後。とてつもない殺気が、光程の速さで4人の前に現れた。


「ゴミは処分だ。」

ハンだ。さっきまで王の側に居たハンが4人の前に飛んできた。

「俺たちをゴミだと?やってみろよ、返り討ちだ。」

そう言ってピースが背中の剣を抜こうとした時、ハンは誰もが見えない速さでピース以外の3人を殺した。

1人は心臓を一突き、1人は首が飛び、もう1人は粉々だった。

「死ねぇー!」

と剣を振ったピース。

ハンの動きは、まるで時を止めたかの様だった。

「な、何が起こった!?おい、皆なんで。」

動揺するピース。

「俺の名を聞いたことあるか?俺はシザーハンズのハンゾウと呼ばれている。」

「ハンゾウ…まさか。嘘だろ?悪魔をも倒す。レン・フェンダーと唯一互角に戦ったと言われるあのハンゾウなのか!?」

驚くピース。

「ほぉ、俺の名前を知っているのか。遥か遠くのこの国にまで噂が届いているとは嬉しいもんだ。だか、レンの名を口に出したのは余計だったな。嫌な事思い出させやがって。」

気づいた時にはピースの体は宙に浮いた。

そして、抵抗する間もなく切り裂かれた。




「シャン国王!とても辛い報告が入りました。」

ひざまずきクスト国の王に話をかける者。

「ど、どうしたんだ!」

王が少し不安げに聞く。

「ピース隊長が…」


「そうか死んだんだな。」


「はい…」


「私は勘違いしていたようだな。戦争なんてしてはいけないんだ。目の前の土地や金を手に入れるために私は軍隊を作った。ダメなんだそれじゃ。ダメなんだ。」

「いえ、王様は間違ってはいないと思います。我々の国に軍隊はなかった。しかし、作らなければ今更どうなっていたかわかりません。他の国に怯え、脅され金や食料を送り、餓死する国民。そして王様は殺される。軍隊を作っていなければ今よりも酷い状況だったと思います。」

「そうか。ありがとな。お前は優しいな。私に優しくしてくれるのはお前とピースだけだ。」

「いえ、王様なので当然です。」

「報告ありがとう。もう行って良い。」


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ピース「待てよシャン!俺たちまで戦争に参加するのか?」

シャン「我々には土地や金が必要だ。それを奪うためだ。」

ピース「戦争はそんな甘いものではないぞ!今から軍隊作って何になる?相手の戦力をほぼ削れずに犬死する人間が増えるだけだぞ?」

シャン「我々は勝利するんだ。」

ピース「違う!俺たちは平和を目指すんだ。」

|----------------------------------------------------


ー 平和、かぁ。



「おい、待て。やっぱりまだ行くな。鳩をできるだけ用意してくれ。私は平和を目指し、相手を殺さない。ピース騎士団を立ち上げる。そして、手紙で戦士を募る。」


この当時世界で手紙を送るのに使われていた手段は鷲。

鷲の方が速いからだ。


しかし、シャンは戦士を募る手紙を鳩に運ばせた。


平和の象徴、鳩を。


ピースの願った平和を叶えるため。

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