レイ
この世界は荒れ果てていた。
五つの国が利益のため戦争をしていた。
死者は、兵士だけでなく一般の市民も
含め数千万を越えた。
しかし、そんな暗い世界の中で
輝いていたものがいた。
それを…
ペンタハイラントと言う。
1つの大きな島の中に五つの大きな国がある。
1つ目の国は、芸術の国 クスト国。
歴史的な建造物がたくさんあり、
その美しい街並みを見ようと
たくさんの観光客が訪れる。
2つ目の国は、暗黒の国 ハーブド国。
古の時、この地から悪魔が降臨し、
全世界が崩壊しかけた時に、
悪魔を召喚したと疑われたため
暗黒の国と呼ばれている。
3つ目の国は、強者の国 ヴィット国。
絶えず素晴らしい指導者が生まれるため
常に世界の頂点にある。
4つ目の国は、力の国 ヴァーラ国。
全ての物事を力のみで解決しようとする
そしてとても暑苦しいため、
各国から嫌われている。
5つ目の国は、技術の国 アギル国。
全ての国はこの国のおかげで
高い技術を誇る事ができている。
その技術を売ることで儲けている。
そして、この5つの国が
自国の利益だけを求め、
醜い戦争を始めてしまった。
開始当初はヴィット国かアギル国が
圧倒的な強さで他国を滅ぼすだろうと
言われていたが、隣接する両国の境にある、
大きな川から伝染病の菌が見つかり
両の兵士が死んでしまい、
全ての国がほぼ同じ力となった。
それによって長い戦争となり、
終わりが見えずにいた。
ここはヴィット国のはずれの海近くにある村。
全ての民家がつぎはぎだらけの汚い木造住宅。
外に村人が出ていなければ、
誰も住んでいない不気味な村にも見える。
そして戦争という魔の波が
この村にも襲いかかる。
訓練により揃った足音。
金属のかすれる音。
重そうにのろのろ歩く音。
僅かでも金や食料をとやってきた軍人。
それを村人は家の小さな隙間から見ていた。
軍人の数は数えられる程の数。
6人だ。しかし、
貧しい村人には戦う武器などなく、
死ぬ前に好きなものを食べようと
狂ったように食料庫から食材を取り出し
調理もせずに食べる者。
何もできずただ祈る者。
家族で抱き合う者。
しかし、そんな中腕の長さ程の
木の棒を持ち軍人の前に
立ちはだかる男がいる。
誰の目にも無謀に見えた。
「あ、あいつ何してんだぁ!?早死にするだけでねぇか。」
皆がそう思った。
ヴィット国の軍人はその男に
銃を突きつけた。
「おい、死にたくなれば金と食料をよこせ。」
男は微笑み、軍人に唾を吐きこう言った。
「ヤダね。」
軍人は頭に血が上りそして、
男を撃った。
その時だった。
血が上っているからか?
何もわからぬ間に
銃弾を避け、そして木の棒で
頭を殴った!
村人には何が起こってるか
全くわからなかった。
鍛えられた軍人全員ですら
何も見えなかった。
血が上っているからではなかった。
男の超人的な速さにより、
軍人を倒したかと思った。
しかし、重装備の軍人には
木の棒で殴る程度では
小指の先で触れられたような
感覚しか感じなかった。
「何かしたか?」
次の瞬間6人の軍人は銃弾を放った。
ー避けられねぇ
そう思った時、体が宙に浮いた。
そして自分ではない誰かが
銃弾を受けていた。
ーじいちゃん
そう、それは。
男のお爺さんだった。
そして何かを男に投げた。
「レイ!これを受け取るんじゃ。無策で戦ってはダメじゃ…それを、その剣を使えばこんなやつらは倒せる。村を守っておくれ。頼んだぞ。」
ー俺のせいでじいちゃんが死んだんだ
男。いや、レイはその剣を抜いた。
木の棒で戦う時とは違っていた。
無謀が勇気に変わった。
瞬間レイの周りには不思議な光が現れ、
レイを包み込んだ。
「なんだコイツ!みんな撃て!」
バン