序章
帝歴1421年。
大陸のそばに浮かぶ島国、「大和」は突然の宣戦布告を受けた。
相手は大陸の大国「帝華」。
大和と帝華は数年前から大和の南西の小島群の領有をめぐり争っていたのだが、大和は戦争を回避し続けていた。
理由は簡単だ。
大和は兵器に使うような鉄などの輸入をほとんど帝華に頼っていたからである。
技術大国と称される大和だが、資源がなくては何もできない。戦争をすればそれまでだと知っていた。
そこに舞い込んだのがこの宣戦布告である。一方的もいいところだ。
圧倒的物量をもってして、半ば奇襲攻撃に近い形で襲いかかる帝華に大和が反撃できるはずもない。
帝華は大陸の中で大和に一番近い半島に国土を置く朝都をわずか一週間で蹂躙。そこから大和本土に空襲を行い始める。大和の街は次々と焼かれていった。
大和軍も黙って見ていたわけではない。
しかし明らかに資源の乏しい大和では飛行機も作るそばから落とされていく。
高度な技術を結集させた機械兵は人間よりは当然強いのだが空を飛ぶ爆撃機を数百台同時に相手するのは不可能である。
そんな戦況をひっくり返そうと大和は持てる技術力の全てを結集しある計画を打ち立てた。
それは機械の兵器の一部に人間を組み込むというとんでもないもの。
この計画により、後に大和の救世主とよばれる特殊部隊、「第虚数番機動部隊」である。
名前からもわかるように他の部隊にも詳細を知らされていない、あってないような「虚数」ではあったがその戦績は恐るべきものでこの戦争の行方を、大きく変えた。
恐るべき速さと正確性で二刀小太刀を振るう、獅鷹
隠匿性に優れ超長距離狙撃を得意とする、飛燕
もっとも応用性の広い能力を使用する、臥竜
整備士にして隊の命綱でもある、孔雀
捨て身を覚悟すれば島を壊せるほどの破壊力を秘めた、龍馬
対空迎撃においては無敵とまで言われた、天馬
彼らは戦争が休戦になった時、大和の首都、大都に姿を現さなかった。