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現在~老兵の復帰

もう少し飲んでいくというジョルジュを酒場に残して、ワイルドは一人帰宅した。

ジョルジュを自宅へ誘ったが、初対面の奥方に酒臭い顔では会えんと、ジョルジュが固辞したのである。英国紳士を自称する彼らしい断り文句だとは思ったが、その実、先ほどの話を一晩考えろ、という事なのだろう。

結局ワイルドは、20歳年下の妻へ相談をする事にした。

酒臭い夫の戯言を、彼女は真剣に聞き、そしてこう応えた。

「私はあなたがジョルジュさんになんて応えたいか、知ってますよ」と。

「俺自身も分かってないのにか?」

そう質問する夫に、妻は澄まして応えた。

「あなたが私に毎朝『愛している』って言うって約束してくれるなら、教えてあげるわ」と。

憮然とワイルドが丁重に断ったのは、言うまでもない。




次の日、ワイルドはキャシーに軍に復帰する意思を伝えた。

彼女も、妻と同じように何もかも知ったような顔をして「そう、分かったわ」とだけ応えた。

経理部長のルシール・キャロラインは、ロイスとヅィーヘンに会ったらヨロシク伝えてくれと云い、長年、一緒に整備をやって来たゴン爺は「あと30若けりゃな」と笑っていた。ソフィアとマイルズ親子もジーナとエリの事は任せな、と剛毅に別れを告げ、CCCの現在唯一のテストパイロットのサヤカ・シライは「寂しくなるわね」と握手だけで見送った。

その他にも、顔見知り数人と言葉を交わし、別れを告げ――そして、シンと会った。

「ウィルおじさんも、軍に復帰するんだって? 驚いたよ、話を聞いた時にはさ。どうしたんだよ、急に?」

ワイルドは、既に彼の問いに対する解答を用意していた。



「お前みたいなヒヨッコどもを一人前に育てるためさ!!」

極上の笑みと共に応える老兵であった。










宇宙暦309年3月12日

元地球連合海軍中尉ウィルキンス・ワイルド、地球連合統合軍本部の要請により軍復帰を承諾。同時に内惑星条約機構軍大尉としての赴任決定。


彼の乗る艦の名前は建造中の新型戦艦Vシルフィールド。



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