1/4
プロローグ またあいたい
視界が、暗い。
もう自分は事切れるのだろうと分かった。
手足も、脳も、何もかも動かない。
ふと、今までの事を思い出した。
僕が勇者になって、それから仲間達と出会って、それからの事を。
思えばあの頃は良かった。何も知らずに、魔王討伐に全力を尽くしていた僕たち。
王の陰謀、民衆は思っているより愚かな事、
魔物に宿る意志、なにも、なにもかも知らなかったね。
僕は勇者として、魔王を討伐した。
魔王が死んで、平和な世界が訪れるだろう。
でも僕もみんなもきっとあのころのようには笑えないんだろうな。
最後、脳裏に浮かぶのは好きだったみんなの顔。
いつだって明るかったのに、魔物の群れに特攻して死んだ剣士のキユリ。
胡散臭かったけど、最後には僕を庇って死んだ僧侶のソウ。
人と話すのが苦手なはずなのに、王に交渉した末に魔女として火刑に処された魔法使いのキララ。
みんなみんな最後まで一緒にいたかったのに。
ああ、もう、いしきがもたない
もしも、もしもゆるされるのならすべて
すべて
やり直したい。




