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開いているドアは見過ごしなさい  作者: 白い黒猫
物語世界の解説
12/12

あとがき


【開いていドアは見過ごしなさい】。最後まで読んで下さりありがとうございました。


 このタイトルの言葉は、映画【ホテル・ニューハンプシャー】に出てくるセリフ「開いてる窓は見過ごしなさい」から来ています。


 心に悩みを抱えた人が開いてる窓を見てその向こうにいってしまったら危ないからという意味で使われています。


 今回の主人公のサトウヒロシさんですが、あまり佐藤さん感のない流れになっていまいました。


 この物語におけるヒロシさんは、この漢字が相応しいとこの名前になりました。


 この物語の世界は、【あの世】と【この世】の中継地点の世界となっています。


 つまり天国もしくは地獄行き人がトランジットする場所。


 この世界にいる()()は、皆死んでいます。

 いずれも不条理な形で亡くなった人達。

 自分というものを受けいれ負の感情や過ちを浄化させれば天国へと旅立て、更生の余地なしと判定をうけ地獄に堕とされるかという世界です。


 路線は本当に天国へと繋がってます。

 そして鬼嗣の寺がある深潭駅は駅名から分かるように地獄があるところで、下獄判定を受けた人は寺に強制連行され自分の罪を告げられそれに咎にみあった罰を魂に刻まれたのちに地獄に堕とされます。


 主人公の完くんとお父さんと依子さんは、完のお母さんによって殺されています。

 このトランジット空間に移された時に、記憶が改竄され母親が凶行にはしった部分は消され、父親と浮気相手によって苦しみ単に自殺した事になっています。

 そより罪を分かりやすく二人に見せつける為に、担当の天部である真実さんが罪の証となる娘としての役割を演じつつ、査定をしています。


 顕慈、憂児が怪我を負っているのも不条理な死の際に負った傷がこのような形で残ってしまったからです。

 完も胸が痛いという表現があったと思いますが、精神的な意味だけでなく母親に負わされた怪我が元で物理的に痛みを感じています。

 死んだ時の恐怖や悲しみの感情が薄れるにつれ、その傷跡は薄れ、感情が乱れると痛みます。


 そんな傷を負っている完・顕慈・憂児この中で一番に憂児が天国行きを決めたのは、彼は三人の中で一番無邪気で前向きなんですよね。

 憂児は無神経に人を不快にさせる言動をしますがそこに一切の悪意はない。

 だからこの世界の天国基準には多少引っかかってもゲートの先に行けた訳です。

 とはいえ傷が残っているということは、まだ患いが取れてない状態なので移天時にエラーを起こしました。


 殆ど登場しない真田くんは一番良い子です。しかし傷の方が深くコチラに戻ってしまいました。

 エラーが、この世界において飛び込み自殺という形で現れてしまっているのがこの世界の現状です。


 現世で大規模災害が起こり、この世界の人口が急激に増えたため、天国に行くための認定作業が雑になりました。


 その結果、天国に移る過程でエラーが頻発し、この地での自殺に見える現象が増えていると見られるようになっています。


 真美さんは元人間の天部です。天国から派遣され、このトランジット空間の人に寄り添い救済するために活動しています。


 人柄もよく顔もよく明るくいい人なのですが、天国で過ごしていたこともありやや浮世離れしていて少し天然なところがあり、完を戸惑わせています。


 鬼嗣は、地獄側から派遣されている鬼集団の組織のトップです。寺は鬼組織の総本山でそこにいるメンバーは重鎮クラスの存在です。

 鬼と言っても悪の存在というのではなく、地獄において咎人の管理が元々のお仕事です。

 この世界においての鬼の組織は人間を罪の観点から見張っていて、警察などの組織も彼の部下になります。

 下獄候補の選定、下獄認定をされた人間に罪を突きつけその身に刻みこむことで認識させた上で地獄に引き渡す仕事をしています。

 できるだけ多くの人間を救済したい天側と、厳しめな基準で下獄すべきリストをあげてくる鬼側で、意見が合わず揉めがちなところがあるようです。


 鬼嗣は空いた時間を人間に混じって過ごし魂の色を観察することで、咎人とするかどうかを見極める作業をする生活をしています。

 そんな現場作業しなくても良い身分なのですが、人間が好きなのでそういう事もしています。


 魂を見る能力が高いので。若くて情状酌量の余地はある若い咎人の見極めを担当しているようです。そして現在は顕慈の調査をしている所。


 顕慈は孤独を拗らせ道端のゴミ箱や物置などを放火して楽しんで居たとこ、燃やしたところに爆発物があり、それで亡くなったという過去があります。

 コチラの世界で、人の為に生きている正義感と使命感の強い自衛官の父親を与えられ更生の道を天側は進めようとしてきますが、留守がちで顕慈の寂しさは癒やされていません。


 どんな人間の中にもあるであろう愛や優しさというポジティブな要素を見出し、人間を愛する天側のメンバーとは異なり、愚かさといったネガティブな部分も含めて鬼嗣は愛しています。


 ただ愛していると言っても鬼の感覚なのて魂の色や輝きという観点で人間を見ており、より面白い色になるように人の心を転がす所があります。


 天部のように愛や優しさを持って善の方に矯正し天国へ導こうとするのではなく、鬼嗣はそれぞれの魂に様々な試練を与え魂本来の姿をむき出しにし、その結果天国と地獄どちらに相応しいのかを判断するという形をとっています。


 魂オタクのため、気にいった魂があると構いたくなるという困った習性があります。

 今は完の魂を一番気に入り大切に、より面白く輝くように育てています。


 真田くんが親友だったのですが、記憶を改竄しその位置につき近くで魂を愛でています。

 基本人間が好きなため、真っ白で清らかな魂よりも人間臭いネガティブな感情を帯びた魂の色を好みます。だから真実さんを態と怒らせてその魂の色の変化を楽しんでいたりしていました。


『一人でも多く人間の魂を救済もしくは更生し浄化して天国に旅立たせろ』という無茶振りの天。

 そのくせ天国への入国審査はやたら厳しいと困った存在。


 その事で右往左往する天部と、その現状に呆れつつ嗤う鬼達というのが、この物語の内容です。

 ホラーというより、オカルトな物語だったのかもしれません。


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