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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

宇奈月探偵の旧友が亡くなる。

作者: 隧道坂 燈

「新年早々、送金なんて…。ありがたいことだ…。」僕はそう呟いた。

事務所には妻になった、宇奈月益海が居た。

益海は「誰からの送金なの?」そう聞いてきた。

僕は「あぁ、昔からの友達の資産家さんだよ。あれ?言ってなかった?安田益雄って人が毎年支援をしてくれているから、この事務所はかろうじて潰れないって?」と言う。

益海は「私は初めて聞いたけど…。」と何か腑に落ちない様子だった。

僕は気づく、いつもより額が大きいことに。

そして、パソコンを開いて電子メールを確認する。

やっぱり、メールが入っていた。

安田益雄からだった。

「宇奈月君。あけましておめでとう。まさか、1月1日に結婚するなんて思わなかったよ。ご祝儀的な意味も込めていつもより多めに送金します。安田益雄。」

僕はメールを見て安心した。

そして、外套を着込む。

僕は宇奈月益海に「じゃあ、安田さんにお礼を言うために出掛けてくる。」と言う。

益海は「私も行くから待って。結婚の挨拶も必要でしょ?」と言って出掛ける用意をし出す。

僕は妻の益海が用意をし終えるまで待った。


そして二人で車に乗り込む。

今日は益海の申し出で、益海の古いステーションワゴンを使って移動することにした。

僕は益海の運転動作を見て気づく「このワゴン。マニュアルなんだ…。」

益海は「あの軽バン。オートマだけど見た目が簡素すぎてなんか嫌なのよね…。小回りが効くし目立たないから、探偵業務には向いているけど…。」と言った。

そんなことなどを話しているうちに、安田益雄のマンションが近づいてきた。

僕は道案内をする。

車をマンションの来客用駐車場に止めて車から降りる。

益海は言う。「アポは取ってあるよね。」

僕は「大丈夫。車に乗っている時に今から行くって連絡をしてちゃんと、返信も来たから。」と言い携帯の画面を見せた。

資産家だけあって、マンションはちゃんとオートロックだ。

僕は部屋番号を打ち込みチャイムを鳴らす。

普段なら、すぐ開けてもらえる。

しかし、今日はなかなか開かない。

悪い予感がした。

3回鳴らしても、返事が無いので僕は管理人室をノックした。

僕は管理人事情を話して、エントランスのオートロック解除をしてもらい、安田益雄の部屋へ管理人と一緒に向かう。

とりあえず、僕は「宇奈月です。安田さん。大丈夫ですか。」と言いながらドアをノックする。

しかし、応答が無い。

怪しむ管理人は「ちゃんと、アポは取ったんですか?」と僕に尋ねる。

僕はメールを見せて、「アポは取ってあるんです…。」と言った。

管理人は呆れながらも、自動施錠になっている部屋をマスターキーを使って開ける。

僕は部屋を見て絶句した。

部屋は何者かに荒らされていた。

僕は安田益雄の携帯に電話を掛ける。

部屋の奥で着信音が鳴り響く。

しかし、誰も取らない。

嫌な予感は的中してしまった。

僕はマンションの管理人に現場保存を頼んで警察を呼ぶ。

僕の妻である益海はあまりのショックで気を失っていた。

僕は刑事にいろいろと聞かれて忙しかった。

なにせ、第一発見者になってしまったので…。

僕の妻、益海は目を覚ましていたが何故か動揺している。

第一発見者になった動揺と違う気がした。


次の日、事務所で安田益雄の遺族と話しているときだった。

益海の様子がおかしかったので僕は益海に「どうした・・・?」と問いかける。

益海は「ごめんなさい・・・。」と泣きながら謝ってきた。

僕は益海を抱きしめて頭を撫でた。

益海は「いつも、あなたの足を引っ張ってばっかりでごめんなさい・・・。」と何故か僕に謝る。

僕は訳が分からない。

益海は「現場に落ちていたあの髪留めはきっと妹の髪留めだわ…。」と衝撃の告白をしてきた。

僕は「妹が犯罪を起こそうとも、益海は益海だ。あの時とは違ってすでに更生しているだろ?だから、僕が益海を愛す気持ちには変わりが無いし、これからもキミを愛している。」と言って益海の頭を再び撫でた。

益海は「ありがとう…。」と言い大粒の涙を流した。


啓太は警察官時代の知り合いの刑事を頼る。


その刑事に益海はすべての事情を話してくれた。


その刑事は泰村太蔵は「できる限り、秘密裏に動いてみます。私の命の恩人である啓太さんのお願いですし…。」と言って席を立った。


僕らは車に戻る。

今日は僕の運転であったからいつも軽バンだ。


益海は僕の運転する車の助手席で珍しくノートパソコンを開いていた。

僕は運転中ということもあって、画面はしっかり見られなかった。


無言で何かを真剣にしている様子だった。

僕と仲良くなる以前の益海はパソコンが唯一の友達であった。

まるでその頃のような顔つきであった。

その事もあって、パソコンのスキルは僕なんかよりずっと高いし、事務所のPC脆弱性を突かれてイタズラをされたこともあった。

僕がクラッカーの集団を摘発した時。益海は別の部屋に閉じ込められていた事を思い出した。


そんなことは今は、関係ない。

僕は自分にそう言い聞かして車の運転に意識を戻す。






??「良いとこのお嬢さんが、こんなところで何しているんだ?」

???「私に目を付けるなんて、さすが??さんはお目が高いですわ。」

???「よかった、今度。個人的な関係になりませんか?」







益海はあれからずっと自分のパソコンに向かい合ってばっかりだ。

夫である、僕は益海のとなりにコーヒーを置いた。

益海はパソコンに向かい合ったまま「ありがとう」と言った。

僕は後ろで自分用に新しく買ったPCを使って、事務作業をこなした。

ここ最近、益海は事務作業もほっぽり出して、何かに夢中であった。


益海は突然背筋を伸ばして。「あぁ~。」と言って僕が益海のPCの排気口側に置いて多少の保温効果を期待させたホットコーヒーを飲んだ。

僕は何気なしに「なにしてたの?」と聞く。

益海は「脆弱性を放置して使う方が悪いと思わないと?」僕に質問を返してきた。

僕は「一理はあるけど、それだからって突いて良いわけでは無いけどな。」と言う。

益海は「今回、問題になっている妹の莉子はスマホ音痴だから。」と言い誇らしげに、莉子と誰かのチャットを僕に見せてきた。

そのチャットの相手の名前に僕は見覚えがあった。

犬嶋剛。

大物政治家だ。

僕の祖父である宇奈月俊藏と同期の政治家で犬嶋剛はとなりの選挙区から出る同じ政党の政治家だ。

僕はあまり犬嶋剛が好きじゃ無かった。

事あるごとに、政治家にならなかった僕や僕の父親に嫌味ばかり言っていたからだ。

祖父である宇奈月俊藏は尊敬できたが、僕にとって犬嶋剛は軽蔑の対象だった。

欲にまみれて、私利私欲で政治を動かす悪い政治家のようにしか見えなかった。


僕は犬嶋剛について調べる。

犬嶋剛には妻がいた。

僕は呆れかえった。

益海の妹と言うことは、益海が24歳であることを考えると、それよりは年下あるのは確実であるからだ…。


宇奈月俊藏は僕の地元では英雄視されている。

引退後もいろいろ慈善活動や地域活動に取り組み忙しい。

宇奈月俊藏の口癖は「地元を忘れた政治家はいずれ見放される。」だった。

地元とは出馬する選挙区のことである。

僕は孫という立場を利用して、宇奈月俊藏に電話を掛けて相談した。

宇奈月俊藏は「忙しいから手短に」と前置きする。

僕は「資料を送るから、それが本物か。事実かどうか調べて欲しい。」と頼んだ。

宇奈月俊藏は「出来ればやる。出来なかったそれまでだ。」と言い電話を切られた。


僕はまとめておいた資料と益海が抜き取ったチャット履歴を添付して。

その上で謝罪文と公にしないでという事を付け加えて送った。



2-3日後。

メールが来ていた。

その文体は温厚である祖父にしては珍しく怒りに満ちていた。

どうやら、事実であった上に犬嶋剛の威光を借りた莉子は安田益雄を殺した容疑がほぼ確定し、物証も揃っているのに逮捕が難しい状況であったらしい。


その事に、僕も強い怒りを覚えた。


僕は祖父に相談の上で、これらの情報を週刊誌に売り込むことにした。

祖父は自分の名前を出さなければ、良いと言ってくれたので。

祖父の名前を隠して、僕は週刊誌を発行する会社を回る。

どこも現職の大物政治家のスキャンダルであり、食いつきはいい。

そのうち一社は掲載を確約してくれた。

僕は、祖父の名前。

自分の名字を隠して上で、情報をありのままに提供した。

しかし、その会社に圧力が来たのだろう。

突然、電話越しで「掲載が出来ない。」言われる。

僕は他の所を当たって、前回は出さなかった誰が殺されたのかを出した上で交渉を進めた。

その結果、なんとか掲載を約束してもらえた。


犬嶋剛も黙っていなかった。

過去の記事捏造事件を他の週刊誌に出されて上での不買運動されたのだ。

結果、公にすることは出来なかった。

僕は失意の中、事務所の掃除をしていた。

益海も掃除を手伝ってくれていた。

そのときだった、事務所の戸が開いた。


僕は「どちら様ですか?」と言う。

その男性は「わたくし、中誓新聞の六条益二と言います。あなたに協力をしたくてここに来ました。」と言った。

僕は「新聞記者さんが、何の用ですか?」と言う。

六条益二は「週刊誌に提供した情報。私に頂けないでしょうか?」と言う。

僕は「どこの馬の骨ともしれぬ、初対面の方に情報は渡せません。」とはっきり言う。

六条益二は「そうですよね…。申し遅れました…。わたくし六条益二と安田益雄は兄弟関係で、私は安田益雄の弟なんです。兄を殺した犯人が一刻も早く捕まって欲しいんです!!!」と言う。

僕はまだ疑っていた。「証拠はあるんですか?安田益雄さんから弟がいるなんて聞きませんでしたし、そもそも苗字が違うじゃ無いですか?本当に弟なんですか?」と嘘を交えて話した。

六条益二は「僕と益雄は引き取られた親が違うんです。僕は母親に。益雄は父親に引き取られました。」

だいたい、益雄から聞いた身の上話と似ていた。

僕は「六条さん、座って下さい。」と言いソファーに座るように促す。

僕も反対側のソファーに座って対面で、「もうちょっと確証が無いと情報は渡せません。」と告げる。

六条益二は小さい頃の写真を見せてきた。

そこまでされたので僕はとりあえずは六条益二を信頼して、情報のうち益海が抜き取ったチャット履歴だけを渡した。

三日もしないうちに、六条益二は色々と情報を集めてきた。

そんな中、益海は莉子のSNSを見つけた。

莉子はSNSにこんなような発言を残していた。

莉子には本命のホストがいる。

それに貢ぐために犬嶋剛を利用している。

そう言うような発言がいくつも散見された。

益海は魚拓を取る。


六条益二は「明日、犬嶋剛が会見を開く。なんか、動揺させる良いネタは無いか?」と僕に聞いてくる。

僕は益海の方を見て。

「益海、なんか持ってる?」と言う。

益海は「啓太さん、さっきこんなの見つけて。魚拓を取ったわ。」と僕に莉子のSNSらしきモノを見せてきた。

それを覗き込んだ六条益二は「これは良いネタだ。」と言う。

僕はプリンターでその発言を印刷して、六条益二に持たせた。

僕は「健闘を祈る。」と言い六条益二に手を振って見送った。


犬嶋剛が会見を開いていた。

記者質問の時間になる。

六条益二は「莉子さんとの不倫についてですが、奥さんがいる状況で何故このようなことに?」と質問をした。

犬嶋剛は「関係ない、質問が入りましたが、他に質問がある方」と仕切り直す。

六条益二はひるまずに「莉子さんのSNSの投稿を印刷したモノがここにあります。あなた莉子さんに利用されているんですよ!!!」と言う。

犬嶋剛は青ざめた表情で「どういうことだ…。」と言う。

六条益二は印刷された、莉子のSNSを見せる。

犬嶋剛はアイコンの画像に見覚えがあったようだった。

その上で、発言を見て大きなショックを受けたようだった。

犬嶋剛はその日のうちに、もう一度臨時で会見を開いた。

犬嶋剛は殺人犯を庇っていたことを素直に認めた。

六条益二は「議員を辞めるつもりは無いんですか?」と犬嶋剛に嫌な質問を飛ばした。

その様子を僕たちはテレビ越しに見ていた。

益海は「益二さん。強いね。まるでけーちゃんとは大違い。」と言う。

僕は「悪かったな、いろいろ弱々ひ弱で。」と言った。

益海は「でも、そんな所も可愛いから好き…。」と言い、そのまま僕を押し倒してキスをした。

僕は照れながら「いきなり何してるんです…。」と言った。


益海は僕の事務所の開所祝いの日本酒を飲みながら、「けーちゃんも飲まないの?」と言う。

僕は「お酒は反面教師が居るから、飲まないけど…?」と言い断った。

益海はどんどん酔っ払っていく。

僕に何度もキスをしてきたり、逆に僕の頭を撫でてきたり。

絶対、後で思い出して恥ずかしくなるな…。

僕はそう思いながら、パソコンに向かい合った。

隣に居る益海は時折、邪魔をしてくるが僕は気にせずに趣味の文筆をした。


思えば、僕も益海と結婚してから、一人イヤホンをして文筆とか全くしてなかった。

いつも、隣に益海がいて益海とBGMを共有しながら執筆をしていた。


益海は「けーちゃん…。」と僕を呼ぶ。

「みーちゃん、どうしたの?」と僕が答えると、急に僕を抱きしめてきた。

僕は文筆を中断して、そのままになっていてあげた。


「お楽しみ中の所、すみませーん。」と事務所に六条益二が入ってきた。

僕は益海の腕をほどいて、六条益二の所へ行く。

益海は「けーちゃん行かないで。」と駄々をこねる。

六条益二は「けーちゃんって呼ばれているんですね、僕も彼女が出来たらあだ名で呼ばせようかな?」と言う。

僕は「そんなことより、何か進展あった?用があってここにこんな時間に来たんだろ?」と言う。

六条益二は「そうそう、新聞記事でこういうのを出す予定なんだ。」と言い鞄からパソコンを出して仮レイアウトの紙面を出した。

新聞らしくお堅い感じであった。

六条益二は「問題ない?」と聞いてくる。

僕は「あぁ、問題ない。あと、犬嶋剛のこういう黒い噂本当だった。それで国益を損なったことも…。」と言う。

六条益二は「今、犬嶋剛を良く思わない幹部党員たちがいろいろ教えてくれるからね。犬嶋関連の極秘の公文書なんかも複製してくれたりね。」

僕は「もう、そこまで孤立無援になったのね。まぁ、あの人嫌いだから良いけど。」と言った。

六条益二は「あれ?知り合いだったの?」と聞いてきた。

僕は「あぁ、祖父と同じ政党で祖父の出る隣の選挙区から出ていたから、それなりに面識はあるし、いろいろ言っちゃいけないような事を武勇伝として自慢してくるような、口うるさいおっさんだったよ。」と答えた。

六条益二は「犬嶋剛にされて一番嫌だったことは?記事にしないから教えて?」と言われる。

僕は「政治家にならなかった、僕と僕の父を親戚の前で公然と侮辱したことかな…。」と答えた。

六条益二は時計を見て、「じゃあ、社に戻って印刷の準備を掛けてくる!!」と言い、事務所を飛び出した。


益海はもうすでに酔いが回って寝ていた。

僕はある程度書き上げて、保存して。

パソコンを充電に繋いでスリープに入れて益海に布団を掛けて僕は自分の部屋で寝た。

僕は益海より早起きして、益海が寝ている間に近くのコンビニで中誓新聞の朝刊を買ってきた。

僕は六条益二の書いた記事を探す。

2面に大々的に載っていた。

益海は「いたた…。」と言い目を覚ました。

二日酔いのようだ。

僕は「昨日の記憶はある?」と言う。

益海はしばらく黙り込んだ後に「え?私、何かしたの!?」と言う。

僕は「昨日のみーちゃんは可愛かったよ?こっちが照れてしまうくらいに。」と言った。

益海は「何があったか、私が何をしたか教えてぇええええ!!」と言う。

僕は「いずれ、分かるから内緒ね?」と言った。

僕は事務所のテレビを付ける。

マスコミに追われる犬嶋剛が居た。


僕はテレビを消す。

益海は自分の古いノートパソコンを開く。

そして、益海は「あいつ、海外に逃げようとしている!!!」と言う。

益海は僕に莉子のSNSを見せる。

僕は祖父の宇奈月俊藏に電話する。

僕は「犬嶋剛に連絡を取って欲しい。それで莉子のために確保した航空券はどこ出発か聞き出して欲しい。」と言う。

宇奈月俊藏は「たぶん、あいつの事だからわしには言わんと思うが…。」と言い電話をガチャッと置いた。

益海はパソコンを開いて、いろいろカタカタやっていた。

僕は出掛けられる用意を調えた。

益海はパソコンを閉じて、化粧を直す。

その上で出かけの服を着た。

僕は「どうしたの?」と言う。

益海は僕に耳打ちをする。「莉子のスマホにマルウェアを仕込んだから、どこの空港に行くか分かるはず。」

僕は「そこまでしていいとは言ってない!!」と言う。

僕は顔面蒼白だった。


益海はノートパソコンを開き言う。「意外。成田とか羽田じゃなくて中部だなんて。」

僕は益海に「行くぞ!!」と言う。

そして、地下鉄に乗って私鉄の最寄り特急停車駅へと向かった。

益海が疲れた様子だったので、先頭2車両に設定される特別車のチケットを二人分買った。

列車は程なくして、空港の中に作られた駅へと到着した。

二人は列車から降りる。

そのときだった、宇奈月俊藏から電話が掛かってきた。

僕は「はい、啓太です。」と電話を取ってそう言う。

宇奈月俊藏は「犬嶋剛が切腹した。」と言う。

僕は驚いた。

そして、「それは本当ですか?」と聞き返した。

そのときだった、益海が「莉子が居るわ。」と改札の方を指さした。

僕は「おじいちゃんごめん。」と言い電話を切った。

そして、益海と一緒に莉子を追いかける。


追いついた益海は莉子の手を掴んで。

「よくも、夫の親友を…。」と言う。

莉子は悪びれる様子もなく「あの時は、生活に困っていたから仕方ないでしょ。」と言う。

近くに居た、僕の知り合いの刑事、泰村太蔵が騒ぎを聞きつけてやってくる。

そして、萩原莉子に手錠を掛ける。

莉子は益海の方を睨み付けて言う。「どうせ、あなたも私も同じ穴のムジナだった。それで満足ですか!!!満足なんか!!!満足なんでしょ!!!!!」

益海は黙って聞いていた。

僕の妻、宇奈月益海は後日、莉子のスマホのOSをクラックしてバックドアを仕込んだり、それを元にマルウェアを仕込んで、位置情報を得たことをこっぴどく叱られたそうだ。

今回は犯人逮捕に繋がったりもしたから、お咎めは無かった。

僕も一緒に頭を下げた。


益海は事務所に帰ってから「ごめんなさい・・・。」と謝ってきた。

僕は「やってしまったことは仕方ない。でも、逮捕とか収監されなくて良かった。僕もみーちゃんの居ない生活とか、もう想像出来ないし、さみしくて耐えられないと思うから。」と素直な気持ちを伝えた。

益海は「ありがとう…。私もけーちゃんの居ないと生活とか、想像出来ないし嫌だ。」と言う。

僕は「今回はいろいろあったね。でも、ちゃんと収まったし、さて、新しい依頼を探すとするかな?もっとお金になりそうな。」と言った。

益海は「そうね。私にお給料を払わなくても良くなったけど、逆に養わないといけなくなったからね?」

僕は「あぁ、そうだ。」と言い事務所を綺麗に掃除した。

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