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ハングリー 精神  作者: 狩瀬G2
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昼食

 さて、ここで私の昼食事情について説明しよう。私が籍を置く企業においては、昼食を社外でとることを良しとする社員への心遣いが行き届いた非常に優良な企業であり、私は近隣の牛丼チェーン、カレー専門店、ラーメン店、気前の良い中国人が経営する杏仁豆腐食べ放題の食堂の中からランダムで通っていた。しかしながらその日は生憎と天候が優れず、外出するのも億劫であった為、久々に我社の社員食堂へ赴く事とした。


 社員食堂は本社ビル最上階に位置し、そこへ向かう為には食堂専用のエレベーターに乗り込むか非常階段を登ってゆくしか無いのだが、何をどうしてそうなったのか専用エレベーターは1基しか設置されておらず、5階より下のフロアに部署を構える社員によりはエレベーターはいつも争奪戦状態、乗り込むまでに20分はかかる上に非常階段を使おうにも10階建てのビルの最上階まで登ってまで食堂を利用しようとする猛者など居るはずもなく、主な利用者は6階よりも上に部署がある社員であり、彼らはその立地の優位さから自らを上流階級と名乗るようになっていた。


 幸い私の所属する部署は7階に有り、階段を使えば難なく食堂までたどり着けるのだが、他人よりもほんの少し脂肪を蓄えている私にとって3階分の階段は最早登山である。ひぃひぃと息を切らしながらようやく食堂に辿り着き、日替わり定食AとB両方を注文。さぁ食べ比べるぞ!といただきますのポーズをとったその時、誰かが私の肩をポンポンと叩き声をかけてきた。


「ポンタ君が社食に来るなんて珍しいねぇ〜!僕も御一緒しちゃおうかな〜?」


20以上歳上とは思えない程声に重みが全く無い、子供のような無邪気な笑顔を携えた初老のビリケン様のような男がそこにいた


「…熊野美係長こそ、いつもの愛妻弁当はどうされたのですか?」


「奥さん2泊3日で旅行中でね〜、明日帰ってくる予定だよ〜」


そう言いながらイヤミ係長は私の対面へ腰掛ける。同席を許可した覚えはない!

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