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すぐ後ろではまだヤマグチたちがわあわあ言っていたが、慌ただしくスクリーンは消え去った。サノが通信を強制終了させたらしい。

「すごかったな…」

みなみが肩をすくめた。女の子モードに変化したニコは一人、小躍りしていた。

「パパアに会えてよかったナッ、うれしいナッ!」

「ヤマグチ技官か。こんな『魔女プリ』の変身ブローチに匹敵するほどの可愛いもんをあの人が作ってたとはねえー」

みなみが自分のタイムパスポートやスカイジュエルウォッチを眺めながら呟いた。

「パパアには年の離れた妹チャンが二人かいるからネ。女の子の心の琴線に触れるファンシーグッズがどんなものか心得てるんダヨ」

「ふーん…そういえば、さっきのヤマグチ技官、第八部隊の元副隊長だったんですよね。今の副隊長さんはどんな人なんですか?」

何となく英麻はミサキに尋ねてみた。だが、なぜかミサキは彼にしては珍しくううむ、と唸ってしまった。

「…俺の口からはちょっと」

「え?」

「何て言うか…あまりつかみどころのない人だから説明しづらいんだよね」

「えええっ!?超つかみどころがなくていまだに若干、付き合いにくいマイペースな自由人、ミサキさんにつかみどころないって言わせるなんて…余計、気になる」

「今、さりげなく失礼なことを言ったね」

「あ…すみません。つい、本音が」

「まあ、ほんとのことだから別にいいけど」

ミサキは少し笑った。別に怒ってはいないようだ。英麻はほっとした。

「おい」

ハザマの低い声がした。石ころでも投げつけてくるみたいな親しみのかけらもない声。

「そんな話、今は関係ないだろ」

まただ。

やはり刺々しい態度でまたもハザマは英麻をにらんでいた。いつもの単なる口の悪さとは違う。一体、どうしたのだろう。英麻は戸惑うばかりだった。

「ハザマ…?」

「そろそろ行くよ、英麻ちゃん」

「えっ…は、はい!」

ミサキに呼ばれて英麻は慌ててかけだした。

「こっちにある一番、大きな御所が光明子の住まいだ。御所とは皇族を始め、身分の高い人物の住居を指す」

ミサキがひときわ立派な建造物を示した。

優雅な絵のように美しい屋敷がそこにはあった。

白い壁も赤い柱も宝石のごとく輝いており、植栽の手入れも隅々まで行き届いて申し分ない。屋敷の周りに漂う空気すらきらめいているかに見えた。

すごいなあ。日本昔話に出てくるお城みたい。ここに住んでるお妃様にこれから会うのかー。

英麻はハザマのことはひとまず忘れ、これから対面する五人目の宿主について考えることにした。

藤原光明子。

現皇太子妃、そして将来、天皇の妃となる女性。

どんな人なんだろう。っていうか、私、ちゃんとお話できるのかな。住む世界百八十度、違うのに。

邪馬台国女王、卑弥呼に会った時も緊張したが、今回はそれ以上だった。

皇太子の妃が暮らすにふさわしい荘厳な御所はもう目の前だ。英麻は胸の鼓動が早まるのを感じた。

入り口の扉が近づいてくる。

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