異世界2日目(1)
魚が焼けるいい匂いがして目が覚める。
誰かに作ってもらえる朝食は久しぶりだ。
そう思い大きく伸びをするとここが外である事にふと気付く。
手足が短かく身体は子供。
頭脳は……
昨日の事が夢ではなかった事を思い知らされる。
「おはようございます」
隣で寝ていたはずのミーアは既に起きていて真剣で素振りをしている。
「遅かったね。もうすぐ朝食ができるから顔洗ってきな」
そう言ってミーアが川を指す。
川から戻ると既に全員が朝食を食べに集まっていた。
異世界の朝は早い。
朝食は焼き魚と昨日と同じきのこのスープ、硬いパンだった。
焼き魚はタンパクで美味しい。
薄い味付けは異世界特有のものなのかな?
魚を頬張っているとフィリアが嬉しそうに微笑む。
「ゼロ君の為に朝からミーアが魚を採って来たのよ」
さすがショタコン!
「ありがとうございます。」
ミーアに出来るだけ最高の笑顔でお礼を言ってみた。
「うん。いつもより早く目が覚めたからな!」
ミーアがそっぽを向いて素っ気なく応える。
うん。照れてるね。
朝食を終えると使った食器や鍋などは川で軽く洗い流す。
ファンタジーな世界なので魔法で一瞬で片付けるのかと思っていたけれども……正直意外だった。
「片付けたりする魔法とか無いんですか?」
片付けを手伝いながらもフィリアに聞いてみる。
「洗浄魔法や生活魔法なんかは消費魔力が少し大きいの。だから川や水辺が近くにある時はできるだけ魔力は使わないでこうして自然にあるモノを利用させてもらっているの」
食器についた水気を切りながらも教えてくれた。
人数分の水筒の中身を入れ替える。
「こうやって準備しておくと旅の途中に魔力切れで水が飲めなくなる心配もなくなるのよ。」
そう言って水筒を1つ渡してくれる。
うん。冷たくて美味しい水だ。
少し進んだところでミーアが足を止める。
「ここに生えているこれ……」
そう言って足元にある雑草を1本抜いて見せてくる。
見た感じ『よもぎ』っぽい。
「これは薬草の1つでポーションの原料にもなるんだ。
これ1本で小銅貨1枚ってところさ。」
そう言ってミーアは薬草を私に押し付ける。
「これを採れるだけ集めるんだけど……」
そう言って周囲を見回す。
「1つだけ注意することは魔物がきたら逃げること」
どうやらここで薬草の採取をするらしい。
役割としてはミーアとリンが周りの様子を見回り、残りの3人で薬草を採取する事になった。
薬草は根の部分は特に必要がないらしく、適当に抜いて集めていけばOKだ。
前世の草むしりよりも簡単だ。
草1本が百円になるなんてなんて異世界は楽勝なんだ!
そう思い夢中で草を毟っていく。
30本程度採取した所でミーアが声を荒げる。
「急いで準備して移動するよ!」
どうやらグラスウルフの群れが近づいて来ているみたいだ。
名残惜しそうにまだまだ手付かずの薬草達を尻目に移動を開始する。
後に聞いた話だと採取に夢中になり過ぎて魔物に気付かないで襲われて事故死する冒険者はけっこう多いらしい。
ミーアを先頭に急いで場所を移動する。
1本100円が10分程度で30本……3000円!
時給に計算すると1時間で18000円!!
採取が美味しいビジネスだと頭の中で素早く計算しながらミーアの背中を追った。
足早に進んで行く道中、よく見るとよもぎはあちこちに生えている事がわかる。
崩れ落ちそうな崖の近くや見通しの悪そうな場所に比較的多くなっている。
採取中に足を滑らせて滑落する可能性や見通しが悪く魔物が来ても気付かない様な場所の採取は避けて行動しているのだろう。
しばらく歩いて行くと再びミーアが足を止める。
「あっちの方にスライムがいる」
ミーアが指差す方向を見ると3匹のゼリー状のモンスターが寛いでいる様にしている。
スライムって言うとド◯クエの初心者専用の最弱モンスターか?
小説で見る魔法しか効かない核を破壊するタイプか?
どっちなんだ!?
そう思い一歩後退る。
「近くに他の魔物はいなさそうだし、ちょっとゼロの実戦練習兼ねて倒してみよっか?」
ミーアの笑顔が眩しい。




