レヴィタニア
強固な白石で造られた高い壁に囲われた門の列に並ぶ。
ここは首都『レヴィタニア』だ。
この国は『神の国セントラルヘヴン』と違い獣人への差別がなく、誰でも都市に入ることができる。
なので今オレ達が並んでいる列には獣人だけではなくヒューマンも平等に順番待ちをしている。
流石に貴族になると専用の入場口があるそうだが、平民は商人も獣人もヒューマンも皆平等だ。
ただし、街に入る税は獣人の方がかなり高い。
ヒューマンは銅貨1枚なのに対し、獣人は銀貨1枚もする。
時々門番に
「俺はヒューマンだぞっ!
なぜ獣臭いやつらと同じ扱いを受けねばならんのだっ!!」
などと大声を上げている人物を見かけるが門番も慣れているのかあっさりと御用になっているのが見てわかる。
門番はヒューマンが1人と獣人が4人だ。
彼らの態度を見る限りではヒューマンが責任者なのだろう。
街にはネームカードの確認と税を支払うだけで入る事ができた。
これといった取調べなどはない。
『レヴィタニア』は何というか獣人の町とは違い……
美しかった。
道はきれいに舗装され建物はどれもカラフルで美しい。
壁はベージュを基本としたものが多く青い屋根や赤い屋根の家なんかもある。
『シルバーレイク』とは違い街のあちこちにはゴミ箱が設置され清潔が保たれている。
清掃する獣人の姿も見える。
屋台が並び魚貝類の焼ける良い匂いが辺りに漂っている。
「レヴィタニアに来たら先ずは貝の串焼きだ!」
そう言ってミーアは近くの屋台に直行する。
ミーアに続きパーティー全員が串焼きを買って食べる。
巻貝の串焼きを齧る。
味付けは塩味。
この世界に来て初めての海の幸なので非常に美味しいのだが醤油が無いのが少しだけ悔やまれる。
「この街は観光で来る人が多いから変わった物が売っている店が多いんだよ」
ミーアが自慢気に話す。
彼女の視線の先には貝でできた装飾品や珊瑚や魚の模型などが並んでいる。
「他にもこの土地でしか使えない様な物も置いてあるぜ!」
バンは釣具を見る。
彼はじっくりと吟味してから購入を決めるタイプの様で一通り目を通すが結局何も買わずに店を後にする。
どうして買わないか聞いてみると
「ここは土産物用なので本格的に使える物は売っていない」との答えが返ってきた。
ヤシの実ジュースを買いみんなで飲む。
街のあちこちにはヤシが植えてあり緑豊かな景観が街行く人々の目を楽しませてくれる。
潮風が気持ちの良い。
遠くでウミネコの鳴き声がうっすら聴こえる。
この世界にもウミネコは存在するのだろうか?
そんなことを考えていると本日の宿に到着する。
名前は『うみねこ亭』
宿の外観から察するにまあまあの宿だろう。
受付には可愛らしい三毛猫の獣人の女の子が座っている。
部屋は2部屋でバンだけ別だ。
部屋は白で統一されており窓は全開に空いている。
窓から見下ろす景色は買い物を楽しむたくさんの人と少し遠くに海が見える。
「せっかくだから少し観光しよっか?」
オレがぼんやり海を見ていると後ろからミーアの声がする。
「そうね、せっかくここまで来たのだから楽しまなくちゃね」
フィリアはそう言って貴重品を纏める。
「海老」
リンは海老が食べたいそうだ。
「オレ海が見たい!!」
この世界の景色をもっとたくさん見たい。
「決定ね!」
ミーアは指を一本立ててにっこり微笑んだ。
バンと合流してパーティー全員で街の高台に移動する。
高台は観光スポットになっており街を一望する事ができる。
辺りは夕方で日没までにはあまり時間がない。
足早に通り過ぎる観光客に負けじとオレ達も歩を早める。
薄っすらと汗をかいてきた所で高台の街を見下ろせる一番良い場所に辿り着く。
「あそこの一番高い建物がレヴィタニアの城だよ」
ミーアが横で説明してくれる。
レヴィタニアの城はこの街全てを見通せる様に夕陽が沈む海を背にして厳かにそこに存在していた。
海は湾の様になっており高い崖が湾を囲う様に三日月の様な形をしている。
海竜などが現れた場合、魔物を湾に誘き寄せ陸から海からの両方の攻撃で殲滅するのであろう造りをしている。
海上には幾つかの船がポツポツと見える。
「あそこにある青い屋根の一番高い建物が教会だ」
ミーアが指差すその先は街の中心だと思われる場所に一際きれいで大きな建物が見える。
この世界の教会はどれも立派な造りをしている。
「きれいでしょ?
この国は観光にも力を入れているから景観だけは世界一美しいのよ」
そう言ったフィリアの横顔はきれいで少しだけ切なかった。




