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オレは全速力で崖の上から落とされた人物の落下地点へと向かうとそのままの勢いで空中へ飛んでそいつをキャッチした。
掴んだ感触はモフッとしている。
きれいに着地し腕の中を見るとそいつは『レッドベア』の子供だった。
レッドベアの子供はボロボロに傷付いておりかなり衰弱している様子だ。
「フィリア!回復魔法を頼む!!」
オレは慌てて声を張り上げる。
このままでは死んでしまう。
フィリアはレッドベアを見て一瞬躊躇するが回復魔法をかけてくれる。
「どうした!?」
慌てた様子でミーアが走ってくる。
「誰かがこの仔を崖から突き落としたんだ」
オレはさっき見た事をミーアに伝える。
「……なるほどね」
ミーアは崖の上を睨みつける。
「チッ、気を付けろ……親が来るぞ!」
バンは舌打ちするとそう言って周辺の様子を探る。
周囲を警戒して身構えていると崖の上から2匹のレッドベアが降ってきた。
レッドベアは通常では考えられないくらい怒り狂っている様子だ。
レッドベアの子供はフィリアの魔法で回復しているがこの子を渡したところで、
「はいそうですか」と引き下がってくれる様には到底見えない。
Dランクの魔物レッドベア。
今のパーティーの実力なら難なく倒せるだろう。
レッドベアが襲いかかってきた瞬間ーーーー
「殺しちゃダメだ!!」
オレは全力で叫んだ。
ミーアとバンは一瞬躊躇しながらも魔物の攻撃を受けるだけに止めた。
「ゼロ!相手は魔物なんだぞ?」
ミーアが言う。
「わかってる。
だけどうまく言えないけれども……
これは何か違うと思うんだ!」
自分でも何言っているのか理解できない。
「戦闘不能にする」
リンはそう言って雷の魔法の準備をする。
「守りは任せて下さい」
フィリアはそう言って仲間全員にマジックバリアの魔法をかける。
「ライトニング」
リンが呟くとスタンガンの様な電撃がレッドベアを襲う。
レッドベアは2匹とも気絶状態になり、子供のレッドベアは心配そうに近くに擦り寄っていく。
「……ごめんなさい」
オレは仲間に謝罪する。
戦闘中に不用意な発言で仲間を危険に晒してしまった。
それ以上に何もできない自分が不甲斐なかった。
仲間達は複雑そうな顔をしてお互いの顔を見合わせる。
「……まあ、全員無事だったんだから良かったじゃん!」
ミーアはそう言ってオレの背中を叩く。
「来るぞっ!!」
バンが突然崖の上を見て大声を上げる。
崖の上から5人の人間がふわりと宙を舞う様に目の前に飛び降りてきた。
「おい!おまえら俺は侯爵の息子だぞっ!!」
目の前に降りてきた1人の16歳位の少年が偉そうな態度でそう言った。
少し後ろには似た様な服装をした同じ歳位の男女を従えている。
侯爵の息子を中心に左右に従うは赤髪でそばかすの男と太っちょデブの金髪の男。
少し後ろに赤髪おさげでそばかすメガネの女と金髪つり目女がいる。
まるで戦隊モノのヒーローの様な見事なジャンプと整列だ。
きっと彼らの足元には立ち位置を決める為のバミでもしてあるのだろう。
「?」
オレ達は言っている意味がわからないので仲間の顔をお互いに見回す。
「リチャード様……もしかしたら獣人は侯爵が何かわからないんじゃないっスか?」
赤髪でそばかすの少年が偉そうな少年にそう伝える。
「確かに獣人は無知だからな。
いいか!俺はヒューマンの貴族様だぞ!!」
再び偉そうな態度のリチャード様が真面目な顔でそう宣言する。
「つまりお前達よりも偉いって事だ!」
もう一人の子分金髪の太っちょの少年が偉そうな態度でそう言った。
「リチャード。
それじゃまだリチャード様の凄さが伝わらないわよ」
赤髪でおさげ。そばかすメガネの女がそう言って腰を気持ち悪くくねらせる。
「そうだな!
俺は王都魔法学園の首席だからな!」
更にテングになる偉そうなリチャード様。
「それに学校一のイケメンでしょ?」
金髪で目つきの悪いの女はそう言ってリチャード様にウィンクをする。
正直見ていて気持ち悪い。
「さっきのアレってひょっとして君達は空を飛べるの?」
空気が緩くなってきたのでオレは思い切って聞いてみた。
「ふざけるな!
なぜ俺様の様な偉い貴族様がお前らの様な薄汚い獣人共に我が学校の支給品である魔法道具『ホバーブーツ』の存在を説明せねばいかんのだ!!」
リチャード様は割と丁寧に説明してくれる。
「リチャード様……バッチリ言っちゃってるっスよ」
赤髪の子分……子分Aでいいや。はツッコミを入れる。
「さっきのレッドベアは貴様達の仕業か?」
ミーアが剣を向け殺気を放ってリチャード様に言う。




