訓練2日目
目が覚めるとギルドで間借りしている自分の部屋のベッドの中だった。
ベッドから降りて伸びをする。
部屋の隅にはバンに買って貰った『魔法のリュック』が置いてある。
もちろんリュックの中には仲間に買って貰ったアイテムがそのまま入っている。
昨日私の訓練中にミーアが届けてくれたらしい。
コンコン……
ドアをノックする音がする。
「ゼロ君起きてる?」
声から察するにミレーユだろう。
「はい。今起きたところです」
返事をしてドアを開ける。
「ゼロ君おはよう。
朝食が出来たから用意できたら降りてきてね」
ミレーユは朝から素敵な笑顔を見せてくれる。
「おはようございます。
ありがとうございます、すぐに用意します」
お礼を言ってドアを閉める。
身支度を整え装備アイテムなどが入った自分のリュックを持って部屋を出る。
私の身辺調査期間中は部屋の代金や食事代などの必要経費は全てエリックが払ってくれることになっているのでお金の心配はいらない。
その代わりに後でどんなムチャを要求される心配ではあるが……。
1Fに降りて酒場へと向かう。
ギルドの酒場は食堂も兼ねており、早朝だというのに昨夜の歓迎会からいまだに飲み続けている冒険者も何人かいる。
席に座ると直ぐにミレーユが朝食を運んできてくれる。
「あの人達はいつもあんな感じで飲んでいるから気にしなくていいからね」
冒険者達を見ているとミレーユはそう言って顔をしかめる。
どうやら彼女にとって彼らは悪い冒険者の見本なのだろう。
「はい。ありがとうございます」
朝食を受け取り礼を言う。
そういえば昨日最初にギルドに来たときもあんな感じの人達が居たような気がするな。
朝食はきのこのスープと固いパン。
肉の香草焼きと豆と芋の炒め物だった。
さすがに冒険者の店だけあって朝食だというのにかなりボリュームだった。
食事を終えてすぐに訓練場へと向かう。
訓練場に入ると既にエリックは真ん中に座り込んで武器の点検をしていた。
武器は剣が3本とナイフが10本以上並べてある。
「おはようございます!
すみません、お待たせしてしまって」
できればエリックよりも先に来て準備をしておきたかった。
「おはよう!
昨夜は遅かったからね」
エリックは爽やかな笑顔を向けてくる。
「それじゃ軽く素振りでもしてみようか」
エリックはそう言って木刀のある場所へ向かう。
私はエリックについて行き木刀を手にする。
昨日と違いエリックは通常サイズの木刀を手に取る。
軽く素振りをする。
昨日より木刀が手に馴染んできたようでかなりシックリくる。
「うん。いい感じだね」
エリックも関心した様にうなずいている。
「それじゃ今度は奥にある『わら人形』に思い切り攻撃してみようか」
そう言ってエリックは先ほど点検していた剣を3本拾う。
「はい!行きますっ!!」
私は『わら人形』のある所まで走ってそのままの勢いで木刀を横に全力で振り切った。
バシィ!!
物凄いいい音が響く。
控えめに言っても、もう少しで『わら人形』を破壊する事ができそうなほどの良い一撃だった。
「魔力を使っていない攻撃にしては大したもんだね」
エリックは褒めてくれる。
「それじゃ次はこれで同じ様にやってみて」
エリックが3本のうちの1本……見た目普通の剣を渡してくる。
さっきと同じ様にってことは助走と勢いをつけて……
そう思い先ほどいた辺りまで戻って『わら人形』目掛けて先ほどと同じ様に全力で剣を振るう。
ズバッ!!
『わら人形』はきれいに切り落とされる。
これはめちゃくちゃ気持ちいいぞ!
想像以上に上手くいったので思わず顔がにやけてしまう。
「うん、さすがゼロ君!
それじゃ次はこっちを使って同じ様に……」
今度は少し豪華な装飾がされた剣を手渡される。
さっきと同じ様に助走をつけてやってみる。
ズバッ!!
先ほどと同じ様に『わら人形』はきれいに切り落とされる。
「うん、やっぱりそうなるか……
それじゃ次はこれを使って同じ様にやってみて」
エリックは豪華な装飾と宝石のついた剣を手渡してくる。
もしかしてコレって何かの実験なのかな?
一瞬そんな疑問が頭をよぎる。
とにかく今はエリックの言う通りにやってみる。
1、2回目と同じ様に助走をつけて全力で剣を振るう。
『わら人形』に当たる瞬間に宝石が光り、剣が炎に包まれる。
ズバーンッ!!
『わら人形』はきれいに切り落とされ、その切り口は炎で燃えている。
数秒の後切り落とされた『わら人形』は灰になった。
マジですか!?




