獣人組合歓迎会(2)
「『レヴィタニア?』」
初めて聞いた国の名前に興味をそそられる。
「今いるこの国が『神の国セントラルヘブン』
君の憧れるヒューマンが支配していて獣人達の偏見がきつめの土地さ。
名物は『天空城』その名の通り天空に浮かぶ城でこの大陸を支配する王様がそこに住んでいるんだ。
僕だったら地面に足がついていないと落ち着かないから、きっとヒューマンっていうのはよっぽど脳みそが空っぽなんだろう。
空に浮かんじゃうくらいにね」
エリックがそう言うと大きな笑いが起こる。
「「ワーッハッハッハ!!間違いねー!!」」
ギルド内が笑いに包まれる。
「『レヴィタニア』はこの国から北に位置する少し小さめの国。海辺にあって海産物が有名なんだ。」
エリックがこの世界の地理を説明してれた。
エリックの説明に関心していると頼んでいた肉料理が運ばれて来る。
「ここは海辺が遠いから海の幸がなかなか食べられないのが残念なのよね。
その分肉料理には期待できると思うわ」
ミレーユがウィンクして料理を置いていく。
きっと彼女が運べばどんな料理もご馳走になるんだろうな。
「『レヴィタニア』の兵士だったと言っても俺は兵長のただの奴隷だったんだぜ」
グレンが言う。
「弱い兵長の下で働く強い兵士。
どっちが兵長かわからなくなっちゃうよね〜」
エリックのグレンの評価は物凄く高そうだ。
「……よせよ」
グレンは少し照れて手を振る。
「ある日、いつもの様に海にシーサーペイントが出たんだ。
俺は得意のハルバートを手に大立ち回りをかましてやった。
何事もなく無事に戦闘が終了するハズだったんだ。
ところがシーサーペイントとの戦闘中に誰も注意していない上空からワイバーンが突然襲ってきた。
……俺は兵長を庇ってこの通りだ」
そう言ってグレンは亡くなった方の腕を見せる。
「奴隷として主人を庇って名誉の負傷した事を理由に兵士としての退職金を貰い奴隷からは解放されたってこと」
エリックがグレンの話の顚末を説明した。
「まあ、ぶっちゃけ今の生活の方が兵士をやっていたあの頃よりも自由な金と時間があって楽しいんだけどな」
グレンがそう言うと冒険者達ははやし立てる。
「「出た出た〜!」」
「だって自分で稼いだ金の殆どが税で没収されるんだぜ〜!
俺は獣人である事を正直誇りに思う!!」
グレンはそう言ってエールを飲み干す。
「良いぞー!!」
エリックも一緒になってはやし立てている。
「それと……」
いきなり席を立つとエリックはジャミルの両肩に手を置く。
「……なっ、なんだよ」
ジャミルの動揺が凄い。
「これなーんだ?」
エリックが見せたのは『金の髪飾り?』
「人の物盗んじゃダメでしょ?
これはヒューマンの貴族の品だからジャミル死刑!」
そう言って笑うエリック。
「いや……違うよ!拾ったんだ!!」
ジャミルは言い訳をするが誰も聞いてくれない。
「でも、大丈夫!!
僕がちゃんと返しておいてあげるからね。
って事で今日の支払いは宜しくね!」
エリックはそう言って伝票をジャミルに押し付ける。
多分最初からこれが狙いだったんだろうな。
「待て!待ってくれよ!
俺金なんて持ってねーよ!!」
そう言って涙目になるジャミル。
「仕方ねーな!」
そう言って席を立ちジャミルの財布を奪うグレン。
「俺の弟弟子の祝いだ!!
足りない分は俺が払おう!!」
グレンはジャミルの財布の紐を持ちぐるぐるとまわしながらそう言う。
「「「おおおーーーー!!グレンさんゴチになります!!」」」
再びギルド内にいたほぼ全員がエールのお代わりをして盛り上がる。
最初より明らかに人数が増えて席が足りずに立ち飲みをする町の人達の姿も目立つ。
ミーア達の姿はない。
「ミーア達には罰として僕からの依頼を受けて貰っているからしばらくは帰ってこないよ」
どうやら無事であることは確からしい。
っていうかエリックは読心術でも使えるのだろうか?
「エリックの訓練は厳しいけれどこれを乗り越えたら最強の冒険者になれるぜ!
困った事があったら何でも言ってくれよな!」
グレンはそう言って私と乾杯してエールを一気に飲み干す。
つられて私も果実酒を一気飲みする。
ちょっとだけ冒険者に近づけた気がした。
「グレンの時はこいつのこのディテールに1番拘ったんだよね。
どう見てもカッコいいでしょ?」
エリックはグレンの義手をベタベタと触りながら自慢する。
グレンの義手は前世のター◯ネ◯ターに出てきそうな機械の様な見た目で確かにカッコいい。
カッコいいけれども拘るところそこじゃない様な気もする。
宴はその後も夜遅くまで続いた。




