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獣人組合歓迎会(1)

「こっちこっち!」

エリックが大きく手を振って私を酒場の大テーブルの席に呼ぶ。


私の歓迎会をやると言っていた割には酒場にいる冒険者はみんな既にエールを飲んで出来上がっているし、

エリックもエール片手に既に酔っ払っている感じだ。


テーブルの上には既に食べかけの料理(酒のつまみであろう)がたくさん並んでいる。


「まあちょっとこっち座わってよ」

エリックは隣に座っている冒険者を蹴飛ばしてムリヤリ席を空けて私をそこに座らせる。


「痛ってーな……何すんだよ……アハハ……」

蹴飛ばされた冒険者も既に出来上がっているらしくなぜか上機嫌で笑いながら空いている席に座る。


異世界冒険者という生き物がよくわからないのだが。


「ゼロ君は何飲む?」

エリックがメニューを見せてくれる。


「うーん……ジュースってありますか?」

メニューにはお酒しか書いていない。


「ばっかだな〜。

ここは天下のギルドの酒場だぞ!

お子様の飲み物はありませーん!!」


「「ワァーッハッハッハ〜ッ!!!」」

そう言ってさっきエリックに蹴飛ばされた冒険者を筆頭に笑いが起こる。


「ふーん。

こう見えてもゼロは僕の弟子なんだけどね」

エリックがジロっと睨みをきかせる。


「……。

 コレだったら酒が苦手でも飲みやすいぜ!」

冒険者はいきなりへりくだった態度でそう言って果実酒をお勧めしてくる。


「じゃあそれで」

可哀想なのでお勧めに従う事にする。


冒険者がカウンターに果実酒を取りに行き、

私の前に置いてくれる。


店員は別にいるが彼はこういう性格の人なんだろうな。


飲み物を全員が手にするとエリックが挨拶する。

「今日はこいつ(そう言って私の肩に手を回す)が俺達のギルドの仲間になった!」


ギルドにいる全員の視線がエリックの隣にいる私に集まる。


「ゼロ挨拶しろ!」

小声で私に挨拶を促す。


「はい!ヒューマ……」

ヒューマンと言いかけたところでエリックが口を塞ぐ。


「こいつはヒューマンに憧れている俺の親戚の子供だ!

母親が病気で亡くなって俺がギルドで面倒を見る事になった!!」

エリックが目で合図する。


「ゼロです!みなさん仲良くしてください!!」

余計なことは言わない。


みんなから温かい拍手と祝福を受ける。


「他の奴らは個人的に挨拶してくれや!!

今日はゼロのお祝いで飲み食い放題だ!!

みんな遠慮なく食べて飲んでくれや!!」

エリックがそう言うと一際大きな歓声が上がる。


「それじゃゼロを祝して…」

「「乾杯ーーー!!」」

ギルド内全員のグラスが上がる。


どう考えてもギルドと関係ない一般人も何人か混じっている様に見えるが誰も気にしない。


「初めまして、私はミレーユ。

このギルドのスタッフをしているわ。

今日は特訓お疲れ様。

ゼロ君お腹空いたでしょ。

何食べたい?」

青いウサギの耳のお姉さんが声をかけてきた。


「はい、もう倒れそうなほど空腹です。

こちらのお勧めは何かありますか?」

私はお腹を押さえて空腹をアピールする。


「そうね〜。

やっぱり冒険者らしく『特盛りお肉セット』が1番のお勧めね」

ミレーユの首を傾げる姿がいちいち可愛いくて思わず顔が赤面する。


「それでお願いします!」

料理を注文し、果実酒を一口飲む。


「いい女でしょ?」

さっきから絡んでくる冒険者が懲りずに私の所に来る。

彼はネズミの獣人で背が低く調子がいい。


「えっと……」

返事に困っていると隣にいる冒険者が助けてくる。


「いい加減にしろ!ジャミル!!

困ってるじゃないか!」

大柄の赤い狼の獣人だ。

隻眼で片腕は義手の様な物を装備している。

傷だらけで正に歴戦の勇者といった感じの人だ。


「ジャミルが失礼をした。

こいつも悪気は無いんだ。

俺の名はグレン。『灼熱のグレン』って言えば冒険者の間でもそこそこ知名度はある。

一応……君の兄弟子になるのかな?」

グレンはそう自己紹介をして握手をする。


「グレンも君と同じで僕の訓練を受けたことがあるんだよ」

隣にいたエリックが説明してくれる。


「あの頃のグレンは怪我で片腕を失ったばかりでね……」

エリックが遠い目をして話を続ける。


もしかして片腕を失ったばかりの人に訓練をさせたのか?


「それまで使えていた魔法もほとんど使えなくて大変だったよ」


「片腕がないと魔法や魔力を込めるバランスが上手く取れないんだ。

だから俺はギルドで働かせてくれって頼みに来たつもりだっんだがな」

グレンはそう言って少し笑う。


「だって勿体無いじゃん!

グレンは近隣にある『レヴィタニア』っていう国の有名な兵士だったんだから!」

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