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突然の別れ

受付カウンターでエリックに渡された受付用紙を記入する。


わかる範囲でいいって言っていたけれども……


受付用紙には名前・年齢・性別・種族・出身地・魔力・得意魔法・使用武器・スキルの欄がある。


名前:ゼロ

年齢:6歳

性別:♂

種族:ヒューマン

出身地:

魔力:なし

得意魔法:なし

使用武器:剣・(弓)

スキル:


種族は嘘を書くわけにはいかないのでヒューマンに。

出身地は日本と記入する訳にはいかないので空欄。

スキルは言わない方が良いとミーア達に言われていたので念のため空欄にしておいた。


受付用紙に記入し終わるとミーアとエリックが奥の部屋からやって来る。

ミーアがかなり暗い雰囲気なのがすごく心配だ。


記入し終わった紙は受付に渡す前にエリックに横から取られてしまう。


「これは僕の方でなんとかしておくから……」

そう言ってエリックは受付用紙を自分のポケットにししまい込む。


「それじゃ君達はこれでご苦労さん」

エリックは後ろから私の両肩に手を置きバン達に解散を促す。


えっ?


驚いてその場にいた全員で思わずミーアの顔を見る。しかし、彼女は黙って首を横に振だけだった。


「別に心配しなくて平気だよ。

 少しの間だけゼロ君をうちのギルドで預かる事になった」

エリックはそう言って爽やかな笑顔を向ける。


「……ほらっ、一応……念のために色々と調べなきゃいけない事があるからね」

エリックは非常に胡散臭い笑みを浮かべている。


きっと私がヒューマンである事が問題なのであろう。


私はミーアを見るが彼女は目線を合わせてくれない。

どうやらこのことは彼女の中で既に決定事項なのだろう。


誰も何も言えない様子からエリックの提案を受け入れる以外の道は存在しないのだろうと覚悟を決める。


私は不安を抑え込んでこれ以上仲間達に迷惑をかけない為にもエリックに連れられて奥の部屋へと入った。



部屋に入るなりエリックがポケットからさっき私が書いた受付用紙を取り出してテーブルの上に置く。


「さて君にはいくつか聞きたい事があるんだけれど……」


エリックは私が書いた文字をじっくり見ながら


「これ何の文字で書いてあるの?」

そう聞いてきた。


え……文字は読めるし書けるけれども全部日本語で通じているんじゃないの?


「読めませんか?」

目の前が真っ暗になる感じがする。


「読めるよ。……全部わかる。

 けれども不思議なんだよね。

 僕はエルフ語も共通語も魔族語もだいたいの言語がわかるんだ。」

彼は半ば自慢話でもする様に話をする。


その声は酷くゆっくりでこちらの反応をとても楽しんでいる感じだ。

多分……かなり性格悪いぞコイツ。


「……けれども君の文字は知らない。

 初めて見たのに、意味が理解できるのが不思議でね。」

好奇心溢れる笑顔を向けて来やがる。


はい、自分も不思議です。

この世界の言語って日本語じゃないんですか?


そう心で応えつつも返事に困る。


「まあ、君のスキルで適当に書いた文字が勝手に翻訳されているんだろうが……」

なぜか追い詰めた彼自身が助け舟を出してくれる。


とてつもない裏を感じるがここは乗るしかない。


「……はい。スキルだと思います。」

嘘は言っていない。


「そうだよね!

 次からはどういう言語で書くか必ず意識して書いた方がいいよ。

 翻訳スキルはそういうところザルだから」

エリックは妙に上機嫌になって教えてくれる。


どうでも良いがコイツの笑顔が死ぬほどムカつくんだが。


「……はい」

なんか色々バレてる気がするけど

こちらからは答えやヒントを与えることだけは絶対にしない。


手遅れかもしれないが……


「それでどうするんですか?」

こうなったら開き直るしかない。


「君の身元調査をする。」

エリックが爽やかに指を一本立てて断言する。


「きっと不思議なほど何も出てこないと思うけど……万が一ヒューマンである君を探している者がいたらミーア達が誘拐犯にされてしまう可能性もあるし……」

エリックは独り言でも呟くかの様に話を続けた。


どうやら私の正体についてはある程度は予測がついているらしい。

誘拐の可能性については正直全く考えていなかった。

犯罪に巻き込む可能性があった事を改めて考えるとミーア達にとても申し訳なく思う。


「ミーアは、小さい頃弟を亡くしていてね……

君みたいに行く当てのない子供を見つけるとよく保護して来るんだよね……」

彼はそう言ってこちらの様子をじっくり見る。


「さすがにヒューマンは初めてだったけど……

 バカだと思うかい?」

エリックの瞳の奥に一瞬わずかだが殺気が混じる。


「いえ、助かりました」

あそこでミーア達に出会えたことは本当に良かったと思っている。


「で……君はこれからどうしたい?」

エリックは魔法で受付用紙をくるくるとカードの様に回す。

まるで暇を持て余した子供の様に無邪気にも見える。


「ミーア達と一緒に冒険者をやりたいです!」

一緒に旅をする約束もしたし、何よりもミーア達に助けて貰った恩を返したい。


「うん。君が良い子で安心したよ。

 それじゃ調査が終わるまで、君にはここで冒険者の訓練を受けてもらうことにするね」

そう言ったエリックはなんだかとても機嫌が良さそうに見えた。

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