ハーレム?女子会です!
部屋に荷物を置き私と女子3人で風呂場へと移動する。
『銀の狼亭』はそこそこ良い宿らしく、身体を洗える簡易的な風呂場が付いている。
高級な宿だとちゃんとした湯が出る豪華な風呂が付いているらしいが、ここでは湯は出ない。
安い宿だと身体を洗う場所すら付いていないので宿のランクも想像しやすい。
盗難や人攫いなどの危険性を考えてミーア達はいつもよりも良い宿を選んだそうだが、個人的には魔法で綺麗にするよりもきちんと風呂に入りたかったので風呂があるのはめちゃくちゃ嬉しい。
風呂は木で作られた湯船が一つあり簡易的な柵に囲まれている。
広さはさほど広くなく、ちょっと狭い露天風呂といった感じだ。
湯船には既に水が入っており、ある一定の量までは自動的に給水されるシステムになっている。
身体を洗っている最中に水が無くなってしまう心配はなさそうだ。
リンの魔法で湯船にあった冷たい水が一瞬にして程よい温度の湯に変わる。
無から湯を作るよりも水を湯に変える方が魔法の難易度もグッと下がるらしいが、
一瞬でこれだけの量の水を風呂に最適な温度の湯に変えるのはかなり難しい様でリンがドヤ顔をして見せる。
きっと彼女はお風呂好きなのだろう。
仲良くなれそうだ。
大事なところはタオルで隠して入ろうとしたのだが、風呂場にタオルを持って入るのはマナー違反らしく無情にもミーアに取り上げられてしまう。
前世の女の身体であれば周りは女子だしどこも隠す必要が無かったのだが、男の子の身体というのはどうにも落ちつかない。
世の男達はどうやって風呂に入るのか正直謎だ。
バンに教えてもらいたい気持ちはあるがアレと一緒に風呂に入るのは正直嫌過ぎる。
前が見えない様に自然と前屈みになっしまう。
立っていると両脇からフィリアとミーアに腕を引っ張られてしまい無防備な状態を晒してしまい恥ずかしい。
リンがそれを見て不敵な笑みを浮かべたのを私は決して見逃さない。
「遠慮しなくていいぞゼロ!」
ミーアが大きな胸を更に強調させる様に胸を張って言う。
そうじゃない……
「ゼロ君は恥ずかしがり屋さんなのかな?」
フィリアの胸が肘に当たる。
そうじゃないんだ!
あまりジロジロ見るのも失礼なので直視しない様に意識する。
身長的に立って歩くと丁度目の前に胸があるので出来るだけ座る様に気を使う。
あくまでも紳士的な振る舞いをしているだけなんだ!!
6歳の少年の身体なので絵的には非常に美味しいシュチュエーションと言えるだろう。
しかし、心は前世の26歳女子。
見た目はハーレム、心は絶対に女子会だっ!!
本来ならリンとフィリアの2人が風呂の間にバンとミーアが素材を売りに行くはずだったのだが、
リンとフィリアに
「ゼロ君も一緒に洗ってあげる」
と言われてしまい断ることもできずに戸惑っていたところ、
ミーアの2人だけズルイとの意見でバンだけ別行動になった。
何がズルイのか正直よくわからない。
自分1人で身体を洗う事は出来るのだが、水を温める魔法が使えないのでご一緒する事になった。
先に湯船を温めて貰ってから入るという選択肢があるという事には、後から気が付いた。
風呂は意外な事にミーアは身体を洗うのがとても上手だった。
力加減や湯のかけ方などが妙に慣れている感じがして気持ちがいい。
もしかしたら弟や妹でも居るのかもしれない。
湯船に浸かりほっと息を吐く。
ここまで随分と長い旅の様に感じていたがこうしていると疲れがじんわり抜けていくようで気持ちがいい。
全員が湯船に浸かると狭いのでどこかしら身体に当たってしまうのだがなるべく意識をしない様にする。
ミーアが何度も膝の上に乗せようとして来るのだがそれだけは断固阻止した。
流石に裸はまずいって。
風呂から上がりいつもの服に着替える。
服も下着も1着しかないので、もう少しリラックスできるのが何着か欲しい。
服は着替える前にフィリアが洗浄魔法できれいにしてくれた。
下着はいつの間にか誰かが洗浄魔法で綺麗にしてくれたらしくなぜか汚れていなかった。
部屋に戻ると【ステータスボード】の予約をしにミーアは1人でそそくさと教会へ行ってしまう。
教会に行けば自動的に即鑑定できると思っていたのだが案外事務的で驚いた。
魔法の練習をしようにも宿での練習は禁止されているのでやることがない。
なのでジュースを飲んだり果物を食べたりしながらまったりしながらミーア達が帰ってくるのを待つ事にする。
リンとフィリアは荷物の整理をしている。
「リンとフィリアはいつ魔法が使える様になったの?」
なんとなく聞いてみた。
リンは指を3本立てる。
3歳と言うことなのだろうか……
「私は物心ついた時からライト位は使えてたわ。
元々生まれ持った魔力が人よりちょっと多かった事もあって」
フィリアが荷物を出しながらそう教えてくれる。
魔法使いコンビに聞いた私がバカだった。
大人にならなきゃ魔法は使えないかもと少し期待したが、2人共超早熟だった。
持って生まれた魔力量それに常日頃から実際に魔法を使う人を身近に見てきたから当たり前の様に使えるのかもしれないな。
正直、超羨ましい……
年齢は関係ない。
ステータスに期待しよう。
そう思っているとドアをノックする音がする。
リンが相手の確認もせずに無言でドアを開ける。
悪い人だったらどうするんだろう?
見るとバンが右手に持っている袋を上げてニヤリとアピールしながら入ってくる。
袋の大きさとジャラッという音から察するにお金が入っていると思われる。
「あれ? ミーアは?」
女子部屋なのに遠慮なく部屋を見回すバン。
「教会」
リンがそう言うとバンはテーブルの上にある果物を手に取りドカッと腰を下ろす。
「そっか、ネームカード作らなきゃだもんな〜」
マンゴーの様な果物を1口食べながらバンがそう言って報酬の入った袋をひっくり返してテーブルの上にお金を並べる。
お金は銀貨と銅貨ばかりで金貨は見当たらない。
報酬を人数で割る為にもあえて全てを小銭にしているのかもしれない。
お金を並べ終わった辺りでミーアが帰ってくる。
報酬はパーティーの資金とは別にメンバーの数で割った金額をそれぞれが受け取るらしい。
私の分はお小遣い程度の小銭を幾らか貰いそれ以外は代表してミーアが預かる事になった。
1人で買い物をするのは危険だし、お金を持っているとトラブルに巻き込まれやすくなるとのことだ。
私の取り分は全部で銀貨3枚。
苦労したよりはかなり少なく感じてしまうが、装備品はパーティー資金から出してくれるので全額自由に使えるお小遣いとだ考えるとかなり良い金額だと思う。
お金が入ったところで早速買い物に出かける事になった。




