表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/43

異世界3日目と深夜の魔法講習会

朝食の肉の焼ける匂いで目を覚ます。


「おはようございます……」

異世界の朝は早い。

日の出と共に行動を開始する為、日本の都会暮らしだった私にはまだ慣れない。

パーティーメンバーは既に全員起きていて装備も整えられており少し気まずい。


「おっ! やっと起きたかー?」

バンが手招きをして私を呼ぶ。


「昨日は大活躍だったからどこか痛いところとかない?」

フィリアが心配している様子だ。


そういえば……

昨日は初めて魔物と戦ったり崖の上から落下したりで肉体的にも精神的にも大変だったけれども……


身体を動かして痛みがないか確認してみる。

転生前は肩こりと頭痛に悩まされる事が多かったが、

若い身体のせいか痛みや疲れなどは一切残っていなかった。


もしかしたらフィリアの回復魔法のおかげかもしれない。

魔法の力は偉大だ!


「はいっ! 全然大丈夫です!!」

ガッツポーズで絶好調をアピールしてみる。


「リンは眠い……」

ジト目で紫の帽子が睨んでくる。


昨夜は、遅くまでリンに攻撃魔法のやり方を教えて貰っていた。



⭐︎


初歩の火を出す魔法もまだできないけれども、攻撃魔法ならイメージしやすいし戦力になる。


それに魔法を使えたらカッコいい。

やっぱり異世界といったら魔法でしょう!

そう思いリンから魔法を教えて貰う。


魔法の基本属性は4つ『火・水・風・土』だ。

その他『光・闇など』も存在する。

ほとんどファンタジー系の小説などのテンプレ通りで正直安心した。

新たに覚えるのは面倒だ。


1番簡単な魔法は誰でもイメージし易い『火』らしい。

しかし、火を出す事ができなくても大丈夫!

ごく稀にだが、火より水や光など別の属性の魔法が得意な者も存在するらしい。


属性や才能など個人差が大きいのがこの世界の特徴だ。


そこで自分にあった属性を見つける為に1つずつ全ての属性魔法を試してみた。


魔法の発動方法は『強くイメージすること』これだけだ。

詠唱はよりイメージを強化する為に主に上級魔法などで使うらしい。


まずは火属性を試してみる。


リンが掌に炎を出し、次に人差し指にライターの火を出す。

「これとこれ……」


リンの真似をして右掌にぐっと力を込める。

「炎よ……。来いっ……」

しかし何も起こらない。


「気合じゃなくイメージ」

再びリンが掌に炎を出したり、指先に火を出したりを繰り返す。


今度はもっと強くイメージしてみる。


しかし何も起こらない。


「次の属性お願いします!」

ほんの少しでも魔法のコツみたいなものを掴むことが出来たら何か変わるかもしれない。


「……」

リンは無言で掌の上に水を出す。


水は野球のボールサイズできれいな球体をしている。

球体の中で水流が回っている様にも見える。


これは難しそうだぞ。


「水は難しい……だからコレ」

そう言って魔法を解除しながらローブからコップ取り出す。


1度ひっくり返してコップが空である事をアピールする。

右手をかざすと次の瞬間コップには水が入っている。

魔法というよりもマジックの様に見える。


無言でコップの水を飲み干すリン。

コップ私に押し付けてやってみろと合図してくる。

少しドヤ顔だ。


なるほど。水属性を使えれば攻撃だけでなく喉の渇きも潤せるし一石二鳥ってわけだ。


貴族の魔力を見せてやる!!

水をイメージして全力で魔力を込める。


しかしコップに水が溜まる事は一度もなかった。



その後も『水』がダメなら『風』、『風』がダメなら『土』。

4属性がダメなら『光』と思いつく限りの魔法を試してみた。


驚いた事に、リンは全ての属性の魔法を発動して見せてくれた。


彼女が言うには魔法をただ発動する事よりも『実戦で使える魔法にする』ことの方が大変らしい。


実戦で使える為のコントロールだったりそれを維持する魔力量、使うタイミングだって重要だ。

それら全てを完璧にできたら魔法が使えると言えるだろう。


得意な魔法は少ない魔力で強力なものが使えるし、苦手な魔法は発動だけでもかなりの魔力を必要とするそうだ。


うん。魔法って思っていたよりもずっと奥が深いね。


リンによる魔法の講習会は深夜遅くまで続きミーアの「いい加減に寝ろ!!」の怒鳴り声で解散になった。


そして深夜遅くまで粘ったにもかかわらず私の魔法が発動する事はなかった。



⭐︎

「それで昨夜は魔法はできたのかい?」

ミーアが肉の入ったお皿を渡してくれる。


「いえ……全く……」

まだまだ魔法は使えそうにない。


「まあ、魔法が使えなくても剣士って道もあるからね」

なぜかミーアは嬉しそうだ。


「いえ、まだ回復魔法があります!」

そう言ってフィリアを見る。


「えっ……

あんまりムリはしないでね……」

フィリアが目を合わせてくれない。


今夜はフィリア先生に弟子入りしよう。


「おいっ、もう肉無いのかよ?」

不意にバンが不満を漏らす。


よく見ると私以外のお皿には肉は無く代わりに焼ききのこが乗っている。


そういえば私がこのパーティーにお世話になったのは突然のことだったワケで……

通常なら4人で使う物を5人で使うわけだから、食糧や水など足りなくて当たり前なんだ。


どうしよう……


「うるさいねっ!

今日は狩りを中心に動くからもっと食べたいならその分あんたが多く狩ればいいでしょう?」

ミーアがバンを挑発する。


「言ったな〜。

よしっ! どっちが多く狩れるか勝負だ!

ただし、グラスウルフは獲物の数には入れないぜ!」


グラスウルフ人気ないな〜。


突如始まった狩り勝負。

なんでも採取は昨日私がたくさん集めたからかなり余裕があるらしい。


ちなみにバンとミーアは採取よりも狩りの方が得意なんだそうだ。


採取だけでもパーティーの戦力になっていて本当に良かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ