バレンタインデー (一回生) ~4~
バレンタインデーもいよいよ夜へ!!さて、結果はいかに!?
「森永!!!」
寮に帰って森永の部屋へと向かう。
だが、どうやら森永も俺の部屋に向かっていたようで、
2人は偶然にも廊下で会うのであった。
2人の手には空の紙袋が携わっているだけであった・・・
「・・・おかしいな・・・。」
「そうだよな~・・・男子校じゃないんだからな・・・。」
2人で納得いかない。
だって、女子はいるんだよ!!
それなのに俺達がもらえたチョコというのは・・・
チョコが2粒!!! by藤本
キットカットが1箱の中の1袋のみ!!! by森永
「・・・もしかして俺達がいるのを気づかれてない?」
「そっちか!!!」
なるほど、俺達の存在に気づいていないと!!
こんなに素晴らしい俺と森永の存在に!!
「・・・来年に向けて、頑張るか・・・」
「おう!!ぜってい、来年はリベンジするぜ!!!」
2人は熱い握手を交わして、いつものくつろぎ部屋へと向かう。
そう・・・
柊の部屋へ!!!
あそこにはサイフォン式のコーヒーが常備されているのだ!!
それを毎回タダで飲ませて貰っている。
今日という日にはピッタリだ!!
俺と森永が熱い約束を交わした日にはピッタリだよコーヒーが!!!
柊の部屋に向かう途中に、ばったりと柊と出会った。
柊は洗濯物をセットしているようで、
「お前の部屋に行って乾杯をしようと思っていたのだが・・・。」
「ああ、じゃあ、先に部屋にどうぞ。
サイフォンのやり方がわかるのなら、
先にセットしてコーヒー作っていてもいいよ。」
「じゃあ、先にお前の部屋に行って待ってるよ。」
そう言って俺達は柊の部屋へと行くのであった・・・・
そう・・・
そこに現実が・・・厳しい現実が突きつけられるとは知らずに!!!
「「え!?」」
俺と森永の目に飛び込んできたのは・・・
ナイロン袋に入ったチョコの山!!!
更には・・・
開けられたカバンから溢れていたチョコの箱である!!
呆然と見つめる俺と森永であったが、
俺はその山を見ているとあることに気づいた。
箱の側面にシャーペンで名前が書かれているのであった。
あ、これ・・・
溢れた中から見えたのは今朝坪倉ちゃんから貰っていた袋である。
そしてそこにはしっかりと
“坪倉”
そう書かれていたのである。
・・・貰った相手の名前を書いているのか・・・
たぶん、柊のことだから律義にみんなに返すために
しっかりと誰がどれだってことを
あとから分かるように名前を書き込んでいるのだろう。
俺も次貰った時にはこうしよう・・・
いいことは真似る!!!
「森永、柊は貰った相手の名前を箱に書いているようだ。」
「・・・うぉ!?マジか・・・。」
手に取った箱に書かれている文字を見て驚く森永。
「俺達も次はこうしよう・・・。」
「そうだな・・・。」
2人でイイことを学ぶ。
そこで、俺は親切心からカバンからこぼれ落ちていたチョコを拾おうとした時だった・・・
俺は・・・
俺は・・・
開けてはいけないパンドラの箱を開いてしまう!!!
食べ物が床に転がっているのはやはり宜しくないと思い、
箱を手に取ってテーブルの上に置こうとすると、
“前田さん”
・・・あれ?
・・・おかしいな?
この字の前田さんはうちの学年には1人しかいないはずなのに・・・
え?だって、彼女は、
『うちですかー?うちは自分用のしかこうてへんのですー。すいませーん。』
って、言ってじゃんか・・・
まあ、同姓同名がいてもおかしくない。
そして次は、お!これは手作りだろうな・・・
そう思いながら袋を取ると・・・
“御船さん”
・・・あれ?
・・・おかしいな?
この字も珍しくてうちの学年には1人しかいないはずなのに・・・
それに彼女は、
『あ、すいません。学校にチョコは持ってきていませんし、父だけに渡すので。』
って言っていたと思ったのだが・・・
そっか!
こっちも同姓同名かぁー!!
他学部だと俺も知らない人間はたくさんいるからな!
俺は何も言わずにテーブルの上へと持っていく。
その後も箱を手に取りながら名前を確認して、
あれ?この人って・・・
と思いながらテーブルにおいて行くのであった。
・・・
助教が・・・
生徒に渡しても問題ないのだろうか?
そんな疑問がわいたが、恋愛は自由なのだから
しずかにテーブルに置く。
そして最後のチョコに手をかける。
こちらも手作りチョコなのだろう。
ラッピングもセンスがいい。
・・・
・・・
俺は見てはいけないものを見た気がする・・・
そこに書かれていた名前は、
“武田さん”
これがもし俺が知っている武田さんなら・・・
同じ部活の武田さんなら・・・
いやいや!そんなことはない!!
だって、彼女は、
『チョコは好きな人にだけ個人的にあげたいんです。』
そう断言していたのである!!!
え?柊のことが?え?だって彼女いるよ?
それよりも問題もある・・・
だって・・・
森永の好きな人なんだけど!!!
これ口が裂けても言えない案件じゃん!!
どうするよ!!
・・・
・・・
俺は、静かにテーブルに置いた。
森永からは名前が見えないようにして・・・
そして、この話題には一生触れないようにして・・・
来年は俺達頑張ろうな!!!
なんてったって今俺達は・・・
勝ちへの途中なのだから!!!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。