お好み焼き屋 ~4~
信用は簡単に崩れていく・・・
俺と藤本のやりとりの間もオーケストラ部の先輩と前田さんのやり取りは続いており、
「前田さん、じゃあお店の情報を教えるから連絡先を教えてよ。」
「あ、うち、携帯持ってないんです。」
「そうなの!?」
・・・いや、勝ち誇った顔をしているが藤本よ。
どうしてそんなに勝ち誇った顔をしてるんだ?
あ、なに?
すでにその情報を俺は知っていると・・・
なるほど、確かに一歩進んでいたんだな・・
だけど、どうせその情報はお前が以前に前田さんに電話番号を聞こうとして
断られたから知ってるんだろう?
「な、なぜわかる!?」
バカでもわかるわ!!
そんな真剣な表情でどうしてなんだという感じを醸し出しているけど、
まったく無駄だから!
100%みんなが分かるからな!
結局この後も先輩を一蹴していく前田さん。
そのせいもあって、俺達も前田さんとほとんど会話ができずに
お好み焼き屋を出ることになったのだが・・・
ちなみに会計の時に、颯爽と俺達のテーブルのお金を払おうとする藤本!
俺は目を見張ってしまう!!
だって!
あのケチで貧乏な藤本がおごる何って!!
そう思って驚いていると、
「うちは自分の分は自分で払うで。」
そう言って、自分の分のお金を藤本に渡す前田さん。
「いや、おごるよ。」
「そんないらんから。」
「俺も男だしな。」
「別に男女関係あらへんよ。
それに知り合いなんやから、別におごられる筋合いなんかないわ!」
・・・知り合いか・・・
確かすでに半年以上同じ部員として、
更には同級生として過ごしてきているはずだよな?
友達ではなく・・・知り合い・・・か・・・
頑としておごられようとしない前田さんに
ついに藤本が折れて、お代を受けとる。
「ほなね!」
「じゃあ!」
「また明日!」
前田さんと俺達はお店の前で別れて、前田さんは学校へ。
俺と藤本は寮へと戻っていった。
「なかなか、いいじゃないか前田さん。
自分の食べた分は自分で払うって、なかなか女子ではいないからな。」
なぜか感心している藤本・・・
いや・・・
お前におごられたくないだけだろう?
“知り合い”のお前にな!!
「っていうか、気になったことがあるんだけど。」
「なんだ森永?」
「前田さんやオーケストラ部の面々は学校に戻っていったのに
何でお前は寮へと帰ってるんだ?」
「?だって、家が寮だからだけど・・。」
「違う!俺が言いたいのはそういうことじゃない!
彼女達は練習をしに学校に戻ったはずなのに、
何でお前は普通に寮に戻ってるのかを聞いてるんだ?
練習はどうしたんだ!?」
「ああ!そういうことか!!
今日は・・・
自主休息日だ!!」
「・・・お前が部員の信用を勝ち得ない理由がよく分かったよ・・・。」
「所詮、部員なんだから良いだろう!
そんな奴らの信用なんぞいらん!!」
「・・・。」
まあ・・・本人がそれでいいのならいいか・・・
俺はこれ以上何も言うことなく家路につくのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。