お好み焼き屋 ~2~
広島風・・・って書いたお店も広島にある・・・“風”っていらなくないか?
「俺は肉入りで、ご飯付きを!!」
店員のおばあちゃんに頼む藤本、
「俺も同じものを!」
「うちは肉入りだけで。」
それに続いて、俺、前田さんが注文を頼む。
その声が聞こえたかどうか不明だが、
そのまま大きな鉄板の方へと戻っていったのであった。
「めっちゃおばあちゃん腰曲がってんな!」
前田さんがおばあちゃんの特徴を結構大きな声で言う。
確かに俺もそう思ったけど・・・
おばあちゃんに聞こえるけど?
・・・何だろうこの子・・・
関西人特有のデリカシーのなさがプンプン漂ってくるんだけど・・・
おばあちゃんがお好み焼きを俺たちの所に持ってきた時も、
「おばあちゃん、腰痛ないないん?」
「・・・大丈夫・・・。」
「ほんま?無理せんとってな。」
何か、お孫さんみたいな気遣いをしているんだけどな・・・
その心遣いを嬉しそうに見守っている藤本。
だけど・・・
お前にその気遣いが届くことはないと思うぞ・・・
そう心の中でつぶやくのだった。
どうしてかって?
それは先ほどあったのだが・・・
俺達がお好み焼きを待っている間に、
ドンドン学生さん達がお店に入ってくる。
学校からも近いうえ、値段も近くにあるお好み焼き屋に比べても
ずいぶん安いから当然だろうなっと思う。
その中に、どうやら藤本と前田さんの知り合いの方というか、
たぶんおなじオーケストラ部のメンバーなんだろう人が来たのである。
お店に入ってくるや否や藤本と前田さんを見つけて、
「え!?もしかしてデート!?」
ちょうど俺が近くにあったマンガの棚に向かっているタイミングで、
ちょうどテーブルに2人しかいなかったのである。
そりゃ~、2人でお好み焼き屋にいたら、デートとか思うか・・・
俺はその言葉になるほどな~と思っていた。
藤本の方はまんざらでもない顔をするのだが・・・
「全然ちゃうわ!!」
前田さんの方は全力否定をする・・・
いや・・・
事実そうなんだから、ショックを受けたような顔をするな藤本よ・・・
「そうなのぉ~?」
前田さんの否定にもニヤニヤしながら尋ねるオーケストラ部の面々。
すると、
「ホンマちゃうねんやからやめてや!!」
めっちゃ怒り出したのであった。
するとさすがに空気を読んだんだろうオーケストラ部の面々が、
「いやいや、ごめんごめん。」
「いや、ちょっといじりたかっただけでさ~、ごめんね。」
謝っていくのであった。
「それに3人やからね!来てんの!」
それでも怒りが収まらないのか、説明にも少し怒気がこもった言い方をする前田さん。
これは・・・藤本とデートと言われるのが本気で嫌だったんだろうか?
・・・そんな気がするな・・・
お好み焼きが来てからも、
「うぅ~ん、やっぱり男の人と来ると、知り合いおうたら、ちゃかされるねんなぁ~。」
ため息をつきながらお好み焼きを食べる前田さん。
まあ、その理由も見た目が可愛らしくて、
たぶん愛らしい性格をしているのが原因に思えるな・・・
「まあ、俺なら前田さんとなら誤解されてもいいけどな!」
藤本がいきなりぶっこんで来る!!
俺は今、口に入れたお好み焼きを吐きそうになっていたのだが、
「あはははは、いややわ、うちは。」
前田さんの方は全力で拒否をする・・・
これ・・・
たぶん、藤本がどんなに頑張ってもダメな気がするな・・・
俺のシックスセンスがそう告げるのであった。
「やっぱり学校に近いとめっちゃ知り合いにあうな~・・・。
うぅ~ん、食事も気いつけなあかんわ。」
「じゃあ、俺と今度離れたところに行こうか!」
「え?いや。」
バッサリと切ったーーー!!!
藤本の誘いを即答で切りましたよーーー!!
っていうか、ここでの食事の空気が気まずくなるから、
これ以上、空気を凍らせる発言はやめてくれ藤本!!
今、いやって言われたんだから分かれよ!!
小声で、
「近場も離れたところも嫌なら、中間ぐらいのところで・・・。」
って、前田さんに聞こえるトーンでしゃべって、
あたかも偶然前田さんの耳に入ったみたいな感じに喋る藤本。
いや!違うって!距離の問題を言ってるんじゃないって!!
この場合、お前と行きたくないって言ってんだよ!!
何でそんな勘違いを起こしてんだよ!!
しかも、お前が策を労して、わざと小声で言ったのは、
完全にスルーされてますから!!
あ、前田さんも男性に対してのスキルが高そうな気がするぞ・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。