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お弁当屋さん ~8~

ここで一旦停止します!

別の話が8月1日から更新されますので、そちらが終わればまたこちらを再開予定です!

俺がその女の子に注視する中、

梱包が終わってこちらを向いた時だった!



「・・・あ、あれ?藤本君?」


「た、田中さん・・・。」


目の前にいたのは田中さんだったのであった!



「?知り合い?」


空気をどうやら読んだのか、俺の囁くような声は聞こえてなかったようで、

俺達に尋ねてくる柊。



「ああ、オーケストラ部の部員の田中さんだ。」


「ああ、そういうこと。」


どうやらすぐに理解したようで、ここで何かをいうような野暮なことはしない柊。

そのため俺が質問をしていく。



「ここで働いていたんだ?」


「そう。家から近所だし、まかないも付いてるんだ。」


なるほどな!


ここと家の距離で言えば、歩いて5分もかからない距離にあるな!

さっきほど知った田中さんの家を思い出す。


更にはまかないまで付いているなら、

これほどいいバイトはないだろう!


食費が浮いて、更にはバイト代まで入るのだから!



「あ、お代は・・・。」


そう言いかけたところで、柊がスッと金を渡す。

特に言葉を発することなく、俺達の会話を妨げないようにする。



「柊君とは知り合いなの?」


「ああ、同じ寮で生活しているんだ。」


「あ!そうか、柊君って寮生だったね。」


「うん。」


柊は必要最低限の受け答えだけして、お弁当を受け取ていた。



「あ、お土産ありがとうね。」


「いいえ。いつものお礼です。」


お礼もちゃんと言えるいい子だ田中さんは。



「また来るよ!」


俺がそう伝えると、



「あんまりここで働いていることは広めないでね。」


「ああ。」


そう返事をしながら、俺は田中さんがバイトしている曜日を思い出して、

次の奨学金の振込・・・は、当分先なので仕送り日から、ここに通うことを決めるのであった。


ちょっと遅めに来て、田中さんを送って・・・田中さんの家でお弁当でも食べるか?


そんな淡い期待をしながら俺は家路につくのであった。

その日の晩のお弁当は素晴らしく美味しかった!!


これは・・・田中さんが作ったんだ・・・


そのスパイスがこれほど美味しいモノとは思ってもみなかったよ。



「柊、グッジョブだ。」


「いや、それはいいけど、そもそも弁当をおごったことにも感謝の言葉をよこせよ。」


「そんなのもうすでに俺の腹に入ってしまったから、しらないな~。」


「・・・まあ、いいけど。他の人の時にはちゃんとお礼を言えよ。」


「それは任せておけ!女子に対して失礼のないようにしてるからな!」


「・・・男子にもだよ・・・。」


「男に優しくする必要なってない!!」


「・・・ホントクズだな・・・。」


心地よい会話をしながら、飲むコーヒーは格別であった。




「・・・藤本君、私、言わないでって言ったよね?」


俺がお弁当屋さんに行って数日が経過し、

仕送りが明日に迫ってきてウキウキでオーケストラ部に行った時である。


部活動の始まる前に田中さんから呼び出されたのだ!

もしかして!?と思ってウキウキと呼び出された場所にいくと・・・


なぜか明らかに不機嫌なご様子の田中さんがいたのであった。




「何を?」


田中さんが何を言うなと言っているのかが分からないため聞き返すと



「私がバイトしている場所。」


「ああ・・・。」


そう言えばそんなことを言っていたな~っと思いだす。



「それを部活の男子に言ったよね?」


そう問い詰められて思だそうとするのだが・・・


そういえば・・・


先日、部室で男子が集まっていた時のことである。



「結局、田中さんってどこでバイトしてるんだろうな~。」


「分かんないですね。誰にも教えてないんでしょう?」


「誰も知らないよな?」


先輩の質問に誰もが応えない・・・というか、応えれないのだろう。

そんな中で、俺は優越感に浸っていたのである。


だって・・


俺だけが知っているのだから!!


彼女が働いている場所を!!


愚民どもが!お前らに田中さんは百年早いは!!


そんなことを思いながら、男子部員たちが田中さんのバイト先で盛り上がっていくのだが・・・



「俺・・・田中さん、絶対に俺に気があると思うんだ。」


そんなことを唐突にいう先輩が現れた。



「どうしてですか?」


「いや、田中さん、ここにいる男子の中で俺にだけ話しかけてくるだろう?」


そんなことを言うのだが・・・・


それは・・・


同じ楽器で、しかも先輩がお前しかいないからだろうが!!!


その後も鼻にかけたように田中さんの話をする先輩に対して、

ついに俺の堪忍袋の緒が切れた!!



「俺・・・田中さんのバイト先を教わってますよ。」


ここで、みんなの視線が俺に注がれるのであった。


一番驚いたような顔をしているのは、

先ほどまで田中さんが俺に気があると言っていた先輩だ!



「ほ、本当に知っているのか?」


「ええ、田中さんから直接教わりましたから。」


俺の言葉に絶句してしまう先輩。

周りのメンバーも黙ってしまう。

その目は先ほどまで有頂天だった先輩への憐みの目であった。



「田中さんはお弁当屋さんで働いてるんですよ。

 なので、何度も田中さんの手作り弁当を食べたんですよ。」


その言葉聞いて更に落ち込んでいく先輩。


“手作り”


この言葉ほど、男を有頂天にさせたり、奈落の底に落とせる言葉はないだろう。



「まあ、僕と田中さんはそんな仲なので。」


ここまで言えば、先ほどまで夢見ていた思いから

しっかりと冷めるだろう。


先輩はあまりのことで部室から出られないと言い出す始末であった。




「・・・そういえば・・・。」


先日のやり取りを思い出したところで、



「最低だね・・・。私、言わないでって言ったのに!!」


「そ、それにはわけが・・・。」


「私、約束破る人、嫌いなの!!

 二度と私に話しかけないで!それに私のバイト先にも来ないで!!」


そう叫びながら田中さんは目に涙をためていたのであった。


俺はその涙を見て、何もいえなくなり、ただただ田中さんが立ち去って行くのを

見送ることしかできなかったのであった・・・。


・・・何で・・・


・・・どうして・・・


俺が悪者になってるんだ!?


たかだか、バイト先を言ったくらいで!!


ふん!


そんな心の狭い人間なんぞ、こっちから願い下げだ!!


貧乳で、寸胴が!!


もっとスタイルが良くなってから言ってこい!!


まあ、顔は・・・ちょっと可愛いからって調子に乗るなよ!


俺にはまだまだいっぱい女がいるんだからな!


そういえば熊谷さんもいたしな。

それにあのお嬢様たち。


何だ!


田中ごときに縛られる必要なんぞないわ!!


俺はそんな言葉を叫びながら寮へと戻ったのであった。


あれ?


おかしいな?



目から汗が止まらないぞ!!


気づいた点は追加・修正していきます。

拙い文章で申し訳ないです。

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