お弁当屋さん ~6~
店員さんが可愛かったら、足繁く通ったな・・・
いっそ・・・一度部活を休んで田中さんの後をつけるか!?
・・・それしかないか!!!
名案を思い付いた俺は、その日の部活を休み、
駐輪場付近に待機する。
2時間ほど経過したところで、田中さんが現れる。
さすがは俺の未来の彼女。
しっかりと練習してくるのはえらいな・・・
すると田中さんは自分の自転車にまたがって出ていくので、
慌てて俺も自転車にまたがってうしろをついていくのであった。
「こ、ここか!?」
何と田中さんの住まいが分かったのである!!
彼女の住んでいるところは入り口がオートロックになっており、
そこにボタンを押して入って行く。
しばらくすると2階の廊下に現れて、そのままある部屋に入って行ったのであった・・・
田中さんの住所ゲット!!!
俺は喜びに浸っていたのだが、
なかなか田中さんが出てこない。
「ち、ここはそこのマクドにでも行って涼みながら待つか・・・」
そう思って、近くにあったマクドに入って、100円コーヒーを買って、
窓際に座り、田中さんの部屋を観察する。
しばらくすると田中さんが部屋から出てきた!
お、何か地味な服装に着替えてる!!
先ほどまで来ていた服装とは違う服装になっており、
なるほど!柊の言う通り、飲食店のバイトをしているのかもしれないな!!
俺は慌ててマクドから出て、
そのマンションの駐輪場の付近に隠れたのだが・・・
・・・
あれ?
いくら待っても田中さんが現れないのだ!!
もしかして!?
そう思って、辺りを見回すのだが、
どこにも彼女の姿はなくて、完全に姿を見失っていたのであった・・・
「で、バイト先には歩いていっていると?」
「・・・ああ・・・。」
「良かったな。捕まらなくて。」
「何を!?そんな不埒な真似はしてないわ!!」
「いやいや、間違いなく犯罪だからな!お前のしたのは!」
「違う!たまたま田中さんと同じ時間に帰って、
たまたま同じ方向に用事があっただけだ!!」
「で、たまたま田中さんの住んでいるところを知ったと?」
「その通り!」
「とりあえず・・・
通報されるか、自首するか選べ。」
「ちょっと待て!!どっちも犯罪の結論になってるじゃないか!!」
「いや、犯罪だからな!」
「ま、待ってくれ!偶然なんだ!偶然なのに捕まる何って、あまりにひどい!
・・・冤罪だ!これは冤罪だ!弁護士を!弁護士を呼んでくれ!!」
「それは警察署で訴えてくれ。」
「まあ、冗談はこれくらいで。」
「いやいや、俺は冗談のつもりで言ったわけじゃないぞ!」
「なかなか柊はユーモアを持っているじゃないか。
とりあえず・・・
ご飯をおごってくれないか。」
「・・・今の流れでどうして、その結論になったのかが分からないんだけど。」
「ああ、結論からいうとお金がないからだ!!」
「またかよ!?」
「ああ、マクドで思わぬ出費があったから、お金を散々してしまったんだ・・・。」
「ちなみにマクドで買ったのは何だかな?」
「100円コーヒー・・・。」
「それ・・・
マクドに行く前から破綻していただろう?」
「なんだと!!100円は財布の中にあったのだから、
何だって買えたんだ!!
だが、コーヒーを買ってしまったため・・・なくなってしまったんだよ・・・。」
「100円があったら、破綻してなかったみたいな感じで言うけど・・・
すでに破綻してるよ、それは・・・
あと何日あると思ってんだよ・・・
分かった、今日はお弁当でもおごるよ。」
「お弁当かよ!!
もっと豪華なモノをおごってくれ!!」
「別におごらなくていいんだけど?」
「是非とも宜しくお願いします。」
俺は柊に土下座を披露する。
俺・・・
何回目だろうか?
柊に土下座をするのは・・・二桁・・・いや、下手すれば三桁に到達しているかもな・・・
「まあ、俺がよく行くお弁当屋さんだから。
前から興味はあっただろう?」
「ああ!あそこか!是非とも行くよ!!」
こうして俺はケチな柊と共にお弁当屋さんに行くのであった。
「ところで、その手に持っているモノはなんだ?」
「ああ、実家からお菓子が届いたから、いつもお世話になっているんで、
おすそ分けをしようかと思ってね。」
「・・・それなら俺が食べてやるけど?」
「藤本にお世話になった記憶は一切ないので、あげる理由はない。」
「あれ・・・おかしいな・・・
俺はいっぱいお世話をしてやってるつもりなんだけどな・・・。」
「例えば何を?」
「え?・・・いや、コーヒーを飲みに行ってやったり・・。」
「今度からはなしにしてもいいけどね。」
「それは困る!!!俺の水分補給が出来なくなるじゃないか!!!」
「・・・完全にお前が俺のお世話になってるだろうに・・・。
「そんな細かいことを気にするな!!
大きな男にはなれないぞ!」
「それは俺が言うセリフであって、藤本が言うセリフじゃないな・・・。」
そんなことを行っている間にもお弁当屋さんにたどり着く。
歩いて5分ほどの距離で意外と近いんだな・・・。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。