お弁当屋さん ~4~
大盛のお弁当屋さんはありがたい・・・
その後も毎日お店めぐりをするものの、
結局どこにも田中さんを見つけることはできなかった。
前回柊の部屋に来て、一週間が経過して、
「一週間毎日違う店に行ってるんだが、なかなかあたらないんだよな~。」
「へぇ~、田中さんっていう人は毎日バイトしてるのか。」
「・・・何でだ?彼女は週3でバイトしているだけだぞ?」
「・・・藤本・・・
お前・・・
何で毎日行ってるんだ?」
「だって、どこにいるか分からないだろう??」
何を言ってるのかが全く分からないのだが・・・
「いやだって・・・
週に3日しか、田中さんってバイトに行ってないだろう?」
「ああ!!」
「じゃあ、残りの4日はバイトしてないってことだろう?」
「その通りだ!」
「え?まだわからないのか?」
「何がだ!!そんなまどろっこしいことはいいから、ハッキリと教えてくれ!!」
「だから・・・
バイト休みの時に言っても田中さんに会えないだろう?
だって、バイトにいないんだからさ。」
「・・・え?」
俺は柊の言葉に愕然とする・・・
いや・・・
まさにその通りだよ・・・
休みの日に行って、どうして田中さんに会えると言うんだ!?
「俺の4日間の食費を返してくれ・・・。」
「いや、それは自分で気づけよな・・・。」
「おかげで、俺の財布の中は、今は108円しか入ってないんだぞ!!」
「まさに煩悩の数だな・・・。」
「うまいこというな!」
「いや、ネタだろうそれ・・・。」
「ネタじゃない!!
本当に108円しか持ってないんだよ!!」
俺は柊に財布の中身を見せると・・・
「・・・次の奨学金の振込は?」
「・・・知ってるだろう?
柊も同じ奨学金を受けている身なんだから・・・。」
そう、あと1週間!!
俺はあと一週間を108円で過ごさなければいけないのだ!!
だから、柊のところでタダで水分補給をしているのだ!
「どうやって過ごすつもり?」
「一応、親が送ってくれているインスタントのカレーやご飯、ラーメンを食べて
生活していこうと思っている。」
「まあ、何とかなるならいいけど・・・
もっと計画的に生活しろよ。」
「大事なのは田中さんのバイト先を探すのが最優先事項だ!!」
「それで生活を壊してたら元も子もないだろうに・・・。」
呆れるような顔で俺を見てくる柊だが、
もし、ここで田中さんに出会っていたら、この投資は成功だったはずだ!!
ただ、ちょっと休みの日にも通うという失態もあったのは否めないが・・・
「とりあえず、この一週間は田中さん調査は中断するよ。」
「当然だろう・・・。ってか、そんな金すらないだろうに。」
「大丈夫!いざとなったら・・・。」
そう言いかけたところで、
「貸さないぞ。」
「な、なんだって!?友達だろう!?」
「そんな都合のいいことを・・・。
だけど、じぶんの失態で金がないんだったら貸すわけないだろう?
これで少しはこりて、ちゃんと計画的にお金を使えよな。」
「むむむ・・・。」
そう言いながら、また柊はお弁当を取り出すのだが・・・
「・・・今日は更に一段と大きいな・・・。」
「だな・・。」
柊は苦笑しながら袋からお弁当を取り出す。
今日のお弁当も唐揚げ弁当なのだろう、唐揚げは見えるのだが・・・
「・・・今日も唐揚げ弁当なんだよな?」
「そうだよ・・・。」
蓋を開けてみると、唐揚げが入っているのはもちろんのこと、
コロッケや磯辺揚げも入っているのである。
当然、ご飯は前回と一緒の丼もの用の容器いっぱいに入っているのであった。
「それは・・・ギリギリに行っているからか?」
「それはアルと思うよ。ご飯は残したら破棄っていってたし、
こっちも明日には回さないから、出してる物はすべて料理してくれるんじゃないかな?」
そう言いながら、食べだす柊。
「ちなみに、そこのお弁当屋には若い姉ちゃんはいるのか?」
「ううん?
ああ、その天文部の友達の子は若い子だよ。
ただ、他の人らは・・・おばちゃんだな・・・。」
「・・・そうか・・・。」
そんなおばちゃんだらけのところには行きたくないな・・・
若い子が1人いるとはいえ、その子が接客してくれなきゃ、
おばちゃんと話さなきゃいけないんだろう?
それに数百円・・・
ないな・・・
だけど、柊の買ってきている弁当はうらやましいが・・・
そんなことを考えていると、
「どうせ、若い子が接客する可能性が低いからって、
数百円を惜しんだんだろう?」
「な、なぜわかる!?」
「・・・ホント、清々しいくらいろくでもないことしか考えないな藤本は・・・。」
「馬鹿!費用対効果っては大事なことだぞ!!
数百円を投じるだけの価値がそこにあるかどうかが問題なんだ!!」
「・・・数百円をケチるくらいなら、
お前の部屋に転がってるエロ本を一冊買うのを控える方が、
よっぽど効果は高いと思うけどね。」
「ばかな!!男として、あの文化を廃れさえるわけにはいかないのだ!!
だから、俺は必ず投資することにしてるんだぞ!!」
「・・・ご高説をありがとうございました。
で、今は何シリーズにはまってるの?」
「今は、ちょっとロリの方へ進んでいてな、
どうも好きになったのが田中さんだから、最近そっちに興奮してしまって・・・。」
「・・・捕まるなよ?」
「な、なんだと!?ちゃんと、現実と本の区別はつけてるわ!!」
「まあ、捕まっても証言にはたってやるよ。」
「・・・ちなみになんだと言うつもりで?」
「やると思ってました。」
「駄目だ!却下だ!そんな俺の尊厳を著しく下げる証言何っていらないわ!!」
こんなバカな話をしながら、一日が終わるのであった。
なるほど・・・
田中さんがバイトの時に行かないと、確かに田中さんには会えないな・・・
奨学金が振り込まれたら、週に3日だけ田中さんの近所の飯屋を探してみるか・・・。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。