天文部合宿 ~4~
微妙なカレーほどマズいモノはない・・・
食べる前に手を洗ってくると伝えて、
共同水道が置かれている場所へと向かう。
あのカレーを食べるための覚悟を決めなくては・・・
深いため息をつきながら、炊事場に向かっていると
炊事場には柊と・・・
なんだと!?
何とスレンダー美人が一緒にいるではないか!!
こうしてはいられない!!!
俺はダッシュで2人のもとへと向かうのであった。
「お米研いだことある?」
「ありますよ。」
スレンダー美人に尋ねられて、柊は米を研ぎだすのだが、
「もっとお米を研ぐときは米同士をこすり合わせるようにした方が
しっかりと研げて、キレイになるよ。」
そういいながらスレンダー美人がお手本を柊に見せていた。
「こうですか?」
「そうそう、上手だよ!」
・・・
・・・
俺が求めていた光景がそこにはあった・・・
何でだ、ちくしょう!!!
だが、これはスレンダー美人と仲良くなれるチャンスじゃないか!?
だって、今回狙っているスレンダー美人が
俺の知り合いの柊と話してるんだからな!!
そう考えて、柊に声をかける。
「やあ、柊。コメ研ぎかい?」
出来るだけ爽やかに言って、スレンダー美人に好印象を残す!
「ああ、みんなカレーを作ったことがあるらしくてね。
じゃあ、そっちはお任せして、大量にコメを研がないといけない力仕事は
俺がやろうかと思って。」
「なるほどな、えらいな。だけど、ほかに男子はいないのか?
柊と女性でコメ研ぎはなかなか重労働だろうに・・・。」
「うちの班の男子達は今、火を起こしているよ。
ちなみにこちらの方は別の班の先輩で、
コメの研ぎ方を教えてくれてるんだよ。」
「君も柊君と同じ大学?」
「はい!阪大学の一回生で、藤本と言います!
以後お見知りおきを。」
そう言って、頭を下げると、
「これはこれはご丁寧に。
私は看護大学の早川といいます。
三回生で、ちょっとだけおばさんだよ。」
「そんなことはないですよ!!
お綺麗な・・・。」
俺の言葉に目をぱちくりさせる早川さん。
ただ、すぐに笑顔を浮かべて、
「ありがとう。お世辞でも嬉しいな。」
そう言いながら、照れたような笑みがまた可愛らしい。
すでに俺の心は早川さんに鷲掴みされているのであった。
「早川!!」
どこからともなく早川さんを呼ぶ声が聞こえてきて、
「あ、呼ばれたから戻るね!頑張ってね柊君。」
「ありがとうございました。早川さんも頑張ってください。」
「はーい!」
そういって、手を振って呼ばれた方へと戻るのであった。
「柊・・・。」
「ガンバレよ。俺は手伝わないけどな。」
「!?早くないか!?」
「ええ、だって、そもそも俺が何を言おうと自分の思った通りに進めていくんだろ?
それだったら俺に手伝うことは何もないだろう?」
「むむむ・・・たしかにそうだな・・・。
まあ、俺の本気とやらを見せてやるよ。」
「・・・いつも本気をだせよ・・・。」
「いつも本気でやってるわ!」
「・・・じゃあ、禄でもない結果しか出ないんだから、
本気はだすなよ。」
「・・・今回は違うかもしれないだろう!!」
「いや、今回も同じ結果にしかならない気しかしないけどな。」
「ならば見ておれ!!俺の本気の本気をな!!」
「・・・無駄な本気にならないように気をつけなよ。」
憐れみを含んだ様な目で俺を見てくる柊をほっておいて、
森永に目をむけるのだが・・・
楽しそうに女子と話しながら野菜を切っていた・・・
・・・
よし!見なかったことにしよう!
森永の班は見ていない!
俺は現実に戻って自分の班へと戻るのだが・・・
想像してください・・・
芯まで火が通っていない人参とジャガイモ・・・
野菜でアルデンテを作らなくてもいいのでは?
しかも皮つきで・・・
めちゃめちゃ硬い皮が最後まで噛み切れずに残って
不快感が半端ないって!!
1/4サイズの玉ねぎ・・・
中までまったく火が通っておらずに
ものすっごく辛みが強くて食べられたものじゃない!!
ルーはこれでもかっていうくらいサラサラ・・・
ちなみにご飯はおかゆのように出来上がっていた・・・
あ!!
ルーとご飯が同じ感じだから、飲めるね!このカレー♪
・・・って、なると思うか馬鹿野郎!!!
こんなのカレーじゃねえし!!
スープだよ!!
更には・・・
残念微妙なイケメンの横にイモ姉ちゃんが座っており、
すでにラブラブオーラを2人から発せられている・・・
「ごめんね、サラサラにルーがなっちゃって。」
「初めてなら仕方がないよね。美味しいよ。」
「・・・ありがとう。」
・・・
そんな茶番を俺の前で見せるな!!!
これだから下半身で考えるような奴は!!
お前たち何をしにここに来たんだ!!
天文部の合宿なら、天文のことを勉強しに来いよ!!
男と女の関係を勉強しにきてんじゃねえよ!!!
まったくこれだか、大学生は猿だっていわれるんだよ・・・
この2人がラブラブなせいで、残った男達は微妙な中でカレー?を食べるハメになったのであった。
今日の夜はパーティーだから良いけど、
明日の朝ご飯もこの班で作るってのはどう考えても不安だな・・・
俺の不満足な昼食はこうして幕を閉じたのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。