10連敗祝い ~1~
10連敗に到達!!
「今日は皆さん、俺のために集まってくれてありがとう!!」
8月末の夏休み真っ只中、
俺の掛け声で今日の飲み会が始まる。
「あ、私、唐揚げが食べたい!」
・・・俺の掛け声を聞かない岩崎さん。
「じゃあ、俺は出汁巻き。」
嬉しそうにメニューを見ている森永。
「俺、最初は野菜が食べたいから・・・シーザーサラダで。」
壁のメニューを見ながら注文する柊・・・
「お前ら・・・
俺の話を聞け!!!」
「ほら、柊、スポンサーが怒ってんで。」
それでもメニューを見る岩崎さんに、
「柊、ちゃんと聞いてるのか!」
こっちもメニューから目を離さない森永。
「ってか、俺だけかよ!!
お前らもメニューから目を話して、スポンサーの話を聞けよ!」
柊は怒って岩崎さんと森永を注意するが、
「あ、あそこのおすすめのマグロの山かけってありますか?ある?
じゃあ、お願いします。」
「って、柊も注文してるんじゃない!!
そもそも・・・
スポンサーってなんだよ!!」
「「「財布」」」
「見事に声が揃ってるな・・・。
そして、そんなことを俺は聞きたいとは思ってないんだけど・・・。」
3人の息がピッタリでなによりだよ・・・
「今日は3人に来てもらったのは、事前に伝えたと思うが・・・
ついに・・・
10連敗を喫してしまったからだ!!」
「あ、柊君、しょうゆ取って。」
「はい。」
「って!きけえ!!」
「「「はいはい」」」
「そんな適当な返事で息ピッタリにしなくていいからな!」
「だいたい聞いてるって。
10連敗したからみんなに祝って欲しいんだろう?」
「・・・そんなお祝いをされるのは屈辱なんだが・・・。」
「分かってんで。愚痴をいいたいねんやろ?
だから、今日の会費は無料やねんな。」
「・・・そうですけど・・・。」
「せやから、家庭教師の給料日である、今日選んでんやから。」
「それで!?」
「そらそーよ!ちなみに藤本君の今月の給料は3万3000円だから、
そこが上限やで、柊君と・・・残念君。」
「え!?残念君っておれのこと!?」
「ちなみに自分の名前は?」
「・・・森永っていいます・・・って、さっき自己紹介したじゃないですか!?」
「・・・ああ・・・
私・・・
イケメンフィルターがあんねん。」
「それ、あんに俺がイケメンじゃないって言ってるようなモノですけど・・・。」
「せやで、せやから自分が悪いんやん!」
「しかもこっちのせいにされてる!?」
「まあ、2、3時間タダで美女と話せる思うたらええんちゃうん?」
「・・・。」
森永は岩崎さんに圧倒されるのであった・・・
「って、いやいや、話題は俺だから!!」
そう!岩崎さんでも森永でも柊でもない!
本日の話題は俺!!
「ほな、とっとと初めてや。」
そう言いながら、サラダを食べる岩崎さん・・・
絶対に人の話を聞く気がない・・・
「この間の教習所の受付のお姉さんにフラれた時も思ったのだが
俺は女性に伝える時にうまく伝えきれていないように思えるんだ。」
「・・・違うと思うぞ。」
「いやいや、あれはやはり誤解を与えたんだ!!」
「五階?いや、ここは1階だけど。」
「そっちの五階じゃない!!
電話番号を教えてくださいって言えば、仕事中であれば確かに教習所の番号を教えるし、
ご飯が食べたないっと言えば、パンを差し出しくれるだろう・・・。
そう!俺は言葉足らずなところがあるんだ!!」
「・・・この子、こんなに残念なんやね。」
「ええ・・・ですけど・・・
残念がここまでいくと・・・
滑稽でしょう?」
「辛辣!?ちょっと待て柊!俺が滑稽ってどういうことだ!?」
「言葉のままだけど。」
その横で岩崎さんはスマホをいじりながら、
「滑稽・・・
笑いの対象になる。面白いこと・・・。」
「いやいや、言葉の意味を聞いてるわけじゃないんですよ!!」
そんな俺と岩崎さんのやり取りを聞いていた森永が、
「お、ぴったりじゃん。」
「いやいや、親友なら否定してくれ!!」
「珍友?」
「いやいや、“ちん”ではなく、“しん”だ!
し・ん・ゆ・う!」
その言葉を聞いた柊が拍手をしながら、
「珍友ってうまいこというなー!じゃあ、次の注文権を森永に贈呈するよ。」
「マジで!?サンキュー、じゃあどれにしようかな・・・。」
「まてまて!
珍友って!!
珍しい友人か?
俺は!!
そして、今日おごるのは俺であって、柊じゃない!
俺に注文権を譲渡する権利があるだろう!!」
「そっか・・・。藤本、このスルメイカの一夜干し美味しそうじゃないか?」
「うん、うまそうだ。」
「すいません!スルメイカの一夜干しください!」
「いやいや、俺が美味しそうだって言ったから良いってもんじゃないだろう!」
「選ばせたじゃないか~。」
「まて!森永、お前がこれどう?って見せてきただけだろう?」
「YESかNOか選らばせたじゃん。」
「いやいや、この場合には俺がメニューの中から選ぶという権利じゃないか?」
「なるほどね!
藤本!
確かに説明不足だったな!」
「ここで!?」
「お前の欠点だな。気づいたならちゃんと直していこうな。」
「お、おう!・・・じゃないだろう!
女性に対して説明不足という話であって、居酒屋の注文の仕方についてではないし!!」
そんな俺に同意してくれる柊なのだが、
「そうだぞ、森永・・・あ、ロシアンたこ焼きください。」
「いや、すでに先ほどの決定権もなくなったんだけど・・・。
おかしい・・・俺に聞いてから注文するのでは?」
「え?聞こえただろう?」
「聞こえたが、それは店員さんに頼む時に聞こえただけで、
決して事前に聞こえたわけではないんだが・・・。」
そんな柊との会話の中で、注文を取りに聞いていた店員さんに
コソコソと注文をする岩崎さん。
「いや、せめて何を頼んだか聞こえるようにお願いいます。」
「え~、乙女には男子に聞かれたくないこともあるのよ。」
急に乙女と言い張る岩崎さんに、
「・・・乙女?」
スパーン!!
見事な音を響かせてメニュー表で柊の頭を叩く。
「柊君、何か文句でも?頭叩くわよ。」
「すでに叩いてるし!!乙女ってのは無理があるでしょう!」
スパーン!!
いい音が居酒屋に響くな・・・
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。