差し入れ ~1~
女の子から差し入れ・・・欲しいっす!
ある日の夕方俺は見てしまった。
その日は部活もない日曜日。
学食も空いてないので、森永を誘ってご飯でも食べに行こうと誘ったのだが、
どうやら森永はどこかに出かけているらしくて、
一緒には食べれないと断られた。
しかたがないので1人近くのごはん屋さんに行って帰ってきた時に、
とある女の子の後姿を男子寮の傍で見かけたのである。
その横顔を見た時に俺は思わず声をかけようとした。
その子の名前は田澤さん
我がオーケストラ部の同級生であり、
なかなかの容姿を持っており・・・
何より・・・
今まさに俺が狙っている女の子であったのだ!!
御船さんにはフラれたが・・・
まだまだ選択肢は十分にあるからな!
ある程度の距離まで近づいた時に
田澤さんが柊と話していること気づいたのであった。
「わざわざ、こんなことしなくてもいいのに。」
「ううん、作り過ぎちゃったから。
それにこの間の実験でデータ取りお世話になったから。」
そう言いながら田澤さんが柊に紙袋を渡していたのであった。
そのタイミングで、
「よ!田澤さん!柊!」
俺は2人に声をかけたのであった。
そうすると2人は驚いたような顔を浮かべているのだが、
何で驚いたような顔をするのだろうか?
「今、お帰り?」
「そうだ。」
柊に同意しながら、俺は柊が貰った紙袋を覗き込むのであった。
「ちょ!見るな!」
柊が急いで隠すが、俺はすでに中身を見ており、
「これって・・・田澤さんの手作り?」
「う、うん・・・。」
困ったような顔をする田澤さんだが、俺の中では田澤さんのポイントが上がっていく。
彼女は地方出身者であり、今は1人暮らしをしているのだ。
だからなのだろう、柊へ手作りのご飯を分けているのだ。
「今度俺にも作ってきてくれないか?」
そう田澤さんに頼むと、
「う、うん。いいよ。」
「おお!よろしく頼む!!」
どうやら田澤さんの手作りご飯を食べれるようだ!!
これで俺も一歩田澤さんに近づけるな!!
「ほら、用事が終わったら、部屋に戻ったら?」
柊が俺に部屋に戻るように促すのだが、
俺は今は田澤さんを狙っているので、部屋には戻ることはない!!
「せっかくだし、もうちょっと話でも・・・。」
そう言いかけるとすぐに柊が、
「そういえば田澤さん、今から用事があるんだったよね?」
「え、あ、うん。・・・それじゃあ。」
・・・まあ、用事があるなら仕方がないな。
「それじゃあ!」
「これありがとう!気をつけて帰ってね。」
そう言って、俺達は田澤さんを見送るのであった。
「それ何が入ってるんだ?」
「さあ?」
柊が自分の部屋に戻ろうとするので、俺もついていく。
「・・・何でつい来るんだよ?自分の部屋に戻ればいいだろう。」
「いや、何が入っているのかが気になってな。
もし俺が嫌いなものが田澤さんが得意だったら、
先に言っておかないとお互いが不幸になるから。」
「・・・それは、田澤さんに伝えればいいじゃん。
このネタでメール送れるだろう?」
「ああ・・・だけど、俺は田澤さんのメールアドレスは知らないんだよ。」
「・・・じゃあ、今度会った時の話題にしたら。」
「ああ、そうするよ!!」
「・・・それでも帰らないんだな・・・。」
「ああ、だって見せてもらえるまでは!!
次に俺がもらえると分かっていれば、
どんなモノがもらえるかって気になるじゃないか!」
どうやら柊も諦めたようで、部屋に戻り、
先ほど田澤さんから貰った料理の数々を見せてくれたのであった!
カレー
豚の生姜焼き
玉子焼き
・・・何かバラバラな組み合わせだな・・・
「・・・先に言っておくけど、俺が好きだって言ったやつだからな。」
「・・・好きな物を作ってもらったのか!?」
「いや、あの時はどんなものが好きかと聞かれたから答えただけで
作ってくれるとは言ってなかったんだけど・・・・。
それにこんなにも、しかも同じタイミング貰っても、食べきれないんだけどね。」
苦笑している柊に、
「なら俺が!!」
手をあげるのだが、
「何で人から貰ったものをお前にやらなきゃならないんだよ!」
その後も粘ったのだが、柊は残念ながら渡してはくれなかったのであった・・・
ケチ!!!
まあ、俺にも作ってきてくれると言っていたので、
それに期待しておこう!!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。