野球スパイク製作のバイト ~3~
次の日も生き生きと工場へと向かう、藤本と北谷・・・
昨日とは本当に別人のようだった・・・
「森永はテンション上がらないの?」
柊が2人を見ながら、俺に尋ねてくる。
「え?いや、確かに可愛かったけど、
あの二人を見ていると一歩踏み出せないな~。」
「まあ、あの二人が狙っている相手に、踏み入っていくのはなかなかパワーがいるからね。」
「だよな~・・・。」
思わずため息をついてしまう。
ハッキリって・・・
タイプだ!!
元気はつらつな娘さん!!
誰にでも明るく接してくれる!
昨日も帰りに工場長を迎えに来ていて、
俺達に、
「お疲れさまでーす!」
と明るく挨拶してくれたのだ!!
それだけで俺の中のポイントはググっと上がっていくのだが、
それ以上に2人のパワーに圧倒されて、俺からのアピールをする気を抑えられていた。
「まあ、森永がそれでいいならいいんだけどね。」
「・・・良くは・・・ないか・・・。」
「それなら頑張れよ。」
「・・・分かった・・・。」
柊に応援されて、それに答えながらも自分の中では大丈夫か?と思ってしまう。
あの二人の中を割って入るんだ・・・
そんなことを考えながら、昨日と同じように昼休みを迎えると、
「こんにちは!!」
そういって、娘さんがお弁当を持って、現れるのであった!
「「こんにちは!」」
藤本と北谷がすぐに返事をする。
俺も遅れて、挨拶をするのであった。
そして、3人・・・いや、4人で会話をする!!!
・・・柊はいつも通りお弁当を食べていて、こちらには興味を全く示さない・・・
「今は、私も春休みなんですよぉ~!」
「そうなんだ!!どこの大学なの?」
「○○大学です!」
「ああ!ここから近くにあるね!」
「そうなんですよー!オトンが家から出るなって言うから!!」
そんな会話をしていると、
「当たり前だ!!まだまだ1人暮らしなんか早いねん!!」
工場長のお出ましだ!
その後も5人で会話をしているのだが、
なかなか俺がその中に割って入るのはなかなか難しいのだが、
それでも会話をしないとおぼえてもらえない!!
どうにかして、この2人を押しのけて話を・・・
そう思っていると、ふと助け船が入るのであった。
「ねえ、そのキーホルダー、あのバンドじゃない?」
柊がみんなに聞こえるくらいの音量で、
俺に尋ねてくるのであった。
「え!?もしかして知ってるん!?」
驚いたような顔をして、こっちを見てくる娘さん!!
俺は柊に促されて娘さんの車のキーに付けられている
キーホルダーを見ると・・・
「ああ!?あのバンドじゃん!!」
それはいつも部屋で流しているバンドのネームを模ったモノである!!
「ええ!?知ってる人に初めて会ったかも!!」
食い入るように俺の方を見てくる娘さん!
俺が何を言おうかと手間取っていると、
「この間、2人で聞きに行ったんだよ。あそこのホールであったのを。」
柊がそんな助け船を出してくれるのだった!
「ええ!?あそこ行ったんですか!?うちも行ったんやでぇ~!!」
興奮気味にこっちを見てくる娘さん。
「いったいった!前の方の席よ!」
「ええ!!うらやんましい!!
うちら後ろの方で、もうめっちゃ小さいんですよ!!
うわぁ~、めっちゃうらやましいわ~。」
その後もバンドの話で盛り上がっていく。
藤本と北谷はふてくされている表情をしながら、
こっちをみているだけである!
2人とも俺の部屋に来た時、聞いてるとは思うけど、
そんなに詳しくないのは明白だ!
だから、俺と娘さんの会話を邪魔することはできないし・・・
「あのアルバムもってるんですか?」
「持ってるよ。」
「うわぁ~!!うち、見つけられなくって!!」
「じゃあ、明日コピーしてくるよ。CD-Rだけどいい?」
「全然OKです!ホンマにありがとう!」
うぉぉおお!!渡す約束までしたんだけど!!
柊ナイスパスだ!!!
俺は心の中で、柊に感謝しながら、娘さんとの昼休みの会話を楽しむのであった。
そして次の日もCD-Rを話しのネタに2人で会話を楽しむのであった・・・。
いよいよ・・・
俺にも春が来るのかよ!?
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。