引っ越し屋さん ~1~
柊は春休みに入ると日中の時間にバイトを入れていた。
塾の講師と引っ越しのバイトだ。
「あいつもホント、時間があれば勉強かバイトかしてるな。」
「そうだな~。まあ、自分の学費は自分で稼いでいるとそうなるのかもな。」
森永と俺は、森永の部屋で柊を待っていた。
今日は、みんなで後期の試験を終えたので、
お疲れ様会を開催する予定なのだ!
近所の安居酒屋で飲み放題付きで、
1人2500円とリーズナブルな店をすでに予約されている。
・・・まあ、残念なのは10人ほど集まって、全員が野郎ということだけだろうな・・・
「しっかし、せっかくのお疲れ様会なのに野郎しかいないとわなぁ~。」
「そう言うんだったら、藤本が女の子を呼べばいいだろう?」
「それが出来たら、こんな飲み会には参加してないわ!!」
「だろうな。じゃあ、諦めろよ。」
「・・・2回生の前期後のお疲れ様会は、絶対に彼女とやるからな!」
「・・・それ、前回の前期のお疲れ様会の時も聞いたけど?」
「・・・半年というのは、俺にとってはまだまだ準備期間なんだよ!!!」
「はいはい、じゃあ、しっかりと準備期間が終えることを願っておくわ!」
「絶対に俺がないと思っているだろう!!」
「ああ、間違いない!」
「いや!何を断言してるんだ!!俺の実力が発揮されれば・・・。」
そこまで俺が言いかけたところで、廊下から
「無理だろう。」
柊までもが俺の意見を全否定するのであった!?
「な、何をいきなり現れて否定しているだ!!」
「ちょっと、まだ寮のお風呂は開いてないから、
とりあえず濡れタオルで体を拭いてくるわ。もうちょいまってて。」
「おうよ!まだまだ時間があるし、ゆっくりしてくれ。」
森永と柊がそんな会話を交わしていた。
・・・俺の意見は完全に無視した状態で・・・
しばらくすると柊が服を着替えてやってくるのだが、
「・・・どうしてイイ匂いをさせてるんだ?」
「?エチケットだろう?」
柊が来ると制汗剤の匂いがして、先ほどまでの汗もキレイに拭き取られたのである。
「これが、モテる男ともてない男の差だろうな・・・。」
そう言いながら俺をジト目で見てくる森永。
「いやいや!俺だって、女子がいれば制汗剤使うぞ!!」
「・・・いなくても使うところが、周りに気遣いが出来てる証拠だろう?」
「そんな制汗剤の無駄遣いなんってできんわ!!」
「他にも色々無駄遣いしているのに?」
「そんな無駄遣いはしていないわ!!」
「・・・あのピラフ屋さんは?」
「ふぐ!?・・・あれはただ食事をとるために行っていたんだぞ!
け、決してやましい気持ちはなかった・・・。」
「・・・じゃあ、なんで最近行かなくなったのかなぁ~?
この間、お前のお気に入りの子が男と歩いているのを見てからじゃない?」
ニヤニヤと痛い所をついてくる森永。
すべての事情をしっているためか、なかなか否定することが難しい・・・
「しっかし、いくらくらい使ったんだ?あの店に?」
「・・・3万くらい・・・。」
「・・・で、残ったのは?」
「・・・体重・・・。」
「・・・今日の飲み会、辞退したらどうだ?
これ以上太ると今持っている服を全部入れ替えなきゃダメだろう?」
「そ、そこまではひどくないわ!?」
そう言いながらも俺は先日、ズボンのボタンが飛んだことを思い出す・・・
あのズボンは持っている中では確かに元々きつめだったけど、
他のもきっと同じような状態だろうな・・・
ちなみに今日はご飯を食べる気満々のため
ジャージズという、ジーンズのようなジャージを履いていた!
・・・もう、現時点でもジャージのような服しか入らないのである・・・
浪人時代の服がすでに入らないとは・・・
まだ一年しか経っていないのに!?
・・・おそるべし1人暮らし・・・
あとは、まあ、浪人時代や高校時代に比べて、歩く機会もへったからかな?
うん!俺が悪いわけではない!ご飯は食べないといけないし!!
そっか、じゃあ、少しだけ心持歩く機会を作るとしよう!!
そうすればすぐに問題は解決だ!!
俺って頭がいいなぁ~!!
素晴らしい案を思いついた頃には、すでに予約を入れている時間の10分前になっており、
「じゃあ、そろそろ行こうか。」
その言葉に従って、俺達は今日のお疲れ様会へと行くのであった。
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。