学祭 ~一回生:柊の彼女編 5 ~
美人が歩くと・・・
藤本にも話しかけてくれる柊の彼女さんなのだが、
藤本の回答は・・・
「お、おうぅ!!」
とか、
「あ、あ、ああぁぁ!!」
・・・
何てポンコツぶりだよ!!
アレだけ人に言っておいて、自分もポンコツじゃねえか!!
え?
俺?
もちろん俺もポンコツだ!!
さっきから、柊の彼女が俺達に気を使ってくれて
話しをふってくれたりしているけど、
全然まともに会話がかみ合ってないのが分かる。
もう、頭ものぼせ上って回答出来ないんだよ!!
頭がまったく回らないんだよ!!
心臓もバクバクいっていて、今にも俺倒れそうなんだけど!!
ダメだ!!
このままではダメなんだ!!
このまま2人ともがまともな会話が出来ないなんて許されないんだ!!
せめて、お友達を紹介してほしいって言わないと!!
・・・
結局何も言えずに柊の彼女さんとの触れ合いの時間は終わったし・・・
「じゃあ、俺達、2人で学祭回りたいから!」
そう柊に終わりを告げられたのであった。
彼女さんも『ごめんね』っと言ってくれた。
ううぅ・・・
ごめんねの言葉がこんなに俺達の言葉を塞ぐ効力があるなんて!!
その言葉だけで・・・
俺・・・
鼻血が出そうなんですけど!!
美人の申し訳ないって顔をしての微笑みってこんなに破壊力あるのかよ!?
もう俺は言葉出せない!
自分で言うのもなんだけど・・・
所詮、俺はモブキャラだもん!!
だから、藤本に期待する!!
藤本なら!
確かにさっきはポンコツだったけど・・・
それでもこいつの度胸にはいつも目を見張るものがあるんだから!
こいつのアイデンティティは目の前にいる女性には何が何でも声をかける!
そして、連絡先をきくことなんだから!!
・・・
って、こいつもやっぱり使えないじゃないか!!
どうした藤本!!
いつものふてぶてしい態度はどこに行ったんだよ!!
いつも空気を読まずに声をかける度胸はどこにいったんだよ!!
ほら、柊の彼女さん行ってしまうぞ!!
・・・他力本願なのは分かっている・・・
だけど、俺は所詮チキンなんだ!!
藤本にかけているんだよ!!!
・・・
ああ・・・行ってしまった・・・・
「森永・・・。」
「あ?」
「俺は今まで美人に色々と会ってきたつもりだった・・・
だが!
アレが本物の美人なんだな!!
今まで会ってきた連中が偽物にしか思えないぞ!
うちのオーケストラ部の女子ども何って偽物ぞろいだぞ!!
うちの学校の女子どもなんて偽物ぞろいじゃないか!!」
そう大声で宣言する藤本!
本物の美人を見て、興奮するのは分かる・・・
俺もその気持ちはまったく一緒なんだから・・・
だけど・・・
だけどさ・・・
もうちょっとだけ空気を読んでくれ・・・
ここがステージ前なのは分かっているよな?
お前はすぐに自分の楽器だけを片付けて戻ってきたけど、
まだオーケストラ部の面々はここにいて片付けをしているんだぞ?
・・・
おお!!
凄い視線が俺達に注がれているな・・・
今まで見たことがないくらいの鬼の形相の女子達が
それはそれは冷たい視線を俺達に注いでくれてるぞ・・・
何だろう・・・
明日から学校でまともに生活できない気がしてきたな・・・
藤本、明日にでも退部届を書けって脅迫されるんじゃないか?
俺達が、完全に大学生活を詰んでしまっている前で、
柊と柊の彼女さんは幸せそうな笑みで歩いていた。
・・・どうしてこんな対照的になってしまったんだろうか・・・・
片や幸せな2人・・・
片やすべての女子を敵に回して、いつ刺されてもおかしくない状況になった2人・・・
どこで間違ったんだろうか・・・
そんな疑問が湧きおこりながら、俺はただただ前を行く、幸せそうな2人を眺めていた。
すると俺は目を疑うような光景を見ることになる!
なぜか、柊と柊の彼女が歩いていく前方にいる人々が左右に分かれていく・・・
「藤本・・・。」
「森永・・・。」
俺と藤本はお互いたぶん目の前の光景に絶句したのだろう・・・
柊達の前方にいる人々が柊の彼女を見ると・・・
みんなが・・・
道を開けるのだ・・・
俺は・・・
モーゼの海割れの軌跡をこの目で見ることになったのである・・・
俺・・・
これから柊の彼女を崇拝しようと思うよ・・・
柊の彼女教・・・
俺、信仰深い信者になります!!
気づいた点は追加・修正していきます。
拙い文章で申し訳ないです。