たび
たびとはふしぎなものである
その地その空その地の人らが
いつもの日々を過ごしていると
そこを訪れたたびびとたちが
蠢かしくまた数奇でもある
彼らの思いや感情を
気づかぬうちに置いてゆく
通りがかりの薫風のように
またすぐいづこへ去ってゆく
たびはなににもならぬのだ
その地の誰にも見えず聞こえず
しかし彼ら たびびとだけは
そこにたびがあった事を知っている
たびとはふしぎなものである
ーー
あなたは旅人だ
場所を移ろい
景色を移ろい
そうして目的地を目指す
しかし目的地には
あなたの思い通りのものは
見つからなかったかも知れない
あなたは旅人だ
帰るための場所を探そう
根付くための場所を探そう
あなたがそこに腰を落ち着かせた時
あなたが暖炉に火をくべた時
旅は記憶の中で光をまして
そして旅で何気なくみた大切な何かを
あなたはきっと自分の旅に見出だすだろう
あなたは旅人だ
時間が経って暖炉の薪が無くなれば
薪を探しに出かける事もできる
そこでまた何かを思いつく事もできる
何かを見たり出会ったりする事もできる
人生とは旅だ
旅はあなたの中で一層輝く
あなたは旅人だ