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桜散るバス停

さくらと出会ってから、2年近く経った。

僕の話は黒宮さんばかりだったけれど、そのうち進路の話も混ざるようになってきた。

進路は思ったより早く決めたけど、いつも話さなかった。

でも、受験も合格したことで、進路はどうにか決まった。


そしてもうすぐ、僕は卒業する。




。:*━❀━*:。━✿━。:*━❀━*:。━✿━。:*━❀━*:。




「黒宮さん、警察になるんだってさ。」


『....にゃあ。』


そうなんだ、といった感じでさくらは鳴いた。

黒宮さんは正義感が強いし、運動神経もいいし、意外と勉強もできる。

だから、すごくぴったりだと思った。


それに......




「なあ、さくら。」


『...?』


「黒宮さんが警察って、すごくぴったりだと思うんだよね。」


『...にゃ?』


僕が話しかけると首をかしげたさくらが、僕の言葉でさらに首をかしげた。

そんなさくらに、僕は言葉を続けた。


「だって、強いし優しいしかっこいい、正義感も強い。

それに、桜って警察の人がつけてるマークじゃないか。」


『...!』


さくらは驚いて、目を見開いて、僕を見つめる。

そのうちに恥ずかしくなったのか、下を向いた。


「僕もちょっと、かっこよくなろっかな!

ほら、僕じゃなくて俺っていうとか!」


そんなことを言うと、さくらはばかなの? とでも言うようにぽかーんと口を開けている。

なんかさっきまでの雰囲気が嘘のよう......悲しい。


「そんな顔しないでよ......ちょっと悲しい。

ところでさ、僕...あ、いや、俺の名前ってさ、虎井 (すばる)じゃん?

統って、統べる、とか統一の(とう)っていう字なんだけど、この日本を犯罪のない国に統一する!......ってのはどうかな?」


さくらは真剣そうな表情でこちらを見つめて、そのうちにいいんじゃない? というようににゃあと鳴いた。


「後、トライって、英語で言う挑戦なんだよね。

だから、頑張ってみたいなって。

大学もなんとか合格できたし、このまま頑張って....つまり......



さくら、俺、警察になろうかな。

......いや、なりたいな。

てか大学合格したんだし、なってみせる。」


『......にゃあ!』


そんなこと言うならさっさとなりなさいよ! といういかにもツンデレっぽそうな感じで鳴かれた。

可愛い。


「応援してくれるのか?

ふふっ、ありがとな。

卒業したら、さくらにも会えなくなるなぁ。」


『............』


しゅん、と下を向いて、と思ったら顔を横に振った。

会えると思っているのだろうか。

なら俺も頑張って会いに来よう。


「さみしい? ま、大丈夫。

きっとすぐ、また会えるさ。

......バス、来たな。 じゃあ、またな。 さくら。」





それから、後何回か会っただけで、卒業してから会うことはなかった。

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