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ご当地ラーメンで異世界の国おこしって!?  作者: 忠六郎
第三章 シェルブルック王国編
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第六十三話 結果発表ー!

夢中で書いていたらかなり長くなってしまったので、キリの良い所で分割致しました。

なので今回は短めです。

引き続きよろしくお願い致します。

久しぶりにご感想をいただきました。

ありがとうございます。



そしてその日の晩、


王宮の庭園では、今回のバザーの出店者達が集まっていた。

庭園の中心には木組みで建てられたステージがあり、出店者達はそれを取り囲むように立っている。


「改めて見るとすごいね、幹ちゃん。

こんなにいっぱいの人がお店を出してたんだ」


「あぁ、そうだな。全部が飲食店じゃなかったけど、それでもこりゃ凄いな…」


しばらくすると、ステージ上に一人の女性が現れた。


「皆さん!今日はお疲れ様ー!

じゃあこれから、募金額の上位、トップテンの順位を発表するわねー♪」


司会進行をするのは、なぜか主催者のローラ王妃ではなく、ジュリア王妃である。

公の場が苦手なローラ本人は、ステージの端で引きっつた笑顔をしながら周囲に手を振っていた。


今回のバザーでの募金は各店舗の営業利益の半額と決まっており、それが各店舗の売り上げの目安になる。

ローラが幹太達に出した条件は、飲食店での売り上げ一位である。

全店舗の一位となると、高額な商品を売る店とラーメン屋台では公平な勝負にならないからだ。

屋台できる飲食店という括りがあれば、単価にそれほど大きな差はない。


「き、緊張します…」


アンナは早くも顔をこわばらせている。


「わ、私、ちょっとお花を摘みに〜」


「ダメですよ、ソフィアさん!

もう始まってしまいます」


「あぁ〜」


緊張のあまり、尿意に襲われたソフィアの首根っこをシャノンが掴んだ。


「さぁ!いくわよー♪まずは十位からね♪

十位はお洋服店サラ!お隣、クレイグ公国のお店ね!

遠くから参加してくれてありがとー♪」


という様に、ジュリアは次々と順位を発表していく。


「うぅ…胃が痛い…」


その痛みに、幹太は日本で屋台を始めたばかりの頃を思い出す。


『あの頃は赤字の日もあったから…、売り上げを数えるのが憂鬱だったなぁ〜』


昼間の客足を考えれば万が一にも赤字という事はないだろうが、トップテンに入っていない可能性は十分にあると幹太は思っていた。


とそこで、


「幹太さん…」


アンナが幹太の隣にやって来て彼の手を握った。


「大丈夫ですよね、私達」


「ラーメンは売り切れたんだから、少なくとも俺達にできる最大の努力はした。

うん…だからきっと大丈夫さ」


「そうだね、幹ちゃん」


元々幹太の隣に居た由紀も、しっかりと彼の手を握る。


「シャノンさん…もう幹太さんの手が空いていません〜」


その姿を背後から見ていたソフィアが、ヒソヒソ声でシャノンにそう言った。


「では私と繋ぎましょう」


「ありがとうご…あら?

ふふっ♪シャノンさん…ご緊張なさってたんですね♪」


ソフィアの手を力強く握ったシャノンの手は、汗でべっとり濡れていた。


「えぇ、まぁ…」


「ご自分の事ではないのに、ありがとうございます♪」


「親友のお二人と妹の運命がかかってますから」


二人はそう話し、再びステージ上へと視線を戻す。


「それじゃあ次は五位。

五位は〜ガレットの店サファイヤね!ここのお店はこのブリッケンリッジにあるわ!」


そしてついに上位に飲食店が入った。


「こ、これでこのランキングに入らないと…」


「うん、マズいね、幹ちゃん…」


姫屋は五位以内に入らないと、ローラから出された条件をクリアでないということだ。


「づついて四位!

あら、これもブリッケンリッジのお店ね。

麺のバーンズ!」


麺のバーンズは、ブリッケンリッジの中央市場にある米粉麺のお店だ。


「お願い…」


アンナは心から祈った。


『婚約の事もあるけど…、お願いだからラーメンがこの国でも受け入れられるって証明して…』


ローラは必死で祈る娘の姿を、ステージ上から優しい瞳で見つめていた。


「さぁ、ついにベスト3!いくわよー!

第三位は…ん〜、」


ジュリアはたっぷりとタメてからその名を呼ぶ。


「三位は姫屋!ラーメンの姫屋!

この世界に新たに登場した、ラーメンというお料理のお店よー!」


「よしっ!!」


「やりましたー!」


「やったね!幹ちゃん!」


幹太とアンナと由紀は思わず抱きしめ合う。


「まだですっ!」


ソフィアが珍しく大きく声で、喜ぶ三人を一喝する。


「えぇ、二位、又は一位が飲食店ならば…」


そう言うシャノンも、真剣な表情を崩していない。


「そっか、そうだったな…」


三人は再び手を繋ぎ、二位の発表を待つ。


「それじゃ、続けるわね。

続いては〜二位!二位は家具のスルモークよー!」


「幹ちゃん、この世界で家具ってどのくらいするんだろ?」


「どうかな?単価もピンキリだろうし…」


日本で考えればバザーで売られている家具がそれほど高額とは考えにくい。数だって屋台にはそれほど置いておけないだろう。

つまり、一位が飲食店の可能性もまだ残っているのだ。


「さぁ最後!一位の発表よー!」


そして遂にその時はやってきた。


「俺、ラーメン屋やっててこんな緊張すんの初めてだ…」


「私もです。わが国の代表として、他国の方にご挨拶する時の方がいくらかマシです…」


「うん。ラクロスの決勝前でもここまで緊張しないね…」


「わ、私、力んで少し出ちゃいました〜」


「ソフィアさんっ!引き留めてしまって申し訳ありません!

ま、まさかそこまでギリギリだとは…」


五人の緊張が最高潮まで高まったところで、ジュリアがその店の名を大きな声で発表する。


「一位はモーリスカンパニー!」


「「「「「へ?」」」」」


幹太達は揃って間の抜けた声を上げた。

一体なんのお店なのか分からなかったのである。


「うふっ♪」


とそこで、ステージ上のジュリアが五人に向けてパチリとウィンクをした。


「モーリスカンパニーは宝石店でーす!

なんとこの会場ですべての商品を完売しましたー!

皆さんありがとー!」


ジュリアはそう言って会場に集まった人々に向かっで手を振った。


「やりましたよ幹太さんー!!」


「やったよー!幹ちゃん!!」


「よ、良かったですー!!」


アンナ、由紀、ソフィアの三人は、喜びを爆発させて幹太に飛びつく。

因みに右にアンナ、左に由紀、そしてソフィアはなぜか幹太の背中に飛び乗っている。


「あぁ…やった…のか…?」


一方、飛び付かれた幹太はまだ信じられないといった表情で、ソフィアの胸を頭に乗せたまま呆然としていた。


「やったんだよ!幹ちゃん!

あー良かったぁ〜これでみんな一緒に居られるよ〜♪」


「そうですよ!幹太さん!

やりました!これでみんな一緒にお嫁に行けます!」


「私、一度村に帰って報告を〜♪」


「良かったですね、お三方…」


四人にそう言われ、幹太の中でジワジワと勝利の実感が広がっていく。


そして、


「よっしゃー!!!」


幹太はそう叫び、天高く拳を突き上げた。

そして今度は三人を抱き付かせたまま、グルグルとその場を周り始める。


「はははっ♪やった!やった!」


「きゃー♪幹ちゃん♪」


「幹太さーん♪」


「あら〜♪」


こうして幹太達は、ローラの出した婚約を認める条件を見事にクリアしたのである。



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