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ご当地ラーメンで異世界の国おこしって!?  作者: 忠六郎
第6章 四人の花嫁編
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第255話 本懐

「最高の一日だったな…」


医務室から客間へと戻った幹太は、しみじみとそう呟いた。


「フフッ♪勝負には負けちゃいましたけどね〜♪」


「まぁ残念だったけど、今回はそれでいいんじゃないか?」


「うん♪結局、ダニエルさんとこもおめでたいし、それで良かったんだよ♪」


「そういえば…クレア様への勝負の報酬はどうするんでしょう?」


そう話す幹太、ソフィア、由紀、ゾーイの四人は、今日一日の興奮を冷まそうと、珍しく四人で客間のバーで飲んでいた。


「そうだな。マーカス様が別と言っても、クレア様はなんだかんだで俺たちと一緒にいるだろうかから、それでもいい気がするけど…」


「そういえば…アンナはどうしたの?」


「アンナさんならお部屋に戻りましたよ〜」


ソフィアは客間へ戻る途中、少し飲みませんかとアンナを誘っていた。


「へっ?どうして?」


「フフッ♪少し疲れたので、先に休みますって、元気に言ってましたけど〜♪」


「あ!もしかして…二人ともちょっといい?」


何かに思い当たった由紀は両脇にソフィアとゾーイを抱え、幹太に聞こえないようヒソヒソ声で話し始める。


「アンナ、今夜は私たちに譲るつもりかな…?」


「じゃあ、アンナ様は私たちに気を遣って?」


「間違いなくそうだと思いますよ〜♪」


一足先に経験を済ませたアンナは、新婚初夜を自分以外に花嫁に譲ると決めていた。


「えっ?でも、どうすんの?私たち三人対幹ちゃんってこと?」


「そ、そんな…最初から三人なんて、わたしにはレベルが高すぎます…」


たぶんそれはゾーイだけでなく、誰にとってもレベルが高い。


「うん?みんな…どうしたの?」


「ううん!なんでもないよ、幹…ちゃん?」


とそこで由紀は、ゾーイ越しに見える幹太の様子が少しおかしいことに気づいた。


「幹ちゃん…?もしかして…酔っ払ってる?」


「う…うん。やっぱり疲れたのかな…けっこう回ってる…」


幹太は真っ赤な顔でそう返事をしながら、上半身をユラユラと円を描くように揺らしている。


「こ、これは…」


由紀は二人の首に手を回し、再び抱き寄せた。


「どうする…三人同時でもイケそうだけど…?」


「でもでも、それだと最後はどういう順番でするんですか?」


「さ、最後って!だったら順番が決まれば、ゾーイさんはそれでいいってこと!?」


「そ、それは…まぁ…」


「えぇー!私、ゾーイさんが止めてくれると思ってたのに!」


ゾーイは、由紀よりもちょっぴり大胆な女の子だった。


「だ、だったら、あとは…」


「は、はい。ソフィア様次第です…」


二人は抱き寄せられたまま、クビクビと芋ロックを煽るエロ姐さんに視線を送る。


「フフフッ♪今晩だけは、みんな一緒にはやめた方がいいと思いますよ〜♪」


しかし、姐さんから出たのはそんな予想外のセリフだった。


「私としては、今回は由紀さんの番がいいと思います〜♪」


「えぇっ!私っ!?」


「はい〜♪それでゾーイさんが良ければですけど、どうでしょうか〜?」


「ん〜?そう言われてみればそうですね。

私もそれがいいと思います♪」


ソフィアもゾーイも想いの強さでは負けない自信があるが、自分たちが幹太に出会うまでのとても長い時間、彼を大事にしていたの由紀なのだ。


「フフッ♪決まりです〜♪」


「えぇっ!ホントに決まりなのっ!?」


「はい♪今日は由紀さんの想いを全部ぶつけてきて下さいね〜♪」


「そうです由紀様!ぜひ本懐を遂げて下さい!」


「ほ、本懐って…」


とはいえゾーイの言う通り、確かに結婚が決まって以来、いつか幹太とそういうことができたらいいなと由紀は考えていた。

 

「私が幹ちゃんと…」


そう言って、由紀はグラスを持ったままカウンターに突っ伏してしまった幹太を見る。


「で、でも…この状況でどうしたらいいの…?」


「フフッ♪大丈夫ですよ、由紀さん。

男性は一度寝てからの方が元気らしいですから〜♪」


「どうしてソフィアさんがそんなこと知ってるのよっ!?」


なぜか村の婦人会に参加していたソフィアは、経験はなくともその手の知識に長けているのだ。


「とりあえず運んじゃいましょ〜♪」


ソフィアは芋ロックをグイッと飲み干し、いつか使う日がくるのではないと練習していたファイマーマンズキャリーで、幹太をベッドへと運ぶ。


「え…ホントに私?私だけでするの?」


「由紀様、頑張ってださいね♪」


「頑張ってください〜♪」


そうして客間に幹太と由紀だけを残して、ひとまず二人はアンナの部屋へと向かった。


「ど、どうしよう…」


スヤスヤと眠る幹太の横で由紀は考える。


「でも、せっかくみんながくれた機会なんだよね…」


何かしらするにしろしないにしろ、夫婦にとって新婚初夜が大切なことは変わりない。

アンナとソフィアとゾーイは、そんな一生に一度の大切な夜を自分にくれたのだ。


「よし!そうと決まればとりあえずは着替えだ!」


そう考えた由紀は、まずは自室へと向かった。


「東京で買っといて良かった〜♪」


そして前回日本に帰った時に女性陣みんなで買った、真っ白なシルク素材のミニスカワンピース寝巻きに着替える。


「これでよし!」


そうして由紀は決戦の場である幹太のベッドに戻り、彼をユサユサと揺さぶった。


「幹ちゃん、幹ちゃん…」


「ふぇ…ゆーちゃん…?」


「うん。そうだよ…」


由紀は幹太の頬に手を当てて、その唇に優しくキスをする。


「えっ!ゆーちゃん、今…」


驚いた幹太はパチッと目を開き、上半身を起こした。


「幹ちゃん…今日がどんな日かわかってる?」


由紀は先ほど部屋に戻った時に持ってきた水差しの水をコップに移し、幹太に手渡す。


「ありがとう。今日がどんな日って…そりゃ…あ!」


「ちゃんと思い出した?」


「そっか、今日は俺たち結婚して初めての夜か…」


「そうだよ。だけど、幹ちゃんってば寝ちゃうから…」


「ごめんごめん。けど、みんなはどうしたの?」


そう言って、幹太は部屋の中を見回す。


「あのね…」


由紀はキョロキョロする幹太の顔を両手で挟み、自分の方へと向けた。


「フフッ♪今日は私の番なんだって…」


そう言って、由紀は再び幹太にキスをする。


「…どうかな、幹ちゃん」


「う、うん。なんだろ…すごくドキドキしてる…」


「そ♪良かった♪」


「…ゆーちゃんは大丈夫?」


幹太はそう言って、先ほどの由紀と同じように彼女の頬に触れる。


「ほぇ?なにが?」


「怖かったりしない…?」


「プッ♪幹ちゃん♪」


これまで見たことがないほど不安そうな顔をしてそう聞く幹太を見て、由紀は思わず吹き出した。


「そりゃちょっとは怖いけど、でもいつかはすることでしょ?」


「ま、まぁ…」


「それに…幹ちゃんはちゃんと優しくしてくれるよね?」


「…うん。大丈夫、だと思う」


「あ、ちょっと自信なさそう?」


「いや、ちゃ、ちゃんと優しくするよ!」


とは言ったものの、正直、唯一の実践経験であるアンナとの時どうだったか、幹太は断片的にしか覚えていなかった。


「じゃ、じゃあ…する?」


由紀は真っ赤な顔をして、目の前の幹太に向かって両腕を開いた。


「うん。よ、よろしくお願いします…」


そうして幼馴染の二人はめちゃめちゃギクシャクしながら抱きしめ合い、ゆっくりとベッドへ倒れていった。


そして翌朝。


「お、おはよう、幹ちゃん…」


「う、うん…おはよう、ゆーちゃん」


お互い裸の二人は、これ以上ないほどの至近距離で見つめて合って挨拶を交わす。


「ゆーちゃん、体は大丈夫?」


「…うん。大丈夫だよ。心配してくれてありがと、幹ちゃん♪」


と、由紀は幹太の腕の中に潜り込み、彼の胸に頬ずりした。


「あぁ…幸せ♪」


「うん。なんか…おれもそう思う」


たぶん由紀とこうなった朝はもっと照れ臭い気持ちで迎えるものだと、幹太は想像していたのだ。


「さて、みんなにどう報告しょっかなぁ〜♪」


「ん〜?たぶん考えなくて大丈夫だと思うぞ…」


「えっ!どうして、幹ちゃん?」


「そりゃ…」


バタンッ!!


と、幹太が何か言いかけると同時に勢いよく部屋の扉が開かれた。


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