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ご当地ラーメンで異世界の国おこしって!?  作者: 忠六郎
第6章 四人の花嫁編
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第233話 初めての朝

そしてついにやってきた結婚式当日。


「あ、う…」


「フフッ♪おはようございます幹太さん」


まだ薄暗い時間に幹太が目を覚ますと、ニコニコと嬉しそうな顔でアンナが隣りに寝そべっていた。


「そっか、昨日…あっ!」


「フフッ♪幹太さん、昨日何があったか覚えてますか?」


「は、はい…」


そう答えつつ、幹太は布団の中にある自分の体を触って確かめる。


「え、えっと…アンナさん?」


「ハイ♪なんですか?」


「もしかしてアンナさんも…?」


「ん〜?何がですか♪」


「い、いや、あの…そのお布団の下に寝巻きは…?」


「フフッ♪じゃあちょっと見せちゃいます♪エイ♪」


アンナは少しだけ布団を下げ、お肌むき出しの肩を幹太に見せた。


「あ、あぁ…やっぱり…」


幹太は思わず頭を抱えた。


「…私、なんだか不思議な気分です」


「ふ、不思議って…どんな風にかな?」


「初めての時って、もっと緊張するものなのかなって思ってました…」


「は、初めてって!」


「そんなっ!幹太さんは違ったんですか!?オヨヨ〜♪」


と、アンナはニヤニヤしながらわざとらしく泣きマネをする。


「も、もちろん俺だって初めてでした!」


「そうですか♪でしたらぜーんぜん問題ありません♪」


「つか、これって王家的には大丈夫なのか…?

俺たちまだ未婚なのに…」


そう。

あれからアンナの目論み通りにベットに入り、なんとなくイチャイチャし始めた二人は、なぜかそのまま思いっきり初体験を済ませちゃっていた。


「日付けで言えば、最後の一線は確実に今日になってから越えたんで大丈夫です!」


と、アンナは力強く言い放つ。


「ちょ、アンナ!い、一線って…」


「でしたら、幹太さんのが私の中…」


「そーい!」


直接的な表現をしかけたアンナの頬を、幹太は慌てて鷲掴みにする。


「女の子がそんなこと言っちゃダメでしょ!」


「ふぇ〜!だっへ、ほうとしかいいおうふぁ…」


「だとしてもダメですっ!

てか、なんでアンナはそんなに平然としていられるの!?」


「プハッ!ん〜と?どうしてでしょう?」


幹太の手から逃れたアンナは、本当に不思議そうな顔をしている。


「こういう時が来るって…ずっと思っていたからでしょうか?」


「あ、あぁ、そりゃ俺もそう思ってたけど…」


「それに…何かこれまでと気持ちが変わっているわけでもありませんし、体だって…」


そこでアンナは布団の中を覗き、ジッと自身の裸体を眺めた。


「…まぁ一部に違和感はありますけど」


「ごめんアンナ!

お、俺…こんな大切な日に…」


アンナに負担がかかるとわかってはいたのだが、幹太は我慢ができなかったのだ。


「いいえ♪この日だったからこそ良い思い出になりました♪」


「けど、普通は式の後なんじゃ…」


「それだって大丈夫ですよ♪

何せ幹太さんにはまだ三人も花嫁がいるんですから♪」


むしろ王女の自分がフライング気味に初体験を済ませてしまったことで、他の三人も幹太を誘いやすくなったのではないかとアンナは考えていた。


「たぶん…次は由紀さんになるでしょうね♪」


「あ、あぁ…そうだよな、俺、ゆーちゃんともこういうこと…」


「フフッ♪そうですよー♪

けど、今はまだ私のターンです♪」


そう言って、アンナは幹太の懐に潜り込む。


「こ、こらっ!この状態であんまりひっつくのは…って、アンナ…本当にけっこう痩せたんだな」


自然とアンナの背中に手を回した形になった幹太は、改めてそのことに気がついた。


「ほぇ?昨日さんざん見たのに今さらですか?」


「い、いや、き、昨日は必死だった…って、何言わすんだよ!」


「フフッ♪幹太さんのおかげで、体型もかなり変わりましたよ♪」


「そうだ…そういやドレスは着れたの?」


「ハイ♪無事に着れました♪」


「おぉ、そりゃ良かった。よく頑張ったな」


幹太は布団から手を出し、珍しくクシャクシャになったアンナの頭を撫でる。


「なんだか…起きるのがもったいないですね〜♪」


「あ〜その気持ちはわかるな…」


二人はそのまま抱きしめ合い、お互いに目を瞑る。


「…けど、そろそろ起きないとシャノンにバレちゃいますね〜」


時刻は午前五時。

今から十五分後には、シャノンがアンナの部屋にやって来る。


「だったら…離れた方がいいな…」


とは言いつつ、幹太はアンナの背中に回した手に優しく力を込める。


「…ですね」


アンナの方も、幹太に首に回した手を解こうとはしなかった。


そしてそれから二十分後。


「ここですかっ!アナ!って、キャー!」


幹太の部屋を開けたシャノンは、裸で抱き合って眠る二人を見て悲鳴を上げた。


「あぁ…まさか、前日にこんなことになるなんて…」


そしてそれから一時間ほど後、メイクをしているアンナの後ろでシャノンはため息を吐いていた。


「違いますよ、お姉様♪正確には今日です♪」


アンナは幸せそうに微笑みながら、シャノンの言葉を鏡越しに訂正する。


「あーもー!またアンナにやられたー!」


そう言ったのは、アンナの隣で同じくメイクをしている由紀だ。


「ですね〜♪」


そして、由紀の隣ではソフィアがメイクしており。


「アンナ様…さすがです」


さらにその隣ではゾーイがメイクしている。


「ホントのホントのほんっとーに!誰が先でも良かったけど、実際に先起こされるとなんか悔しいっ!」


「ホホホッ♪すみませんね〜由紀さん♪先を越しちゃって♪」


「あ!なんか余裕ぶっててムカつく!」


ちなみに四人をメイクをしているのは王宮付きの職人たちであり、この場の話が外に漏れることはたぶんない。


「でも〜、アンナさんはどうやって幹太さんを誘惑したんですか〜?」


花嫁ズのお色気担当を自覚しているソフィアにとって、一番重要なのはそこである。


「誘惑…ですか?」


「前回は途中まででしたよね〜?」


「私も気になる!あのお堅い幹ちゃんをどうやって籠絡したの?」


「…どうでしょう?えっとですね…」


これといって特別なことをした覚えのないアンナは、昨晩の状況を事細かに三人の婚約者たちに伝え始めた。


「すごいじゃん…つかアンナ、芹沢にそんなことまでしたの?」


真っ赤な顔でそう言ったのは、四人の後ろでメイクの様子を見ていた亜里沙である。


「えっ!私、そんなにすごいですかっ!?」


「う、うん。いくら好きな相手でも、そりゃなかなか…」


亜里沙が話を聞く限り、夜のアンナはちょっぴり大胆な女の子になるらしい。


「だってだって、昨日は体が自然にそういう風に…」


「わ、私できるかな?」


「由紀様…たぶん私は無理です…」


「私はやりますよ〜♪」


そうしてメイクを終えた花嫁たちと亜里沙とシャノンは、早歩きでドレスルームへと向かう。


「さあ!がんばりますよー!」


衣装室に着いた四人は、アンナの掛け声と共にぞれぞれ仕切りの奥に消えてく。


「「「「お願いしまーす」」」」


彼女たちはついに花嫁衣装を着るのだ。


「あのさ、由紀…」


デザインから縫製まで由紀の花嫁衣装の全てに関わった亜里沙は、メイド達から着付けを任され、由紀と共に衝立ついたての中に入っていた。 


「なぁに亜里沙?」


「私、こっちに来れて良かったよ♪」


そう言う亜里沙は、心底楽しそうに親友にウェディングドレスを着せている。


「…うん。私も亜里沙がこっちに来てくれて良かった…本当によかったよ…」


そう言った途端、由紀の両目から涙が溢れた。


「…ハハッ♪バ、バッカ!メイクしてんのに泣いてんじゃねぇよ!」


「だ、だって…亜里沙だって泣いてるでしょ?」


由紀につられ、亜里沙も笑顔のまま涙を流している。


「そりゃ私は花嫁じゃないし…グスッ…な、泣いたっていいだろ…?」


「…うん、そうだよね。ありがとう、亜里沙♪」


二人はお互いに忘れられない瞬間を、日本から遠く離れたこの場所で迎えていた。


「ハハッ♪こりゃ澪に怒られるな♪」


「だね♪その時は二人で怒られよう♪」


「あぁ」


そんな話をする二人の衝立の向こうでは、ゾーイがドレスを手にしたまま固まっていた。


「…お兄ちゃん?」


「ハーイ♪お兄ちゃんだぞ、ゾーイ♪」


と、戸惑うゾーイの質問に、浅黒く日焼けした肌に空色のアロハシャツを着た男が陽気に返事をする。


「オイオイ♪どした〜妹よ?今日はお前の結婚式なんだぞーう♪ウェイ♪」


「………」


ゾーイの兄、マルコ・ライナスはサースフェー島からはるばる海を渡って、昨晩、この城に到着していた。


「まぁいっか♪とにかくおめでとー♪」


「おめでとうございます、ゾーイさん♪」


マルコに続いてお祝いを言ったのは、マルコの妻であるハンナだった。

ちなみにハンナは、同じサースフェー島に住むニコラの姉の娘、つまりニコラのめいである。


「あ、兄上…この方が奥様ですか?」


驚いたことに、ゾーイは今日が兄嫁との初顔合わせだった。


「うん?そうだよ。けど、なぜに兄上?」


なぜかハンナから目を離さないゾーイは、実兄のマルコに向かって敬語を使い始める。


「あ、あの…ハンナさん、ずいぶんお若くないですか?」


そうなのだ。

自分の兄の嫁であるハンナは、明らかにティーンエイジャーと思われる容姿なのである。


「ん〜?ハンナっていくつだっけ?」


「十八です…」


「じゅ、十八ぃ〜!?」


ゾーイとってそれは、この後控えた自分の結婚式を忘れそうになるほどの衝撃だった。


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