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ご当地ラーメンで異世界の国おこしって!?  作者: 忠六郎
第6章 四人の花嫁編
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第223話 愛し合う二人

そして翌朝、


「ア、アンナ…きょ、今日の麺のて、手ごたえはどうかな…?」


「え、えぇ、しゅっごい上手くいってましゅ…」


幹太とアンナは、なぜかめちゃくちゃギクシャクしながら朝の仕込みをしていた。


「あの…アナ?あなた、ちょっと変じゃありませんか?」


「わ、私はぜんぜんめちゃめちゃフットゥーですよ、シャノン。

な、何を言っているんでしゅか?」


「幹太さ〜ん♪何かありましたか〜?」


「な、ないないない!なーんもないよ!」


二人の様子のおかしさは、ここへやって来たばかりシャノンとソフィアにも一発でわかるほどだった。


「そういえばアナ…昨日の夜は何をしてたんです?」


「えっ!な、何をって…?

どうしてそんなことを聞くんです?」


「幹太さんの部屋に行っていたようですから…」


「うぇっ!な、なぜそれを…?」


「あら〜♪そうなんですか〜?」


「えぇ。昨晩お二人が幹太さんの部屋に入るのを見たと、衛兵から報告ありましたから」


「フフフッ♪お二人はお部屋で何をしてたんですか〜?」


カウンター越しにそう聞いてくるソフィアは笑顔であるが、その瞳だけは全く笑っていない。


「心配しなくて大丈夫ですよ、ソフィアさん。

このお二人ことですから、どうせまたラーメン絡みで同じ部屋にいたんでしょう?

ですよね、アナ?」


「あ、あの…シャノン、それは…」


「幹太さん、そうなんですか〜?」


「い、いや…ソフィアさん、それは…」


勘の良いソフィアはさておき、妹のことをまだまだ子供だと思い込んでいるシャノンは、アンナと幹太が朝まで一緒にいたとしても、大してエッチなことはしてないだろうとたかくくっていたのだ。


「あのお姉様…ちょ、ちょっとこっちに来てもらえませんか?」


ソフィアの前で話すのがほんのちょっぴり怖かったアンナは、シャノンを姫屋の裏手にある植え込みへ誘った。


「アナ?どうしたんです?」


「いいからこっちにきて下さい!」


「はぁ…わかりました」


そうして二人が植え込みに消えた次の瞬間、


「ホンゲー!」


という、実の妹のアンナでさえ初めて聞くシャノンの叫び声が王宮の中庭に響き渡った。


「た、大変です、ソフィアさん…ア、アンナ…アンナちゃんが、幹太さんとベッ、ベッドでセッ、セックッ…セッ、セック…」


数分後、姫屋に戻ってきたシャノンは、ソフィアに向かって必死に何かを伝えようと試みる。


「お、お姉様っ!私たちまだそこまではしてませんっ!」


「フフフッ♪」


と、焦ってシャノンの口を塞いだアンナの肩にソフィアが手をかける。


「アンナさ〜ん?」


「は、はい!なんでしょう!?」


「昨晩は何があったんです〜?」


「そ、それは…あの…」


そこでアンナは自分の肩の上に置かれたソフィアの手が、少しだけ震えていることに気がついた。


「…ソフィアさん、もしかして私に先を越されたと思ってます?」


アンナはそんなソフィアの手に自分の手を重ねつつ、首だけで振り返る。


「バ、バレちゃいましたか〜?

やっぱりいざとなると動揺してしまうみたいですね〜」


「…わかりました。でしたら、この場で昨晩私たちが何をしたのかぜーんぶ話しちゃいましょう♪」


「…いいんですか〜?」


「ハイ♪」


昨晩の出来事を全て話すことでソフィアが安心するなら、自分が恥ずかしいことなど大した問題ではない。


『それに…私たちは同じ人の妻になるのですから、この先こういう話もできた方が絶対にいいです』


そういうわけでアンナは、昨夜幹太と自分の間に起こった全てを話すことに決めた。


「幹太さんもそれで構いませんよね?」


「そ、そうだな…俺もそれで大丈夫」


とはいえ内心かなり恥ずかしかった幹太ではあるが、アンナ同様、ソフィアがこのまま不安でいるぐらいなら、全て聞いてもらった方がよいと考えていた。


「では…」


そうしてアンナは、昨晩の出来事を詳しく話し始めた。


「幹太さん…お部屋に行きませんか?」


「う、うん。そうするか…」


それはお互いにテレ屋な性格からか、いつもあと一歩のところでいい雰囲気になりきれなかった二人に訪れた千載一遇のチャンスであった。 


「よ、よし。じゃあ行こっか?」


「はい…」


珍しくそんなチャンスを見逃さなかった二人は、先ほどキスの後、手を繋いで幹太の部屋へと向かったのだ。


「な…なんか二人きりって久しぶりじゃないか?」


「そ、そういえばそうですね…」


そして部屋に着いた二人は、ベッドに座ってぎこちないながらも会話を始める。


「一時期アンナとはずっと二人でいたのになぁ…」


「そうですね…思い返してみれば私、出会った日に幹太さんのお家にお世話になったんですよね…」

 

「だな。あの時のアンナって、めっちゃわかりやすいウソついてたけど悪い子には見えなかったし、なにしろ…」


「なにしろ…なんです?」


「…すごい綺麗な子だったから、心配になったんだよ」


「フフッ♪そうだったんですか?」


「うん。ウチなら俺がちゃんとしてればいいわけだし、だったらとりあえず保護しとこうかなって…」


「そのあと由紀さんにも来てもらうことになりましたしね♪」


幹太がアンナに出会った夜、二人は芹沢家に向かう途中で家から飛び出してきた由紀に会い、結局三人で芹沢家に行くことになったのだ。


「そうだなぁ〜いま考えると、あの時は由紀が一緒に来てくれて良かったよ」


「あ♪もしかして…私、危ない状況だったんですか?」


と、アンナはわざとらしく両手で自分の体を抱きしめる。


「いやいやそうじゃなくてさ、ウチに来てから女の子同士の方が説明しやすい事もあっただろ?」


「あぁ…確かにそれはありましたね」


たとえば、今だに湯沸かし器が湯船の横に付いている芹沢家の風呂の使い方などである。


「…でしたら、今はどうです?」


「んっ?今はって…」


そう聞きながら、隣に座るアンナを見た幹太はピタリと動きを止めた。


「…今の私は、危ない状況にいますか?」


なぜならいつも明るく楽しげなアンナが、誘うようにうっとりした表情で幹太を見つめていたからだ。


「…大丈夫」


そして、その蠱惑的に潤むブルーの瞳を見た幹太は覚悟を決めた。


「アンナが嫌がることは絶対にしないよ」


「フフッ♪だったら安心ですね…」


幹太は少し恥ずかしそうにそう答えたアンナの肩に手をやり、ゆっくりとベッドに押し倒した。


「あーあー!そうだ!お、俺、お城のキッチンに行って麺取ってこなちゃ!」


と、アンナがそこまで話したところで、羞恥の限界を越えた幹太が王宮へと走り去った。


「あの、アンナさん…?

そ、それで…そこまでしておいてお二人は最後までしてないんですよね〜?」


「えぇ…残念ながら最後まではしてません」


「しかしアナ、そこからどうやって…?」


自身も経験のないシャノンでさえ、そこまでいって二人が我慢できた理由がわからない。


「えっと…ソフィアさん、幹太さんは昨日姫屋をやってましたよね?」


「はい〜」


「そして私は昨日、かなり運動量のあるゾーイさん流のボイストレーニングをしていました。

ですから…」


「ですから?」


「ですから〜?」


「私たち、すっごく汗臭かったんです…」


そう言って、アンナは虚な瞳で着ているTシャツの首元を引っ張った。


『もしかして…私のカラダ、臭すぎ?

あ、なんだか幹太さんからもすえたスメルが…』


ベッドの上で思うがままキスをして、お互いが下着姿になった時点でそのこと気づいたアンナは、シェルブルック王家の尊厳を守るため、暴れ回る欲望を抑えつつなんとか大浴場へとたどり着いたのだ。


「…幹太さんは一緒に行きたいとは言わなかったんですか?」


「あ、はい。そう言われましたけど、それはお断りしました」


「こ、断った…?」


あっさりとそう返事した妹に、シャノンは驚愕する。


「えぇ。幹太さんに一緒にお風呂に入りたいってお願いされたんですけど、皮がズル剥けるぐらい念入りに体を洗いたかったんで遠慮していただきました」


花も恥じらう乙女のアンナとしては、あられもない姿勢で必死に体を洗っている姿を、この後ちちくりあうであろう幹太に見せるわけにはいかなかったのである。


「…アンナさん、必死だったんですね〜」


「えぇ、まぁこれ以上ないぐらい必死でしたよ。

けど、シャノンはどうしてお願いされたってわかったんです?」


基本的に純粋ウブなアンナは、幹太とエッチをしたいという欲求はあっても、それを大浴場で行うという発想はなかったのだ。


「…普通わかりませんか?

それは、だって…ねぇソフィアさん?」


返事に困ったシャノンは、そのまま話をソフィアに振った。


「フフフッ♪幹太さん、アンナさんと一緒に入りたいって言ったんですね〜♪ウフッ♪ウフフフ〜♪」


今すぐ姫屋を飛び出して色々と問い詰めたいところではあるが、とりあえずソフィアは今晩、絶対に幹太と一緒に風呂に入ることに決めた。


「で、その後どうなったんです?」


「えっと、その後は…私と入れ替わりに幹太さんがお風呂に入ってですね…」


「えぇ」


「私はその間幹太さんのお部屋にいたんですけど、やっぱり歌のレッスンと麺打ちで疲れていたみたいで…」


「…まさか、寝てしまったんですか?」


「アンナさん、寝ちゃったんですか〜?」


「はい…」


アンナはシュンとした表情で両肘をカウンターにつき、両手をおでこに当てた。


「それは…幹太さんもさぞお辛かったでしょうね」


「生ごろしです〜♪」


裸になる寸前のところで中断が入り、さらに一緒に風呂に入ることも断られ、その上自分が風呂に入っている間に先に寝られてしまっては、いくら忍耐強い幹太でも辛くないわけがない。


「そうですね…幹太さん、今朝はすごいお顔でしたから」


かなりキツいお預けを喰らった幹太は、悶々としたまま朝まで一睡もできなかったのである。


「さっきまで様子がおかしかったのはそのせいですか…?」


「は、はい。その…お風呂に行く前までのことを思い出してしまって…」


もちろん好き合ってはいるものの、幹太とアンナがこれほど強くお互いを求めあったのは今回が初めてだったのだ。


「そうですか。私はてっきり…」


シャノンは先ほどアンナに恥ずかしそうな顔で幹太の部屋で朝まで寝ていたと聞かされた時、二人が最後までしてしまったと勘違いして叫び声を上げていた。


「これは…まだまだ時間がかかりそうですね、ソフィアさん?」


「はい♪私も今日から頑張ります〜♪」


そうして昨晩の話が終わり、幹太たちはいつもの海沿いの街道を市場に向かって走っていた。


「しかし、この四人で馬車に乗るのも久しぶりだな…」


市場に向かうキッチンワゴンには、御者台の上に手綱を握るソフィアと幹太が、そしてワゴンの中にアンナとシャノンが乗っていた。


「最近はアンナさんが歌のレッスンでいなかったですからね〜♪」


「はい。まさに地獄の日々でした…」


「シャノンさんは最近のアンナの歌を聞いてるんだよな?」


「えぇ、まぁ…」


「幹太さん、シャノンは本番でコーラスもするんですよ♪

ですから、私と一緒にレッスンを受けてたんです♪」


「ほ〜そうなんだ。そりゃぜひ聞いてみたいな」


そんな話をしているうちに幹太たちが市場の屋台村に着くと、いつも姫屋が出店している場所に、なぜか人だかりができていた。


「ほぇ?なんか…もう屋台がありませんか〜?」


そう言ったのは、久しぶりに御者台の上で立ち上がり、隣にいる幹太にエメラルドグリーンの紐パン丸見せのソフィアである。


「確かにありますね…」


シャノンはいつも持ち歩いている単眼鏡を使い、人だかりの中心にある屋台を確認する。


「しかも…屋根にローズナイト家の紋章があります」


「本当ですかっ!」


アンナはシャノンの脇の下から顔を出し、単眼鏡を奪い取って屋台を見た。


「た、確かに、あれはローズナイト家の紋章です。

クレア…一体何を?」


「あ!わかったぞ!」


その途端、幹太は御者台から飛び降り、謎の屋台に向けて全速力で走って行く。


「シャノン!」


「はい!私たちも行きましょう」


「私は馬車を停めてきます〜」


二人が降りるのを確認したソフィアは、ゆっくりとキッチンワゴンを広いスペースに停めてから三人の後を追った。

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