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ご当地ラーメンで異世界の国おこしって!?  作者: 忠六郎
第6章 四人の花嫁編
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第192話 結婚式に向けて

それから数日後。


「さんま節は決定として、後はどうしようかなぁ〜?」


幹太は二人の姫のコラボラーメンの試作をしていた。


「あら?まだ仕事中?」


と、そこへ現れたのは後ろにゾーイを従えたクレアである。


「いや、新しいラーメンの研究中なんだけど…」


「あぁ…それね」


そう言うクレアは、なぜか浮かない顔をしている。


「クレア様…どうかなさいましたか?」


「あ、やっぱりバレちゃう?」


「はい…」


「そうね。この際、ちゃんと言っておこうかしら…ヨイショっと!」


クレアは屋台の上に上がり、幹太の隣へとやってくる。


「あのね幹太、結婚式で作るラーメンなんだけど…」


「は、はい…」


「今から私とアンナのじゃないのにしてって言ったら困る?」


「えっ?それは、王女二人のコラボラーメンじゃなくってことですか?」


「そう。そのラーメンじゃなくって、あなたたちの結婚式だけの為のラーメンにできない?」


クレアはそう言って、屋台の外にいるゾーイを見た。


「あ、なるほど…そりゃそっちの方がいいのか…?」


「そりゃそうよ!」


クレアはこちらに帰って来て以来、ずっとそのことを考えていた。


「いくら私でも、あなたたちのお祝いの日にまででしゃばりたくないわっ!」


クレアにとってみれば、幼馴染と親友の結婚式なのだ。

そんな二人の結婚式に、クレアは自国の宣伝のためではなく、ただの友人として参加したいと思っていた。


「クレア様…」


「だからお願いよ、幹太。

私たちのラーメンのお披露目は次の機会にしてほしいの…」


と、クレアは珍しく謙虚な態度でお願いをする。


「…そうですね。

申し訳ありません、クレア様。

俺の方こそ気が利かなくて…」


相変わらず新しいラーメンを作り始めると周りが見えなくなるのは、幹太の悪い癖なのだ。


「でしたら、結婚式用のラーメンも作りましょう」


「あぁ…良かった。

ありがとう、幹太♪」


心底ホッとするクレアは、大事なことを聞き逃していた。


「あ、あの芹沢様…?」


「うん?なに、ゾーイさん?」


「結婚式用のラーメンもということは…?」


「あ、あぁ…もちろん並行してコラボラーメンも作るつもだけど…ダメかな?」


「ちょ!幹太、あなた…」


「せ、芹沢様…芹沢様もその日は主役なんですよ?」


「うん、わかってる。

だから結婚式用のラーメンは作るよ」


いつのまにか、幹太の中では結婚式=ラーメンのお披露目会になってしまったらしい。


「…ねぇゾーイ、いまからでも考え直した方がよくない?」


「い、いえ、そこまでじゃないですけど…」


二人はお互い引きつった顔でそう言いつつ、嬉々として新しい寸胴鍋を洗い始めた幹太に目を向ける。


「…見てゾーイ。あなたの旦那様、すっごい生き生きし始めたわよ…」


「フフッ♪芹沢様、可愛い♪」


「あなたにはあれがそう見えるのね…」


幹太に対して恋心など微塵もないクレアには、毒薬の調合を始めようとする悪い魔術師にしか見えなかった。


そして、それからさらに数日後。


「あぁ…それで昨晩も部屋に帰って来なかったんですね」


「うん。幹ちゃん、厨房で寝ちゃったんだって…」


「…ちょっと心配ですね」


「うん」


宮殿の広間でお茶をしていたアンナと由紀は、今まで以上にラーメン作りに没頭する幹太に不安を覚えていた。


「たぶん幹ちゃんなりに浮かれてるんだと思うけど…」


「浮かれる?幹太さんがですか?」


そう由紀に聞いたのは、アンナの後ろに立っていたシャノンである。


「フフッ♪意外?」


「えぇ。結婚に浮かれるタイプには見えませんね」


正直この段階に至っても、幹太は女性陣四人の勢いに負けて結婚を了承したのではないかとシャノンは疑っている。


「それがそうでもないんですよ、シャノン♪」


と、アンナは微笑みながらシャノンの方へと振り返る。


「…そうなのですか?」


「うん。幹ちゃんって家族っていうものにすっごい憧れがあるからね〜♪」


「はい♪私にもそう言ってました♪」


幹太は以前、アンナと一緒にいることで誰かと暮らす幸せを知ったと告白している。


「では、幹太さんは本当に皆さんと結婚できることに浮かれいると?」


二人にそう言われても、シャノンには新しいラーメンのお披露目の場を貰ったことで、幹太が浮かれているとしか思えない。


「うん。絶対にそう。

だからね、やり過ぎないにように見張っとかなきゃいけないの。

ね、アンナ?」


「えぇ。ソフィアさんやゾーイさんにも手伝ってもらいましょう」


三人がそんな話をしている頃、当のソフィアは姫屋のキッチンワゴンの御者台に座る幹太の隣にいた。


「…昨日もちゃんと寝なかったんですか〜?」


幹太にズイッと顔を近づけながらそう聞くソフィアは、わかりやすく不機嫌そうに頬を膨らませていた。


「ご、ごめんなさい…」


今日は中央市場が定休日のため、幹太は王宮近くの公園で姫屋を開くつもりでキッチンワゴンを走らせていた。


「試作、うまくいってないんですね〜?」


オドオドと謝る幹太を間近で見たソフィアは、その表情に見覚えがあった。


「…はい」


試作が行き詰まっていることを見抜かれた幹太は、素直にそう言ってガックリと項垂れる。


「フフッ♪やっぱり〜♪

ローラ様のバザーの時と同じ顔でしたから〜」


「えっ!そ、そうかな…?」


「はい〜」


ローラのバザーの時、幹太は四人との結婚を認めてもらうため相当追い込まれていたのだ。


「それで〜今回は何が問題なんです〜?」


結局ソフィアが何を言おうと、新しいラーメンが出来るまで幹太は無理をし続ける。


『だったらお手伝いして、できだけ早く完成させた方がいいです〜』


さすがにこのラーメン馬鹿と結婚するだけあって、ソフィアにとってこのぐらい対応は慣れたものである。


「問題は俺たちの結婚式用のラーメンなんだよなぁ〜」


幹太はそう言って、海辺の広場にキッチンワゴンを停めた


「ソフィアさん、今日休んでいいかな…?」


「はい♪」


考えてみれば、こちらの世界に帰って来た翌日から幹太は一日も姫屋を休んでいなかったのだ。


投稿が遅れまして申し訳ありません。

不注意から腕を怪我してしまい、片手でしかパソコンが使えない為にだいぶ遅れてしまいました。

しばらくは投稿ペースが落ちるかもしれませんが、必ず更新はいたしますので引き続きよろしくお願い致します。

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