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ご当地ラーメンで異世界の国おこしって!?  作者: 忠六郎
第五章 始まりの大陸編
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第142話 守りたいもの

今回は閑話っぽいお話です。

都会で勉強を強いられるアルプスの少女状態だったソフィアが爆発します。

ぜひお楽しみ下さい。

その後食事を終え、サービスエリアを出発した由紀は、一先ず目的地をどこにするかを考えていた。


『幹ちゃんならぜったい博多に行くよねぇ…けど、なんかしっくりこないんだよなぁ…』


由紀は九州に入った辺りから自身の幹太レーダーを最大にしていた。


「…さん、由紀さん?」


「…あ、ごめん、シャノン。なんか言った?」


「どうされました?

先ほどからブツブツ独り言を言っていましたけど?」


「うん、どこかなって…」


「それは…アナたちですよね?」


「そう。この近くにラーメンで有名な博多って街があるんだけど…」


「そこではない気がすると?」


「そうなんだよね…なんか違うかなって…」


「だったら他に向かえばいいのではないですか?」


「でも、その街には必ず来るんだよ…」


「なるほど、それは迷いますね…」


「それに博多も広いしなぁ〜」


「では、私かゾーイさんがその街に残るというのはどうです?」


「ん〜?それは…やめとこう」


由紀はそう言いながら、バックミラー越しに後ろの席を見る。


「…ですね。私も言ってて無理だと思いました」


シャノンもそう言いつつ、振り返って後部座席を見た。


「すぅ…すぅ…」


二人の視線の先には、プックリお腹を膨らませてスヤスヤ眠るゾーイがいた。


「せめて私たちは離れずにいましょう」


「うん、そうしよう。

それなら万が一幹ちゃんに会えなかったとしても、なんとかなるもんね♪」


「えぇ。それで、どうしますか?」


「え〜と、とりあえず宮崎…いや、長崎かな?

うん、そうしょっと♪」


「では、由紀さんの思うがままに行きましょう」


「ほーい♪」


そうして由紀たちは、一路長崎へと向かった。


一方その頃、幹太たちとはいえば、


「アンナ、食べ過ぎちゃいました♪テヘ♪」


というように、初めての日本の旅を満喫していた。


「ちょっと気持ち悪いぐらいです♪」


「当たり前よっ!どんだけ食べたと思ってんのっ!?」


「え〜!クレアだってけっこう食べてませんでしたか?」


「そりゃ食べたわ…確かに食べたけど、でもアンタほどじゃないわよっ!」


「…うん。さすがに俺もクレア様の言う通りだと思う…」


「そんなっ!幹太さんまでっ!?」


「あのな、チャーシュー麺の後にちくわサラダって、俺でも食べきれないって!」


ちくわサラダとは、ちくわの穴の中にポテトサラダを入れて揚げた熊本名物である。

材料が材料だけに、無論カロリーはむっちゃ高い。


「でも、豚骨のチャーシュー麺は私の大好物ですから、実質カロリーはゼロになるはずです♪」


「アンナ…それ、ならないやつだからな…」


「えぇ!そうなんですかっ!?」


「そうなんです!

まったく、そんなんどこで覚えたんだよ…。

まぁしかし、熊本のラーメンもいいなぁ〜。

熊本ラーメンって、なぜかどこもチャーシューが美味いんだよ♪」


熊本ラーメンは、スープは一般的な九州のラーメンらしく豚骨スープなのだが、その特徴はチャーシューにあり、豚の肩ロース肉をそれぞれの店独自のタレで濃いめに味付けしている。


「そうね♪

ねぇ幹太、あれってウチの国でできないかしら?」


「クレア様…もうシェルブルックで作ってるんだけど…」


「えー!ずるい!」


幹太がシェルブルックの王都ブリッケンリッジのために作ったご当地ラーメンは、豚骨醤油の角煮チャーシュー麺である。


「ずるいって…あ、でも角煮ってのを変えればなんとかなるのか…?

いやでも…そもそもリーズに美味しい豚肉が…」


「幹太さ〜ん♪」


「いや、豚は絶対…ん?なに、ソフィアさ…」


「こっち危ないです〜♪」


「え…こっちって、うわっ!」


ソフィアの指差す方を見た幹太は、ギリギリでガードレールを避けた。

この男は相変わらずラーメンのこととなると周りが見えなくなるのだ。


「ちょっと!気をつけなさいよねっ!」


「ご、ごめんクレア様…」


「はぁ…それで、次はどこに行くの?」


「長崎だよ。

ソフィアさんが行きたいって言ってた写真のとこ」


「嬉しいです〜♪」


と、ソフィアはベンチシートの後ろからガバッと幹太を抱きしめる。

ヘッドレストがないため、幹太の後頭部は久しぶりの柔らかさに包まれた。


「実はずっと大きな街ばかりで、ちょっとまいってたんです〜」


「えぇっ!そうなんですか!?」


いつもニコニコエロエロしているソフィアが、場所によってストレスを感じているとはアンナは夢にも思っていなかった。


「はい〜」


「そうだよな…ソフィアさん、村を出てからずっと都会暮らしだし、ちょっとキツいよな」


「えぇ。ですから本当に嬉しいです〜♪」


世界は違えど、幹太や由紀は都下とはいえ大都会の東京に住んでいる。

しかし、生まれてからずっと山村で暮らしていたソフィアは、石畳の街に暮らすことさえ初めてだったのだ。

ストレスが溜まるのも無理はない。


「あっ!でも、テーマパークだから人は多いかも…」


「テーマパーク…それって何かしらの遊び場ってこと?」


「おぉ正解!さすがクレア様だな」


「フフッ♪まあね♪」


クレアは幹太のアドバイスを参考に、自国にある温泉の湖を一大観光地に整備した実績があった。


「じゃあいいじゃない♪

ソフィアだって行けば気分転換になるわよ♪」


「あ〜なるほど。

クレア様、本当にすごいな…」


実際に田舎ではなくても、その場所に行くことで気分転換になる。

クレアは誰に教えられたわけでもなく、テーマパークの役割をちゃんと理解していた。


「よし!今日はその辺りの宿で一泊しよう!」


「えっ?この車で寝るんじゃないんですか?」


「いや、初日ぐらいはゆっくり寝ようと思ってさ」


「ここで寝るって…アンナ、あなた本当にたくましくなったわね」


「まぁ前の旅では、馬車でもずいぶん寝ましたから♪」


「ハハッ♪いま思えば、あれも楽しい思い出だよな」


「熊にも会いましたしね♪」


「あぁ、ソフィアさんの時か…」


「あの時はもうダメかと思いました〜」


「く、熊って…?どういうこと、ソフィア?」


「私、熊に襲われたんです〜♪」


「えぇっ!なんで笑ってんの!?

ぜんぜん笑いごとじゃないわよっ!?」


「そこをお二人に助けてもらったんです〜♪」


「そうですね…それがソフィアさんとの出会いでした。

なんだか懐かしいです♪」


「ソフィア…もしかしてそれで幹太に惚れたの?」


「はい。一目惚れの初恋です〜♪」


「そ、そうだったんだ…」


「あら?幹太さん、わたし言ってませんでしたか〜?」


「う、うん。いま初めて聞いたよ…」


「フフッ♪私は幹太さんしか好きになったことがないんですよ〜♪」


ソフィアはそう言って、幹太に回した腕にギュッと力を込めた。


「そ、そっか…そりゃなんか嬉しいな…」


「幹太さんっ!私も初恋ですっ!」


「あら、アンナは一目惚れじゃないのね?」


「えぇ、でも…それは出会い方に問題が…」


「問題って…どんなだったの?」


クレアは振り返り、いまだソフィアに巻きつかれたままの幹太に聞いた。


「…背負ってたんだ」


「背負うって…アンナを?」


「うん。ファイアーマンズキャリーで…」


「ファイアーマンズキャリー?」


と、次にクレアはアンナの方を向いて聞く。


「とにかく私、パンツ丸出しで担がれてました…」


「…それはムリね」


「わかってもらえましたか?」


「えぇ、そりゃもう…。

それで幹太、そこまではあとどれぐらいかかるの?」


「たぶん夜には着くよ」


結局、幹太はそれから休まずキッチンワゴンを走らせ、すっかり日も暮れた頃に今日の目的地となる長崎に到着した。

そして飛び込みで入ったホテルの部屋の都合により、アンナはクレアと二人で部屋に、幹太はなぜかソフィアと二人で部屋を使うことになった。


「あのアンナ…俺、本当にソフィアさんと二人?」


クレアとソフィアがそれぞれ部屋に入った後、幹太は廊下でアンナに聞いた。


「えぇ、今回はソフィアさんに譲ります♪」


「…そりゃまたなんでさ?」


こんな時いつもならば、アンナは強固に幹太と同室になることを希望するはずである。


「それはその…私もクレアも一応は王族ですから…」


「…あぁ、なるほど」


王族の自分たちが一緒だと、同じ世界出身のソフィアはどうしてまだ気を使ってしまう。

アンナは疲れ気味のソフィアに、少しでもゆっくり休んでもらいたかったのだ。


「やっぱりアンナは優しいな…」


「ふぁっ♪か、幹太さんっ!?」


幹太はそんなアンナの頭を優しく撫でる。


「アンナ、それじゃあ明日」


「はい。幹太さんもゆっくり休んで下さいね♪

くれぐれも!いいですか!くれぐれもソフィアさんと必要以上にイチャイチャしてはダメですよ!」


「し、しないよっ!」


そうして二人もお互い部屋に入った。


「んっ?なんだろ…?」


幹太が扉を開けると、部屋の中は水の流れる音と、どこかで嗅いだことのある香りで満たされていた。


「これは石けんの香り…こっちから…?あっ!」


どうやらこの部屋の香りはユニットバスから漂っているようだ。


「ソフィアさん…?」


「はい〜♪」


案の定、先に部屋に入ったソフィアはさっそくお風呂に入っていた。


「もうお風呂に…?」


「はい。幹太さんも入りますか〜♪」


「い、いや!後にするよっ!」


「…わかりました〜」


『ん?なんかいつもと違うな…』


と幹太は思ったが、ユニットバスか出てきたソフィアはいつも通りニコニコしており、キチンと服も着ていた。


「お待たせしました〜♪」


「う、うん。じゃあ…」


幹太は違和感を感じたまま、風呂へと向かう。


「そっか…ソフィアさん、お湯を入れながらバブルバスにしてたんだ」


部屋が香りで満たされ、ソフィアがすぐに風呂に入れたのはそういう訳だったのだ。


「ということは…さっきまでソフィアさんがこの泡の中に…?」


そう言いつつ、幹太なぜかゆっくりと湯船の中に沈んでいく。


「いやっ!飲んじゃダメだろっ!

さすがに石けんはヤバい!」


それ以前にソフィアの残り湯を飲みたいという性癖がヤバい。


「しかし、やっぱり湯船はいいな…」


幹太は運転で凝った体をゆっくりほぐして風呂を出る。

そして洗面所を出たところで、部屋の中が妙に静かなことに気がついた。


「ソフィアさん?もしかして寝て…いっ!?」


「起きてますよ〜♪」


幹太が見たのは、ベッドの上でシーツに包まり、ホテルでよく見る小さな空き瓶に囲まれたソフィアだった。


「ソフィア…それ、お酒…」


「フフッ♪久しぶりにソフィアって呼んでくれました〜♪」


明らかに酔っ払っているソフィアは、ゆっくりと四つん這いで幹太に近づく。

と同時に、彼女の体を包むシーツがスルスルとはだけていった。


「ソフィアさん!服はっ!?」


「え〜?着てませんか〜?」


「着てませんっ!ていうか…下着もっ!?」


ベッドの下に落ちているソフィアの服の上には、先ほどまで身につけていたあろう紫のブラジャーが乗っている。

つまり少なくとも、上半身はマッパなのだ。


「フフッ♪幹太さ〜ん♪どーん!」


「うわっ!」


ソフィアはそのまま幹太に向けて倒れ込む。

それを避けるわけにはいかない幹太は、笑顔で飛び込んでくるソフィアをしっかり受け止め、ホテルの床に折り重なるようにして倒れた。


「ソ、ソフィアさん、胸が全部…」


「フフッ♪もう、ソフィアですよ〜幹太さん♪」


ソフィアは片手で胸を隠しつつ、幹太の鼻先をつついた。


「…うん。ソフィア、本当に疲れてたんだな…」


「幹太さんに元気をもらえれば、まだまだ大丈夫ですよ〜♪」


「そっか…じゃあどうすればいい?」


「フフッ♪それはですね〜♪んっ♪」


ソフィアは幹太の頬を手を当て、そのまま覆い被さるようにキスをした。


「ふぃさひぃぶりへす〜♪」(久しぶりです〜♪)


『ソ、ソフィアっ!?』


ソフィアが舌を絡ませたまま話すため、早くも幹太の顔は彼女の唾液でベタべタになる。

ソフィアはそのまましばらく幹太の口内を蹂躙し続け、十数分後やっと唇を離した。


「あぁ♪やっぱりもう少し〜♪」


と思いきや、ソフィアは幹太への蹂躙を再開する。


「………」


そして幹太は、あまりの快感にその時点でほどんど意識を失っていた。


チュパ、ジュルル〜、ゴクッ、チュッポン!


そうしてしばらくの間、再び部屋の中に淫靡な音が響き渡る。


「ハァ♪気持ち良かったです〜♪

幹太さん?幹太さ〜ん?」


「ふぁ〜い…」


「フフッ♪幹太さ〜ん♪」


ソフィアは自分の下で間の抜けた顔をする幹太の頬を優しく叩いた。


「う、うぅ…はっ!う、うん。な、なにソフィア?」


「次はどうしますか〜♪」


「つ、次って…どういう?」


「だ・か・ら・キスの次…はむっ♪」


ソフィアは幹太の耳元でそう囁き、カプッと彼の耳を噛んだ。


『そ、そうだった!酔ったソフィアさんってめっちゃヤバいんだった!』


今のソフィアの下半身は辛うじてシーツで隠れているが、幹太の体に伝わる感触では、その下に何も身につけていないのは明らかだった。

その証拠に、ホテルの寝巻きを穿いた幹太の下腹部が、ソフィアから湧き出す何かでしっとりと濡れている。


『も、もう無理だ…』


当たり前だ。

とんでもなく見目麗しい自分の大好きな人が、二人っきりの状態で自分を求めて裸でいるのだ。

これで我慢ができるのなら、幹太は彼女に対する自分自身の愛情を疑う。


「キ、キスの続きは…なにを…」


「フフッ♪では、しますね…♪」


ソフィアはペロリと唇を舐め、しなやかに体を仰け反らせて幹太のパンツの中をまさぐる。


『ごめん、由紀…』


幹太はなぜか、初めては由紀とするものだと思っていたのだ。


「あんっ♪これ…すごい♪」


そんな生娘のような幹太の思いをよそに、目的のブツを優しく握ったソフィアはゆっくりと腰を上げる。


「フフッ♪いきますよ〜♪」


「よ、よろしくおねがいしまーす!」


「はーい!そこまででーす!!!」


と、あと数ミリのところで部屋に飛び込んできたのは、頭にバスタオルを巻いたアンナであった。


「ア、アンナ…」


「こんなこともあろうかと鍵をすり替えておいて良かったですっ!」


「…アンナ、どうなの?もうしちゃってる?」


アンナの後ろには、いまだ制服を着たクレアが顔を手で覆いながらついてきていた。


「まだしてませんっ!ギリギリ間に合いました!」


「クレア様までか…」


幹太は人生の一大イベントを、二人の王女に見られる寸前だったのだ。


「さぁソフィアさん!幹太さんから降りて下さいっ!」


「………」


「はれ?ソフィアさん?」


そう言って、アンナはソフィアの肩を揺さぶるが反応がない。


「アンナ…」


「幹太さん、ソフィアさんが…」


「うん。もう寝てる…」


「すぅ…すぅ…」


実はこれまでの旅で疲れきっていたソフィアは、入浴の時点で強烈な眠気に襲われており、ほとんど夢うつつの状態で幹太を誘惑していたのだ。


「…ちゃんと寝かせてあげよっか?」


「はい、そうですね♪」


「アンナ〜?どうなの〜?もうユサユサして…る?」


と、クレアがそれまで顔を覆っていた手を外したところで、幹太はソフィアを持ち上げつつ立ち上がった。


「ん?」


立ち上がった幹太は、やけに自分の下半身がスースーすることに気がつく。


「やんっ♪幹太さんったらっ♪」


「か、幹太…それ、それって!?」


「それって…?おわっ!」


二人の視線を追って視線を下に移すと、ソフィアをお姫様抱っこした幹太のズボンとパンツは、見事に足首までずり下がっていた。

つまりは股間がワイルドでフルオープン状態だったのである。


そして、


「ギャー!!」


「キャー♪」


という二人の王女の叫び声とともに、この夜の騒動は幕を下ろしたのだった。


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