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おれしにたもうなかれ

その場所は、とても赤かった。

「草原で夜明けを迎えるとは、中々に感情ふかいな」

肌寒いが、朝陽により皮膚を照る感覚が秋、もしくは初冬なのではという気がする。

俺の記憶が正しければ今はまだ8月半ば、この寒さはおかしい。

おかしいといえば。


「声がおかしい…」

声が高くなっているな。

視界の隅に池のようなものがあった気がした


「女か…?髪の長さも違う、声も違う。そもそも顔のパーツ自体違うぞ、悪い夢ではないか…」

ここまでも夢なら笑い話になるんだがな。

人差し指の側面を思っ切り噛む…痛い。


「…まどろむな、記憶を全部思い出せ。何時何処で何がどうした」

自分に言い着せるように言葉を紡ぐ。



アレは仕事終わりだった、朝始発が出る時間にやっと仕事が終わったんだ。

店長に店のメイド服を洗って来るようにたのまれて…


「お先に上がります、お疲れさまですー」

洗い物もレジ閉めも終わったし、店長に挨拶をしたし帰るか。


「七原くんちょっと待って!これクリーニングお願いできる?あとクリーニング代建て替えといて!」

そう言って、店長が渡してきたのはメイド服だった。


「マジすか?私なんすか、しかも建て替えすか…」

店服のメイド服だけどカラーや布質、形が違うからクリーニング代もバラバラだからな、やだなー。


「たのむよー?今度タバコおごるからさー」

上司の頼みって断りずらいんだよな。


「かしこまりました承ります」

仕方ない5着くらいならそこまで財布は痛まないか。



この数秒の遣り取りが無ければ死ななかったんだよな。



駅の近くの交差点だった。

朝早い日曜日にそんな交差点で信号待ちしてるのは俺1人。

スマホをいじりながら数分の時間を持て余して時、俺の身体に車が突っ込んでいた。


「…?」

何がと言おうしたけど声なんて出なかった。

キーンと嫌な頭痛がするし苦しいし。

下を見ると壁と車に挟まれ潰れいた、あぁコレは助からないだろう。

死ぬ時は好きな音楽聴きながら、セブンスター吸いつつ死にたいと思っていたな。

スマホは見当たらない、事故の衝撃で飛んで行ったか。

そういえばタバコは潰れてる下半身のポケットだったけ。


いやそうじゃない、俺はまだ死にたくないんだ。

まだあの子に告白の返事を貰うまではしねない…。


車から火が上がる、当然身体にも火が燃え移る。

クソが、オーバキルかよ。

そして車が爆破した、オーバキルより酷かったわ。

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