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過去と未来との出会いは希望になった

 「始祖(ビギンニン)部  部室」 

 

 そうか書かれた看板がある扉の前に俺は立っている。


「うわ……。」


 あまりのネーミングセンスの無さに俺はつい嫌そうな声を上げてしっまた。 

 

「うわ……て、ちょっとその反応はひどいと思うぞ。」


 とアトロナーヘ先生は口を尖らせながら言う。


「いや、だって始祖がいるから始祖部って安直なんてレベルじゃねーぞ。」

 

「じゃあ、どんな名前ならいいんだ。」


「う~ん、そうだな~。」


 と俺は頭の歯車を回しながら顎に手をやる。


「ほら、遅いぞ早く~。」 


 ええい!横でごちゃごちゃ言われたら思い浮かぶものも思い浮かばない!文句を言ってやろうとした瞬間。ピコーン!とひらめいた。

 

「黒魔法研究会なんてどうだ。」


 と俺はニヤケながら提案した。


「なんで黒魔法?」


 と先生は首をかしげながら質問してきた。


「俺は黒魔法が得意だからな!」


 と自信満々に言った。

 

「研究するの?」


 とまた質問してきた。

 

「いや、しない。」


 と答え  


「ダメじゃん。」


 と呆れとような声音で言葉を返してきた


「たしかに。」


 と納得し


「もう、考えるのもめんどくさいし、このままでいいや。」


 という俺の発言によりこの話は終わりを告げた。


 

トントンと小気味よくノックをし中に入るとまず


「あ!ロクちゃん久しぶり!。」


 と元気がよく嬉しそうな声が聞こえた。


 俺のことをロクちゃんと呼ぶのは母親ともう一人


「えへへ、3年ぶりだね!」


 そう、幼なじみのクークークー・アグトラである。

 

「あ……ああ!久しぶりだな!3年ぶりだな!」

 

 正直、彼女はちょっと苦手である、いや、容姿端麗で成績優秀で俺みたいなどうしようもないやつにお金をくれるような、とてもいい娘なのだが、なんだか面と向かって話すと何だか緊張と居心地も悪さに見舞われてしまうのである。


 そしてもう一つ


「わたしのあげたお金、役に立った?」

 

 とすこーし天然気味なのだ。 

 

「え~お前、女から金をせびるとか……。」


 とかなり引き気味に言い放った。

 

「ちがうよ~、働けなくてロクちゃん困ってるだろうな~ってわたしが助けてあげたの!」


 と満面の笑みを浮かべて言った。


「そ、それならいいんだ、しかしロクショウお前って見かけによらず、中々(すみ)においとけない奴だったんだな。」


 と意外そうな顔でこっちを見てきた。


「いやクーとは、そんなんじゃないよ。」  

 

 クーというのはクークークーの愛称のことだ


「ただの幼なじみってやつだ、俺ってしょうもない奴だからさ、いつもいろいろ助けてもらったんだよ。」


 と俺が言うと


「そんなことないよ~。わたしだって、いろいろ助けてもらったんだから!」


 と返してきた。


 俺がクーを助けた、か。

 

 確かに初等学校にも通っていない子供の頃は助けあっていたような気がするが、学校に通うようになりその能力に差がどんどん出始めてからは助けてもらってばかりな気がする。

 

「本当は、直接お世話しに行きたいんだけど、研究機関のお手伝いで忙しくて会いに行けなかったんだ、ごめんね。」

 

 クーは10歳の時に覚醒者(ウエイクラー)になってから修等学校卒業までの5年間、俺が入りたかった通学タイプだったのだが3年前に研究機関の手伝いとやらで村から出っていたのだ。


「ちょうど、お手伝いも終わって帰ろうかって時にロクちゃんも覚醒者しかも始祖(ビギンニン)なんて運命かんじちゃうな~。」


 と笑顔で言ってくる。  

 

 中々可愛い笑顔だったがそんなの気にならなくなる存在が俺の目に飛び込んできた。


 まるで絹のように美しく輝き歩くたびに可愛らしく揺れそうなほどサラサラな銀色の髪、まるで天から振りたての誰にも汚されてない白雪のように白い肌、人形のように整った顔、ささやかで上品な胸、守りたくなるような小さい背丈、そして()きとおるように純粋で(まど)わすように妖艶(ようえん)なそうまるでルビーのような美しい真っ赤な瞳、まさに芸術、美の化身俺はそう感じてしまうほど彼女の美しさに魅せれていた。


 クーは不機嫌そうにこっちを見たあと、すぐいつもの調子で


「あ、彼がわたしの幼なじみで新しいメンバーのロクショウだよ。」


 という。


 なぜかみょうに幼なじみの部分を強調している。


「ボクの名前はアルケよろしくです、ロクショウ。」


 と見た目そのまま美しく可愛らしい声で自己紹介をした。


 先生の言うとおり、(がら)にもなく楽しくなりそうだなと俺は思ってしまっていた。


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