魔法それは不思議からの贈り物
アトラ特別学園の塀や門はまるで城壁のように何者をも寄せ付けないよう無いような威圧感をはなっている、俺は覚醒者だ、始祖だと御大層な者にはなっているが所詮その中身は大陸の端っこ田舎村の無職の若者その圧倒的なオーラにすっかり気圧されている。
「大丈夫かなぁ~。」
俺はすっかり弱気になっていると。
「大丈夫、大丈夫、お前には私がつているからな。」
アトロナーヘが言ってくる。
「ついているって?」
俺は間の抜けた声を上げた。
「あれ、言ってなかった、私はお前の専任の教師なんだぞ。」
そう衝撃の事実を漏らしてきた。
「えっ、そうなの?!」
そう素っ頓狂な声を上げた。
「言ってなかった、お前は特別の中の特別だからな私のような特殊教員が個別でついてくるんだ。」
そう淡々と言ってくる。
「初耳だぞその話、なんか余計に不安になってきたな~。」
溜息ながらにそうつぶやくと。
「そんなことはない、私は頼りになるデキる女だぞ!」
そう言いながら、その豊満な胸を突き出してきた。
「うん。」
返事をしたが、正直に言うとかなり不安だが、しかし別にとって食われるわけでもないしいつまで門の前に鎮座しているわけにはいかないので、勇気をもって一歩前に踏み出すため
「じゃあ、いきましょうか。」
そう俺は、口にした。
アトロナーヘの案内で質素だか高級感あふれる廊下を歩きある部屋に入った。
「やあ、君が始祖のロクショウ・ユナトかい。」
広大な部屋の中に佇む修等生ぐらいの女がそう言った。
「え、まあ、そうだけど。」
戸惑いながらに答えた。
「おっと、すまない自己紹介がまだだったね、私の名前はアシェトス・モナフェス一応アトラ特別学園の学園長という肩書きを持っている。」
自己紹介だけにとどまらず少し興奮した声音で言葉を続ける。
「いや、始祖なんてものをお目にかかるなんて初めてなんでつい興奮してしまってね。せっかくだからなにか魔法の一つでも見せてくれないかい。」
人間いや動物全てには魂と精神がある魂はマナを生み出し、精神は思考しそのマナをコントロールするそして魂と精神はマナの変化したものでありその二つは互いに影響あたえあっている。始祖はその魂が突然変わってしまった存在それゆえ精神にも影響を及ぼし自分が扱える魔法というものがなんとなくわかるのである。
おれは学園長が満足しそうな魔法も使えるし、特に断る理由もないため
「うん、わかった。」
そう、答えた。
すぅ~っと深呼吸をし精神を集中させる。
マナには二種類あり、ただ意味もなく漂う誰の物でもない霊と、意味を持って誰かが所有する魔力があり、魔法とは魔力を使って太極両儀と呼ばれる超世界の超存在の力を導きとけあわせるのもの。
そして太極両儀には『火』『水』『空気』『大地』『鉱石』『天』『星』『白』『黒』の九つ属性に分かれているそのうちの白、黒以外は自然属性とまとめられることもある。全ての精神を待つ存在がレベルを問わなければすべての属性が使えるはずが、俺は黒以外使えないがしかしその分強力な黒魔法がいくつも使えるのでその内の一つを学園長に見せようとする。
「夢人現人厭魅」
俺が、言葉を発すると光る上を向いた四つの目の模様が浮かんできた。
魔法を使うには魔力をコントロールするだけではダメなことのほうが多く、儀式を必要とするその方法大きく分けて三つ。
まず一つ目、紋章による行使。別名:紋章行使とは魔線をつかい模様を描き魔法を使うこと。
二つ目に、言語による行使。別名:言語行使とは言葉により魔法を使うこと。
最後に、媒体による行使。別名:媒体行使とは魔力を込めた物で魔法を使うこと。
今のやり方は紋章行使を言語行使で補佐をするというかなり基本に忠実なやり方だ。だがこの魔法の効果がかなり異様であることは俺の目の前にいる俺が表している。
「これは……。」
学園長が目を見開く。
それもその筈である、なぜなら俺の前にいる俺は幻でありながら現実に存在するのだから。
「ふむ、夢でありながら現か。君には驚かされた、いいものを見せてくれてありがとう。今日はゆっくり休んでくれ。」
そう言いながら学園長は部屋を出ていった。
「じゃあ、アトロナーヘ先生帰りの飛車を用意してくれ。」
今日はもう疲れたのでゆっくり思う存分眠りこけたいのだ。
「何言っているんだロクショウ、今日からお前はここに住むんだぞ。」
彼女のあまりに驚きの発言により
「え、なんで。」
とつい漏らしてしまった。
「なんでも何も、今日からここがお前の家だ。」
えーと、それってつまり~。
「今日から寮生活?」
そう可愛く首をかしげ夢でありますようにと悪あがきに近い希望を持ちながら質問した。
「ああ、そうだ。」
そう俺の希望は儚く散ったのである。
「だ、だいたい誰に許可を取っているんだ。」と問い詰めると。
「お前の両親だ。」
その答えはあっさり出た。
「あんにゃろ~」
そう、俺を望んで産み、大切に育ててくれた両親に対し逆恨みをしている間に「あ、そうだ両親から手紙を預かっていたんだ。」と紙を渡してきたのでその内容を確認してみる。
これは何かのチャンスだ思い切って寮生活を挑戦してみるのも悪くないと思うぞ。By父さん
大丈夫、ロクちゃんならできるから母さん信じてるからBy母さん
Ps,別に厄介払いではないからな、私たち夫婦は常にお前のことを考えているからな。By父さん&母さん
「ちょっと、交信器ないの!」
そう声を荒げて言う。
「あ、家に連絡してもいないと思いますよ。」
その発言に間に髪を容れずに「え!どうして!」と返す。
「いや、お前のご両親は旅行に出かけるんだってさ2,3年くらいかけて。」
少し引き気味に答え
「ま、たまには親孝行も悪くないんじゃないのか、大人しく諦めろって。」
諭すように言葉を続けた。
こう、言われるとなんも言い返せないのが無職の辛いところである。
「俺は、一体どれだけ寝てたの。」
気休めにもならない問いに
「2週間」
と帰ってきたのである。
アトロナーヘ先生にじぶんの住処を案内してもらい、もらった鍵で部屋の中に入ると荷物が箱詰めのまま放置されていたが、片付けをする元気もないので放置したままベットの中に潜り込むと時の流れは激しく残酷だなどと考えながら慣れないベットの上で眠りについたのである。