三十一話 協校祭 中2
お久しぶりです! 社会人になって半年、いや時間と疲労が……でも、書くことがやっとできました。できれば、来月にも更新したいとおもいます。よろしくお願いします。
俊は太刀を振り、石嶋はそれを避けてから反撃を行う。
ギリギリの所を俊は避け続け、空きあらば反撃とお互い激しい攻防が続く。
その光景をモニターで見ている観客達は熱狂する。
『物凄い攻防だぁーー!!』
と渡辺が実況をすると、更に観客席の方から声があがる。
『いやぁ、ホントに宮下選手は凄いですね! 久能さん!』
『凄いのもありますが、彼が装備しているマントはダメージカットを自動で行うマントですので、相手の攻撃を数発受けてもダメージを受けないのが強みなっているのでしょうね』
『なるほど、だから、あそこまでギリギリなのですか』
『いえ、それは武術を行なっている者のみが分かる。自分の当たる範囲を熟知しているからこそ、あそこまでギリギリなのかもしれません』
『ほほう! では、保険でマントを着ているのですね』
『そういう事になりますね』
俊は太刀を振り続け、石嶋は太刀を避けたり、受け流したりしていた。
そして、お互いに少し後ろに下がる。
「……強化アーマーを着ている相手にここまで粘るとは、本当に凄いな」
「色々対策してきたからな」
「そうか。けど、そろそろ終わりにしよう」
「なに?」
俊が言った瞬間、石嶋はいつの間にか俊の目の前まで着ていた。
「――ッ!!」
「――動きはもう覚えた」
石嶋は拳を振り上げると、俊のボディーを捉えた。
俊は後方へ飛ばされ、木に激突する。激突した後、地面にずり落ちる。
強烈な一撃を受けた俊。だが、俊は何事も無かった様に立ち上がる。
「……ダメージカットのマントか。どうりで、剣で切られてもピンピンしている訳か」
石嶋が言うと、俊の羽織っていたマントの一部が弾け飛んだ。
「くそ……そういえば、俺の動きが覚えたとか言ったな?」
「ああ、そうだが?」
それを聞いた俊は太刀を地面に突き刺して、背中に装備してあったショーテルを掴んだ。
「ショーテルか、それでなにが変わるんだ?」
「知らないのか?」
俊は言いながら石嶋に近付く。
間合いに入った瞬間に俊はショーテルで横に斬り掛かる。
石嶋はショーテルを腕で止めようとした。
「――ッ!」
腕で止めようとした瞬間に俊は少し腕を引いて、ショーテルの湾曲している部分を腕に当てた。
湾曲している部分で受け止めた石嶋は、ショーテルの先端の部分が脇腹に刺さった。
石嶋はショーテルを払い、俊に攻撃する。
左ストレートを俊に放つ、それを俊は右手に持っているショーテルを真上から振り下ろして軌道をずらした。
「このッ!」
今度は右フックを俊に放つ。しかし俊はそれを呼んでいたのか、次に取った行動に石嶋、会場が驚愕する。
俊は左手に持っているショーテルを離し、腰に着けていた刀を抜いて柄の部分で石嶋の右手を弾いて軌道をずらした。
ずらした後、頭を下げて石嶋の放った右フックを避けてから刀で切り抜けた。
切り抜けた後に持っていたショーテルを石嶋に投げる。
石嶋は振り返ると同時にショーテルを振り払った。
「痺れてたよ」
「だろうな。簡単に切り抜ける事が出来たからな」
二人が会話する中、会場は大盛り上がりをしていた。
『なんと激しい攻防だったのでしょうか!』
思わず、立ち上がってマイクを握りながら言う渡辺。
『今さっきのシーンをスロー再生でご覧ください!』
先程俊が行なった所をスロー再生で流し、それを見た会場は更に盛り上がる。
『いやぁー今年は本当に凄いですね。特に4女です!』
『今年は面白い人達と出会ったのかあの高校なので、協力して貰えてありがとうございます』
凛花がお礼を言うと、
『そういえば、宮下選手は先程から特殊武器を二つ程使用していますが、他にあったりはー……しますか?』
渡辺が凛花に聞く。
『どうでしょう? 今回、私は選手の装備などはノータッチなので分かりません』
『ほほう! ですが、皆さん! 特殊武器の装備制限って無いんですよ! 知ってましたか?』
渡辺の言葉に少し驚く会場。
『実は、特殊武器は強力ではありますが使えなければ多くの電力を消費してしまいます。そして扱い自体も難しい武器しかございません。ですので、使えて一人の選手に二つが限界とされています。ですが、宮下選手には何か私は感じますー! まだ何かある、と!!』
渡辺の解説に盛り上がる会場であった。
俊は刀で鋭い斬撃を石嶋に放っていく。
石嶋は腕でガードしたが、斬撃が鋭すぎてガードの上からでも電力を減らされた。
その為、当たらない様に全て躱している。当たりそうな斬撃は拳で弾く。
だが、石嶋は俊の攻撃速度、パターンが慣れてきた所で反撃を入れ始める。
その瞬間俊は腰から小太刀を抜き、攻撃速度、パターンを変えた。
そして、石嶋が一旦後ろへ引いた。
「ふぅ……反撃で踏み込んだ所を狙う予定だった感じか。危ない危ない」
石嶋が言う。俊は刀と小太刀を石嶋に向けながら戦闘態勢を崩さない。
黙り込んでいる俊に警戒しつつ、周りを少し見る石嶋。
「……結構奥まできたな。それも俺達側」
それを聞いた俊は少し驚く。
「俺がここで救援をだしたら、どうなる?」
「その前に、倒す!」
俊は石嶋に激しい斬撃を行う。それを石嶋は避け続ける。
「慣れた」
石嶋が言うと、斬撃を払った後に攻撃を入れて行く。
俊はそれを払いながら攻撃をしていくが、
「――ッ!」
「厳しいよな。俺の攻撃が鋭すぎて」
石嶋が言うと、俊は石嶋の攻撃を払うと同時に刀を上へ投げた。
そして、後ろの腰に着けていた棒を取り出すと同時に石嶋へ突く。
その瞬間、先端から刃が出た。
「――グッ!」
突くと俊は後ろへ後退して、槍を振り回す。それを見た石嶋は驚いた。
「お前、あといくつ武器を持っているんだ」
「さぁ?」
槍を構えながらニヤっと笑いながら言う俊であった。
俊と石嶋との対決に会場は更に盛り上がる。
『な、なんと言うことでしょう!! 宮下選手今出た段階で5つの武器を扱っています!!』
俊の活躍を見た深月は胸まで両手を上げて握っている。
「大丈夫ですか?」
思わず真が深月に声を掛ける。
「はい、大丈夫です。ですが、こう……俊はカッコイイと思うのです」
「……」
まさかの発言に真は驚いて言葉を失う。だが、画面に視線を戻す。
強化アーマー相手に遅れを取らないように奮闘している俊を見た真は、
「確かに、彼はカッコイイですね」
深月は真に発言に驚いてから微笑み。
「はい……」
槍で攻防を続ける俊。
「凄いなぁ……! 俺強化アーマー着てるんだけど?」
「それが、どうしたッ!!」
鋭い一撃を石嶋に放つ。しかし、石嶋は避けてから、槍を掴んで折った。
「クソ」
俊は一時離脱を選択する。が、
「逃がすわけ無いだろ」
俊よりも早く行動出来る石嶋には意味は無かった。
しまったッ!! と思う俊だが、既に遅い。
石嶋は左フックで俊を殴る。
俊は右腕でガードをするが、あまりの威力に腕が折れる。
そして地面に叩きつけられてから転がる。
その勢いのまま俊は背中から木と激突した。
「カハッ……」
数秒息ができない。
あぁ……クソ、ここまでリアル再現しなくてもいいんじゃねぇの?
クッソダルイぞ、おい……。と思う俊。
足音が聞こえ、俊は立ち上がる。
「まだ立つのか」
「あったりまえだ、妹のある意味な人生を背負ってるんでな」
ヘヘヘと笑う。表情は伺えないが石嶋が呆れている様に見える。
「左腕は折れた、握る事は出来ないだろう」
「だな、けどもう一本ある」
刀を取り出し、石嶋に刃先を向ける。
「そうか――」
「――ッ!! ゴフッ」
石嶋が言った瞬間、目にも止まらぬ速さで俊の腹部を捉えた。
俊は殺気を感じた瞬間に軽く後ろへ飛んだが間に合わず受ける。
腹部を抑えながら地面に膝を着く。
俊は自分の電力を確認した。
「残り……40%か……」
呟いてから、腹部の痛みを我慢しながら立ち上がって逃げる。
「……諦めろよ」
石嶋はボロボロになった俊を歩いて追う。
俊は予想以上のダメージを貰った為、体があまり言うこと聞いてない。
本気で走ろうとしているが体中が悲鳴を上げている様に痛みが走る。
走る速度も石嶋が追える程度のもので、途中で倒れそうな時は木に手を付けて倒れない様にする。
「クッソ、リアル過ぎてつらぁ……」
逃げている最中に俊はマップを開く。
「ここだ――!!」
呟いた瞬間、殺気を感じて避けようとしたが背中に痛みが走り飛ばされた。
少し大きめの木と激突した俊は、蹴った本人と何とか向き合う。
「ハァハァ……ご機嫌、いかがぁー……?」
「よく頑張ったな」
「いやいや……それほどでも」
「終わらせよう」
と言って石嶋が近付いてくる。その石嶋に対し、
「これは……」
俊は分厚い鉄の手錠に付けられた鎖を石嶋の右手に装着させた。
「ほう? 決闘様のチェーンか」
「そうだ……」
「相手を倒すまで壊すことも切る事も外す事すら出来ないこれを態々どうして?」
俊は石島に指を差す。
「お前を倒す為のもんだよ……」
息を荒くしながら言う俊。
「ハッハッハッハッハ!! 面白い事をいうな! そのボロボロの身体で、俺にどう太刀打ちする?」
俊はフッと鼻で笑ってから無言で取り出す。
「……それは?」
「さぁ? なんでしょう?」
「さぁ? ってお前、何のボタンかき――!! クソがッ!!」
気付いた石嶋は俊の持っているリモコンを壊そうとする。
だが、俊はシールドを展開してリモコンを守る。
「アホが!!」
石嶋の一撃に耐えられないシールドは貫通されてしまう。
そのまま石嶋はリモコンを掴んでから、握り潰した。
振り返り俊を見る。
「ハイソニックボムを使う奴がいるとはな……確かにこれなら、俺を倒す事は出来たな」
「……」
「半径5kmを一瞬で衝撃波を起こす爆弾。効果範囲外でも多少の威力のある武器だ。しかし、最大の弱点が3つ、1つがリモコンでの起爆操作のみ。2つ、遠隔操作が出来ず5km以内にいなければ発動できない。3つ、リモコンを壊されれば強制でカウントが止まる。10人以上が3km以内にいなければ発動が出来ない」
石嶋は言ってから俊へ近付く。
「惜しかったな。あともう少しで俺を倒せたんだから」
「……」
「ふーむ、爆弾が近くにあるのか? 対策しているならあるはずだ」
どこかなー? と挑発する様に俊に言う。
「お、あったあった」
と言って石嶋がハイソニックボムに近付く。
「分かってんだろうな……? ハイソニックボムは起動中に激しい揺れ、破壊、解除を行えば爆発することも……?」
「当たり前だ。こんなアホ武器が珍しいからな。なんだっけ、作者のコメント……」
「この武器は使う人が使えば面白い武器になる。こういう物もあったって面白いじゃない? だ」
「あぁ、そうだったな。最終的には雑魚武器と化したけどな」
話していると、ピッピッと音が石嶋に聞こえた。
なんだ? と思った瞬間に急いでハイソニックボムへ近付いた。
「残り1分!? な、なぜだ!! リモコンは壊したはず!!」
「あぁ、壊したな。予備のリモコン」
「クソッ!」
石嶋はその場から離脱しようとした。だが、決闘用の鎖のせいで一定以上は離れる事は出来ない。
「ま、まさかお前……! 自爆覚悟で!!」
「これ以外……お前を倒す方法がないからな」
「なら、引っ張ってやる!」
「やめとけ、この鎖は爆弾にもセットしている」
「じゃあ……お前を倒す!!」
石嶋が俊に突っ込む。
「あぁ……そうくるのは知っていた」
右手を相手に向ける。
「――!? これはディフェンダーのシールド!」
「正解……」
「こんなもの!!」
石嶋は思いっきり振りかぶる。だが、
「わ、割れない、だと!!」
「当たり前だろ。知ってるか? ディフェンダーのシールドは展開時に注ぎ込んだ電力分強度が増すんだ。それに俺等みたいに武器が持てない代わりに、シールド強度が10倍なんだぞ」
俊の説明の中、必死にシールドを殴り続ける石嶋。
「クソクソクソクソ!!!!」
「因みに、俺は持っている電力30のうち。25%をシールドに回した」
「ふざけんなぁああああ!!」
殴る蹴るの嵐がシールドに当たる。だが、シールドは一向に割る気配がない。
俊はメニューを開き、残り時間を見る。
「残り、12秒」
メニューを閉じてから、石嶋を見る。
「これで最後の試合だから、今教えてやるよ」
「うるせぇ!!」
「俺等のリーダー誰だと思う?」
「――ッあのクソスナイパーだろ!!」
「そうだなぁ……表向きはな」
俊の一言に黙りながら攻撃を止めない石嶋。
「――!? ま、まさか!! あのハッカーか?」
「正解だ。あぁ、因みに俺がここに来たのは作戦だ。そう、お前と他のチームを一網打尽にする作戦」
笑いながら話す俊。
「アホがッ!! 今から通信で報告してやるよ! ありがとな! 情報をよ!」
石嶋は通信を行い、味方へ連絡しようとした。だが、
『こちらA1!! 相手の攻撃が早すぎる!』
『こちらB2!! 押し込まれてる!』
『C3より各員! この場で守りきるぞ!』
『『『了解!!』』』
と通信が聞こえるだけで、石嶋からは通信が出来ない。
「なぜだ! なぜ、通信が出来ない!!」
「お前の対策はバッチリだ。お前にはジャミングは効かない、お前にはな。なら、周囲へジャミングすればお前はただ聞く専だ。他が完全に死んでるからな」
「ちくしょうがッ!!」
先程よりも大きく振りかぶる。しかし、シールドは割れない。
「強化アーマーを着た俺が劣るのかッ!!」
「残り15秒」
「あああああああああッ!!!!」
石嶋は必死に攻撃をする。その間に俊は通信をした。
「よう」
『俊兄、どうしたの?』
「盾、ありがとな。御陰で勝ったわ」
『いえ、私の為ですから、ですが……ありがとうございます』
「はいはい、ってことでみんな」
残り時間5秒を確認して、
「あとでな」
言った後、カウントがゼロとなり爆発した。
ハイソニックボムで相手チームの8割が爆破に呑まれ離脱した。
その爆発を見ていた観客は唖然として、黙り込む。
実況の渡辺と解説の凛花も黙る。観客席にいた医療スタッフが走っている。
「あれだけの爆破、体にも影響が出るかもしれない!」
「いくぞ!」
「はい!!」
それを聞いた深月。
「俊……!」
医療スタッフの後について行った。
『こ、これはー……なんですかね?』
『……ハイソニックボム、です。半径5kmを衝撃波が一瞬で襲う武器です」
『そ、そんな強力な武器があるなら皆さん使うのでは!?』
『いえ、あれはとても条件が厳しいのです。最低条件は三つ、起爆スイッチのみ爆破、5km以内に入って起爆、リモコンを壊された時点でカウントストップ、10人以上いないと発動も出来ない』
『あー……そ、それをクリアした。と言うことで良いんですよね?』
『その通りです。本当に、驚きました』
フフと笑う凛花。その数分後、4女が勝利。
そしてエリアビーコン、全ての戦いが終わり選手たちはステージで待つ。
『さて、皆さん! このエリアビーコン! まさかの大番狂わせが多くありました! しかし、その中でも戦い、勝ち取った者もいますッ!! そして!! 今回のエリアビーコン一位はッ!!』
ドラムの連続で叩かれる音の中、順位を待つ生徒達。
「よう」
彰吾達が待つグループに片腕に包帯とギプス、片目に眼帯をした俊が表れた。
「おまえ、それ」
思わず彰吾が俊に向かっていう。
「あー痛みが伝わってな。脳が誤認してんだとさ。まぁ、すぐ治るらしいから安心しとけ」
「そか、よか――」
『――第一位は!!』
彰吾と俊は振り返り、スクリーンを見ると、
『第4女学園ですッ!!』
渡辺の一言に4女の生徒と彰吾達の学校の生徒達がはしゃぐ。
他の学園は「まぁ、だよな」のテンションである。
『そして!! エリアビーコンMVPが!! 史上初の二人! 一人が、宮下俊!!』
わぁあああああッ!! と歓声があがる。
「まぁ、妥当だな」
「あれだけ暴れれば」
「自爆とは言え、強化アーマーは倒したしな」
賢次と杏華、彰吾が俊に言う。
『二人目がほぼ百発百中、最高の援護ガンナーの有原賢次!』
クラッカーなどで盛大に祝われる賢次。
「あれ、俺より派手でね?」
それは彰吾も思ったが口にはしなかった。
その後、賞状とトロフィーを俊と賢次、沙由莉が貰いエリアビーコンが終わった。
ホテルのホールを使い、打ち上げが行われる。
他校も合同で行われる打ち上げ、そこに石嶋が杏華の前に表れた。
「……すまない、君の事に夢中になりすぎていた」
ポカンとする杏華、俊が間に入りそうなのを彰吾と賢次で止める。
「だが、俺はまだ諦めていない。いつか、君に振り向いてもらう」
「……そうですか」
「でも、その前に」
石嶋が俊の目の前に歩く。
「今度は本気で倒す」
そのまま拳を俊に向ける。
「上等だ」
俊も自分の拳を石嶋に軽くぶつけた。
エリアビーコンが終わり、次の種目の強化アーマーの観戦をすることにした彰吾達だった。
つづく
長らくお待たせしました。
いやはや、最近は仕事から帰ってはご飯作って、風呂入って、ご飯食べて、休憩、寝る。の日々でした。
一ヶ月に一回、これから更新できたら、と思い、頑張ろと思います。
そして、睡魔に教われたので、はい。ちなみにこれを書き上げたのは、この投稿の1時間40分前です。明日も頑張りましょ!




