二十八話 協校祭編 Ⅸ
本当に大変ながらくお待たせしました。最新話です。
お話としては、サナと食事を終えた後の話です
AM 9:30 / 羽田空港ターミナル
銀髪青目の美少女が黒服の男三人に囲まれながら歩いて行く。
少し歩くと正面からブラウン色のスーツを来た男性が待っていた。
すると黒服の男達は銀髪青目の女の子を守ろうと正面に立つ。
「待っテ下さイ」
少しカタコトだが、日本語を話す銀髪青目の女の子。
黒服の男性達は横にズレて男性と対面させる。
「初めまして、第1東都高等学校校長の西山です。今回は留学先の学校を第2にして貰い感謝しています」
「こちらこソ。初メましテ、アンナ・フィリア・レームでス。よろしくお願イしまス」
「では、アンナさん今協高祭をやっている最中ですので競技場に行きますか?」
「そうですネ、荷物ハそちらに送っテしますので行キましょウ」
アンナがそう言うと黒服男性達に電話が掛かり、それに出て通話が終了するとその場から離れた。
「楽シみですネー」
にっこり笑いながら校長の後を付いていくアンナであった。
PM 14:42 / 協高祭競技場
昼食を食べ終えた後、彰吾達は店を出てから少しウインドショッピングをした。
ウインドショッピングをした後にいい時間だったので、彰吾達は紗奈江と別れて競技場に戻り、試合の準備を行ってから試合に向かう。
今現在、試合開始から32分が経っていた。
俊は敵チームから警戒されて見つけるなり総攻撃をされていた。
だが、敵チームは側面からやってきた彰吾と杏華、味方チームの挟撃にどうする事も出来ずに三チームが全滅。その10分後には試合が終了した。
今回も見事な作戦と立ち回りで圧勝した4女。しかし、それも相手を惹きつける賢次達のチームが大きい。
そして、その戦いを観戦していたアンナ。
「……、見ツけましタ」
呟く様に大型モニターを見ながら言った。
PM 14:40 / 協高祭競技第二観戦場
「おー、うんうん。いいねいいねぇー」
観戦場に着くなり、リリンが軽く走って手すりに捕まりながら言う。
それを見ていたファントム部隊の隊員達。
「リリン、はしゃぎ過ぎでは?」
ファントム部隊の隊員の一人、神崎仁。
神崎に言われたリリンはくるりと振り返り神崎を見る。
「そう? そこまではないと思ったけど」
と言いながらんも、ふふーんと鼻歌をしながら大型のライブモニター見る。
その姿を見た神崎はフフと笑う。
「やはり、貴ヶ谷中尉が出ているのって言う事で嬉しいんですかね?」
「多分そうかもな」
ファントム部隊スナイパーの栗原大智が言う。
「それにしてもやっと大智さんが帰って来たので、貴ヶ谷中尉ばっかり頼る事無くなって負担も減りますね」
神崎が大智に向かって言うと、大智は手すりに背中を預ける様に肘を着いて「ふぅ……」とため息を着く。
「アイツはアイツの仕事があるから負担は減らないさ」
「……ペイルライダーとしての仕事ですか?」
「ペイルライダーじゃないさ。〝ライダー〟としての仕事さ」
その言葉を聞いた神崎はハッ……と察してから黙り込んで、大智から一旦視線を逸らす。
それを見た大智はフッ……と笑い、神崎に近付く。
「まぁ、でも今のところ大丈夫だ。安心しとけ」
「そう願います」
言いながら二人はリリンの両隣に着いて大型ライブモニターに視線を向けた。
PM 14 : 52 / 4女選手控え室
彰吾達は椅子に座って休息をしながら、賢次の作戦を聞く。
「次の試合だが。もう完全マーク対象だ。だが、それは良いことでもある。何でだと思う?」
賢次が俊に向かって聞くと、
「……こっちに視線が集まれば他のチームが動きやすい? からか?」
「珍しく正解だ。そういう事になる。俺達が動き回れば動き回る程相手はこっちを見なければいけない。後、俊お前はユニーク指定されたからな。ユニーク専用の武器でも見てこい」
「そうだな。見てくるか」
そういうと俊は椅子から立ち上がり部屋を出た。それを見た杏華も立ち上がる。
「どこに行くの? 杏華ちゃん」
彰吾が杏華に聞くと、杏華は笑顔で振り返った。
「いえ、ただ外の空気を吸おうかな。っと思っただけですよ」
「俺も行くよ。俊の選ぶ武器も気になるし」
言ってから彰吾は賢次に視線を向けると、賢次は「いいぞ」と言わんばかりに頷いた。
「んじゃ、いこっか」
「はいッ!」
彰吾と杏華は部屋を出て俊のいるであろう武器選択の端末のある場所へ向かう。
向かっている最中、杏華は彰吾の横顔をチラっと見る。それに気付いた彰吾は杏華を見た。
「どうしたの? 杏華ちゃん?」
「い、いえ! なんでも無いです!」
「そう? なんかあったら言ってね」
「は、はい!」
だが、直ぐに俊のいる場所へ辿り着く。
着いた彰吾は端末の前で悩んでいる俊に近付いた。
「何に悩んでんだ?」
「ん? 色々な武器があるからどれ使おうかなっと」
「使えるもんがあるなら、持てるだけ持つのも有りだし、使えるなら使えるだけ使えば?」
冗談で言った彰吾であったが、俊はパチンっと指パッチンをして音を立てる。
「それだ」
「え、マジで」
そんな話をしている中、杏華は話についていけず端末の近くにあるガラスの扉から外に出て外の空気を吸う。
「んー、室内にいると外の空気が吸いたくなるのよねぇー」
と言うと同時に涼しい風が杏華の髪を靡かせた。
涼しい風が止むと夏特有の熱い風が杏華を襲う。
「うぅ……熱い……」
「あれ、君は京都で有名の水圧か?」
突然後ろから話を掛けられた杏華はそちらの方へ向く。そこには茶髪の男子が一人と二人の黒髪の男子が居た。
「あまりその名で呼ばれるのは好きでは無いんですよ」
杏華は笑顔でその男子に応えた。
「ほう? その笑顔、素晴らしいな。完全に興味が無いのにも関わらず、相手には敵意を向けさせず、相手に謝まらせる態度。いいな」
それを言われた瞬間に杏華は笑顔から真顔に変わる。
「そんなつもり無かったんですが? そう思ったのであれば、それはすみません」
と、杏華は頭を下げた。
「その態度も素晴らしいッ! 気に入った、気に入りましたよ!!」
茶髪の男子は杏華の顎を掴んでクイッと上げた。
「おっと、遅れたね。俺の名前は石嶋堂寺。次の君たちの相手だよ。でも、君は好きになったよ。今まで色んな女と付き合って来たけど、杏華。お前程素晴らしい女性に会ったことはない」
「……離してください。私は貴方の様な人ははっきり言って、嫌いです」
「ハハハッ! そのゲスを見るような目も嫌いじゃない! むしろ、それをこれから好意を向ける目にすると考えると、燃えるな!」
と笑うと、二人の男子が石嶋の肩を掴んだ。
「そのへんしとけって」
「あぁ、やめろ。問題を起こせばそれどころじゃなくなるぞ」
「あー? うっせぇよ、長崎、関口。今良いところだろうが」
長崎と関口と呼ばれる男子は石嶋を止めるが、それを振り払い杏華を見直す石嶋。
「いい加減にしないと、貴方を吹き飛ばしますよ?」
「やってみろよ? そうなれば、お前は出場停止だ」
「それは貴方も同じです。これ以上私に何かするなら運営委員に言います」
「俺はこのまま、見ているだけでも構わないんだが?」
っとお互いに見つめ合う。杏華は石嶋を睨み、石嶋は杏華を熱い視線で見る。
「おい、テメェ……ウチの妹に何の様だ?」
と、そこに俊が怒りながら表れ、掴んでいる腕を払い杏華の前に立つ。
「あーいったーい。痛いなぁ……いてぇんだよッ!!」
邪魔された石嶋は怒りを露わにして俊に言う。
「人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて地獄へ落ちろ……!」
「相手が嫌がっていて、人様の大事な妹に汚ねぇ手で触んじゃあねぇよ」
俊の顔をしっかり見た石嶋はハッと気付き、不敵に笑う。
「次の対戦相手じゃねぇか。それに妹だと? お前は宮下じゃねぇか、立瀬じゃねぇだろ? あ、もしかして妹キャラなの? 杏華ちゃん? いいよ、なら俺の事はお兄ちゃんって呼んでいいよー?」
途中で石嶋は俊の後ろにいる杏華を見ながら言う。その視線を遮る様に腕で塞ぐ。
「邪魔しないでくれるぅー? 少し強いからって……」
石嶋は一度俯いて俊の胸ぐらを掴み、
「調子乗ってんじゃねぇよ、雑魚が……!!」
「そうか、良かったな」
別人の様に変わった石嶋に俊はそこらへんにいるチンピラと同じ態様をする。
「そういやぁ……テメェのお仲間の天月とか言ったか? アイツ相当性格悪いらしいな? じゃなかったらハッカーなんて役職だれも好んで取らねぇよ」
「あぁ?」
石嶋は今いない彰吾の悪口を俊と杏華の前で言うと、それに反応する俊。
「今ここにいない奴の名前を出して文句を言うだけで無く、俺の親友を馬鹿にすんじゃねぇよ……」
「事実だろ? それに噂では単体では何も出来ない雑魚とも聞く」
「テメェ……」
俊が石嶋の胸ぐらを掴み、殴ろうとした瞬間、杏華が石嶋の頬をビンタした。
良い音が鳴った後、数秒の静寂が辺りを包み込んだ。
「痛いじゃないか……ん?」
「貴方に何が分かるんですか? 彰吾さんの何が分かるんですか!!」
俊は珍しく杏華が怒ったと思った。
「そんなに私が欲しいのですか?」
「あ? そんなの当たり前だ。むしろ、更にさっき殴られた事で更に更に、惚れたよ」
「なら、明日。明日の試合で私達に勝てたなら、私は貴方の好きな様にしてください。恋人にしようが、ただの体だけの良いように使っても構いません。お好きな様にどうぞ」
「――!! 本当か?」
「ただし、まず俊兄さんを倒して下さい。それが最低条件です。敗北は貴方のチームが負ける事、こっちの敗因は俊兄さんが負けて、こっちのチームが負ける。この二つが最低条件です。簡単でしょ?」
「ハハハハ! 良いだろう、なら俺は明日最大の力でお前らのチームを倒す。それで良いか?」
「ええ、それで良いですよ」
石嶋は嬉しそうに甲高く笑う。それを馬鹿にするように見ている杏華。
「宮下俊、お前はさっきユニーク指定されたそうだな」
「あぁ、そうだが?」
「俺もされてんだよ。ユニーク指定、第1高校の俺がな」
俊は黙って石嶋の事を睨み、石嶋は余裕の笑みを浮べながら俊を見る。
そして、俊達に背を向けてその場を離れる石嶋。
「明日、楽しみにしてるよ。きょーかちゃん」
ニコッと笑いながら言う石嶋に杏華は睨みながら見送る。
「なんか、すまん」
「石嶋が悪いことした……」
残された関口と長崎が俊と杏華に謝る。
「そんなことを言わないで下さい。お二人は私を助けようとしたじゃないですか」
杏華は何時もどおりの表情で二人に接した。
「なんか、アイツが落ちるのも分かるな」
「たしかに」
と言う二人に杏華はフフフと笑う。
「っと、すまない。石嶋の事なんだが気を付けた方がいい」
突然話を切り出した関口が言い出す。
「どうしてだ?」
何を警戒しなければならないのか、分からない俊は関口に聞く。
「アイツは今回のエリアビーコンのユニーク専用装備に強化アーマーを指定しているからだ」
「強化アーマーか……!」
「そっちは?」
「こっちはまぁ、色々とね」
はぐらかしながら言う俊。それを聞いた杏華は何を心配な眼差しで俊を見つめる。
そんな杏華の頭に手を乗せて優しく撫でる俊。
「心配すんな、選んだのは彰吾だぞ? 俺の要望に可能な限り答えてくれた最高のアドバイザー様様だ」
「あ、それなら心配いらないですね。俊兄が一人で選んでたら、私が見に行ってました」
「これから頑張るの兄なんだが? 少しは信頼してくれても良いんじゃないか? 杏華よ」
と少しだけ気を落としながら言う俊に杏華はフフフと笑い。
「何を言ってるのですか……、信頼しきっているからこそ、俊兄に託したんじゃないですか。一応保険として、私達のチームが負けなければって条件もしましたが。あくまで保険です。私は俊兄が勝ってくれるって信じてますから」
と優しく微笑みながら言う杏華は仕方ないと言う感じで「はぁ……」と一つため息をした。
俊は杏華に近付いてまた、頭を優しく撫でながら杏華を見る。
「んじゃ、エントランスにいる彰吾の元へ行こうか。この事も話さないとな」
「そうですね」
そのまま二人はその場を離れようとした。
「え、二人共それでいいの?」
相手が強化アーマーで来ると言うのに、対策をその場で練ろうとしない俊と杏華に驚いた関口が言い出す。
関口に言われた二人は振り返り。
「問題無い」
「問題無いです」
と同時に答え、その場を去りエントランスに向かった。
直ぐにエントランスに着いた二人は彰吾を探すと、
「彰吾ー! お久シ振リですネーッ!! あれかラ、6年振リですヨ!」
「えっ!? えッ!? だ、誰ッ!?」
と言いながら銀髪の美少女が彰吾の膝の上に座りながら抱き着いている。
彰吾は全く身に覚えがないのか、珍しく戸惑っていた。
「覚エて無イのですカ? よくお爺サんと家ニ来テ遊ンだじゃないですカ」
「……6年前。ロシアにいた頃……よく遊んだ? いや、女の子とは遊んで無いぞ? 人違いでは……?」
と本気で分からない彰吾は覚えている記憶を何とか思い出すが、女の子とは遊んだ記憶は無い。
それを聞いた銀髪美少女は「あー、なるほド……」と言ってフフッと笑う。
「当時ノ私ハ短髪デ、ズボンを履イていたので、勘違イもしますよネ。覚エていますカ? 彰吾ノ住ンでいた家ニ行コうとしテ、道ニ迷ッテしまい吹雪ニ襲ワれて近クの小屋デ一人泣イてた日でス……」
懐かしい思い出を嬉しそうに彰吾に話す銀髪美少女。
それを聞いた彰吾は、
「……マジで?」
「はイ……ッ!」
「まさか……レーム?」
「そうでス! アンナ・フィリア・レームでスッ!! 彰吾ッー!!」
思い出した彰吾に嬉しくなり更に抱きついて、レームは彰吾の頬に擦り合わせた。
「あぁ! 彰吾! これからは私ノ事ハ、アーニャと呼ンで下サイ」
「え、あ、んん!? そ、それは分かったけど、レームなん――」
「アーニャでスッ!」
少し怒りながら顔をズイッと近づけて言うアーニャに戸惑う彰吾。
「あ、アーニャ……」
とぎこちなく言う彰吾。それを聞いたアーニャは満面の笑みを浮かべた。
「と、ところでなんでレ―アーニャ……がここに居るんだ?」
癖でレームと呼ぼうとした瞬間、睨まれ直ぐにアーニャと修正した彰吾。
すると、直ぐに笑顔に戻ったアーニャに聞く彰吾。
「留学デすヨ。あ、それとこれはパパから手紙を預カっていまス。彰吾ニ会ッたらこの手紙ヲ渡ス様ニ言ワれてまス」
アーニャは服の内ポケットから手紙を取り出し、彰吾に渡した。
彰吾はそれを受け取り、手紙の内容を読む。
「……、あのアーニャは手紙の内容知ってる……?」
少し苦笑いでアーニャに聞く彰吾。聞かれたアーニャはニコッと笑い。
「はイッ」
それを聞いた彰吾は手の平を顔に当てて隠す様にして「はぁ……」と一つため息を着いた。
彰吾の反応を見たアーニャは悪い事をしたと思い、
「あ、ショ、彰吾? いきなりデ、迷惑デしたカ?」
未だに彰吾の膝の上に座っているアーニャが彰吾に言う。彰吾はアーニャの頭を優しく撫でる。
「いや、そうじゃないよ。アーニャ。会えたのは嬉しいけど、内容がアレだっただけでね、気にしなくて良いよ」
彰吾に言われた瞬間、パァーっと笑顔になり、また彰吾に抱きつくアーニャ。
その光景を見せられ続けられた俊と杏華は彰吾達に近付く。
「どうも、彰吾さん。所でその軽い女の人は誰ですか?」
と突然牽制混じりの発言を彰吾とアーニャに言う杏華。アーニャは杏華の方を向いて、ニコッと笑う。
「あー、この子は――」
「アンナ・フィリア・レームでス。宜シくお願いしまス。後、私は軽クありませン。重クも無イでス」
彰吾が言おうとした瞬間にアーニャが先に挨拶した。彰吾の膝の上で。
「そこ、退いたらどうですか?」
「彰吾ガ邪魔ダと言エば、直グにでも退キまス」
とお互いに微笑みながら牽制し続けるアーニャと杏華。
「あー、アーニャごめん。少し話したい事があるから退いて貰えると助かる」
と言った瞬間、アーニャは片頬を膨らませながら睨んでから、彰吾の膝の上から退いた。
「そこのテーブルに座ッてますネ。彰吾」
ニコっと笑ってから、少し離れたテーブルに移動したアーニャだった。
アーニャが離れてから、彰吾は二人の方を見ると、俊は殺意に満ちた表情で彰吾を睨み、杏華は微笑んではいるが、何か違う微笑み方をしているのが彰吾には分かった。
「いやな? 突然な? 来たのよ? そこまで予測できると思うかね? ん?」
弁解をする彰吾に二人は、
「彰吾」
「判決を言い渡します」
彰吾に指を指しながら二人は、
「「ギルティ」」
と息を合わせて言った。いや、ホント仲いいなこの二人。と彰吾は思った。
それから先程、俊達にあった事を彰吾に話す二人。
「……なるほどな。相手は強化アーマーか……」
「厳しいか?」
「厳しいも何も、身体能力的に勝てる訳が無いからなぁ……それに俊の持つ武器自体がどこまで通用すかどうかも、俺には検討がつかないしな」
「そうか……だけど、なんとかならないか?」
「……もう一回ユニーク武器を見せて貰っても良いか?」
言われた俊はユニーク武器一覧表を開示して、彰吾に見せる。
「……ジャミング系統の武器は、いや。対策済みだろうな……。高火力で押し切るにも、身体能力の差が大きく出て、あまり効果は無いな……」
と、下に指でスクロールしながら一覧を見ていると、俊の目を引く物を二つ見つけた。
「彰吾、これなんかはどうだ?」
俊が手を伸ばし、過ぎてしまった所を戻す為に上にスクロールして、彰吾に見せる。
彰吾は俊が選んだ二つの物の説明を読む。
「……この武器はかなり厳しいな。けど、使いたいのか?」
「あぁ、なんかこれで行けると思う。で、どうだ? これなら強化アーマーは倒せるか?」
「行けると思う、が。かなり厳しいのは覚えて置いてくれ」
「行けるなら大丈夫だ」
自信満々で言う俊にはぁ……と一つため息を着く彰吾。
「なら、そのための作戦を練らないとな。賢次にも話そう」
「了解」
話が一段落ついた所で、
「しょーごッ」
と言いながら後ろから抱きついてきたアーニャ。それをみた二人は彰吾を睨む。
だが、俊ははぁ……とため息を着いてヤレヤレという表情を浮かべていた。
「まぁ、いつもの事か」
いつもならキレる俊だが、今日は珍しく直ぐに切れなかった。彰吾はどうしたのだろう? と思った。
「そういやぁ、言えなかったら良いんだけど。その手紙なんて書いてあったんだ? 読み終わった時、落胆しているように見えたから」
「あぁ、これか。これの内容がな」
やぁ、彰吾君。久しぶり、お爺さんの事は災難だったね。お爺さんには私も本当にお世話になったからね。ところで、そちらにウチのアーニャが行くんだけども。高校はね、第1東都高等学校に編入する形になったんだ。まぁ、この手紙を読んでいると言う事は、既にアーニャはそこにいるのだろう。と思う。ウチのアーニャを宜しく頼む。今度ロシアに来た時にはボルシチとか、ご馳走しよう。後、何だが……私はね君の事を息子の様に思っているよ。だからね、いつでもアーニャとの間の子供は大歓迎だよッ!!
「っと、手紙に書いてあったからだ」
それを聞いた俊は彰吾を見て、
「彰吾」
「ん?」
「死ね」
「えぇ……」
まさかの手の平クルーされた彰吾であった。
つづく
すみませんでした。としかいえないです。
本当に大変長らくお待たせしました。
次回はまだ、未定です。早めの更新が出来るようには心掛けます。
ありがとうございました。




