十九話 放たれた悪意編 Ⅸ
大変遅れて投稿、二ヶ月ぶりですね。皆さん。
神蔵です。忘れた方どうも、帰ってきました。おっと、間違えました。
待ちに待った時が来たのだ。多くの時間が犠牲で無かった事の証の為に、再び欠超の理想を掲げる為に、星の屑成就のために! なろうよ、私は帰ってきたァァァァァァ!!
です、ガンダム好きですよ。ジーク・●オンです
俊の持っていたブレードの刃が長くなり、それを鞭の様に扱う。
マスクはそれらを避けながら俊に近付き、攻撃を仕掛ける。
その攻撃を俊は受け流して体術を入れてマスクを迎撃して、距離を有る程度置いてからブレードで攻撃した。
今までの流れを見ていた彰吾と深月、沙由莉の三人は俊を見守っていた。
だが、深月と沙由莉は目を丸くしながら今目の前で起きている光景に驚いている。
「え……、宮下さんって、あんなに……強かったん、ですか?」
驚きの光景に口に出してしまう沙由莉。
「あぁ……、少なからず、俺よりは……強いぞ」
「じゃあ、何で今まで隠す様にしてたんですか?」
深月の言葉に彰吾は口を閉じる。
「それは……俺からは、詳しく……は、言えないが、俊は色々あるんだ……」
深月に支えられながら、氷壁内で俊を見守りながら言う彰吾であった。
マスクは今の状況が楽しくて楽しくて仕方がなかった。
「フフフ……」
楽しさのあまり、口に出てしまう程マスクは楽しんでいた。
「笑ってんじゃねぇよ、キメェな」
言いながら俊はマスクと少し距離を置いてから、ブレードを本来の長さに戻す。
「楽しいんだよ……!! よく考えたら、天月彰吾はあの時強化アーマーを着ていたから、俺と対等に戦えていたんだな。と思ったんだよ」
「そうじゃなくても、アイツは強い」
「いや、お前の方が強い……! お前がここまで来るのに、刺客と会ってる筈だ」
「……」
「気になってな。この戦いの中、調べさせてもらったら……どうだ。見事に刺客を完封してるじゃないか」
「それがどうした?」
「刺客の奴らはA+なんだよ、お前や天月彰吾が到底勝てる相手では無いんだよ。だが、それをお前は、完膚なきまでに倒し、情報を聞き出していたな」
「……」
この話を聞いていた氷壁内の三人、その中の深月は気づいた。
「だからあの時、『いた。が正しいのか』って言ってたんだ」
もしかしたら、と思っていた事が的中していた深月。
マスクはポケットから円形の物を取り出し、手のひらに乗せる。
すると、映像が空間に映し出された。
「これは、その時の映像だ。いや、何回見ても凄いよ」
俊は落ちた際に直ぐに態勢を空中で立直し、上手く床に着地をしてから一回転して衝撃を逃がした。
着地してから、辺りを見る俊。
すると、近くに人の気配が感じた俊はその方向を見る。
だが、そこには誰もいない。しかし、俊は人の気配を感じていた。
気配を感じていた俊だが、突然気配が消える。
俊は戦闘態勢を取り、辺りを警戒する。
すると、背後から殺気を感じた俊は直ぐにその場から離れて能力を使う。
衝撃波を使い、殺気の感じた場所に向けて放つと、
「うぉっと! ふー、あぶねぇあぶねぇ」
と、言いながら男が突然姿を表した。
俊は警戒しながら男を見ていると、男はフフと鼻で笑う。
「よく俺の攻撃から避けられたなぁ?」
「気配ぐらい消せ。雑魚が」
男の発言に俊は強く返す。
俊の発言にムカついたのか、表情が変わる。
「ランクB風情の雑魚が……」
男はナイフを腰から二本取り出して装備する。
「このA+の俺様に……」
横に移動しながら俊に言う。
「盾突いてんじゃねぇよ!!」
男は一気に俊に近付き、持っていたナイフで俊を切ろうとした。
ナイフを振り下ろし、俊に当たる瞬間に男の視界から俊が消える。
気づいた時には男はうつ伏せで倒れていた。
「――!?」
何が起きたのか分からない男は起き上がって状況を確認しようとする。
だが、足に痛みが走り、何だと思い足を見る。
「は? 何だよ……これ!!」
自分の足を見て驚愕する。
「何で、俺の足が変な方向に曲がってんだ!!」
男の両足は折られていた。
右足は脛から斜めに曲がり、左足は膝が有り得ない方向へ曲がっていた。
意識した瞬間、突然激痛に襲われる男。
「あああああああああああああああああ!!!!」
突然の激痛に声を上げてしまう、そんな中男の前に誰かが立つ。
男はその正体を見るために、激痛が走りながらもその正体の顔を見る。
「テメェかぁ……!!」
「……、今からお前の知っている情報と俺の言う事に答えろ」
男の前に立っていたのは俊であった。
俊は男の背後を取り、首筋に一撃入れて男を気絶させた。
そして、俊は男が逃げない様に足を折り男が目を覚ましたと同時に目の前に立ったのだ。
俊は男に見下しながら言う。
男はへッと笑い、唾を俊の足に吐きつける。
「誰が言うかよ! 雑魚がッ!!」
俊の目から光が無くなり、ゴミを見る様に男を見ながら男の後ろ襟を掴み壁に背中を預けさせた。
壁に預けさせると、男の両肩の関節にナイフを投げて突き刺した。
「ぎゃあああああああああああ!!」
俊の早技に反応出来ずに男は避ける事が出来ずに刺さる。
男はハァ、ハァ……と息を荒くして、正気を保とうとする。
そんな男に俊は男の腕を壁に付けてから足で腕を押える。
「俺の能力は衝撃波だ」
「そ、それが……どうした……」
「ちょっと力を入れれば簡単にこんな腕を折ることは出来る」
「――!!」
「お前の知っている情報と俺の質問に答え――」
「死ねぇ!!」
俊が男に聞こうと思った瞬間に、男に遮られてしまう。
その瞬間に、
「あああああああああああああ!!!!」
俊が能力を発動し、男の腕を折った。
男はまた激痛に襲われる。だが、折れた時に一時的感覚麻痺が起きて痛みが引いて行く。
俊はもう片方の腕を足で押える。
「もう一度聞く。お前の知っている情報と俺の質問に答えろ」
「……」
男は俊から目を逸しながら少し震えていた。
「お前が答えなければ、死ぬより辛いぞ」
「――!!」
俊の発言にビクッと反応して、ゆっくりと俊を見る男。
男は怯えながらも、ニコォと笑い。
「言うかばぁーか……」
完全に声が震えて上がりながら言う男にため息を一回付いてから、
「グッ……!! がぁあ……ぁあ!!」
もう片方の腕を折り、男は激痛に耐え抜き俊をどうだと言わんばかりに見る。
俊は右肩に刺さってるナイフを掴んで引き抜く。
「ぐぁあああ!!」
俊は男の肩の傷口に足を押し付ける。
「お? 傷口抑えてくれてんのか? サンキュー……」
「……、最近俺はこの能力の使い方を分かってきたんだ」
「で?」
「傷口向かって衝撃波を使うとどうなると思う?」
「は?」
「実演してやる」
言った瞬間に俊は傷口に向かって衝撃波を使う。
使った瞬間、右腕が震え出して一部が破裂した。
「あああああああああああああああ!!!!」
男はあまりの出来事と激痛に気絶する。
だが、俊は気絶した男能力を少し使って頬を叩き、起こす。
目を覚ました男は恐る恐る自分の右腕を見る。
「あ、ああ!! あぁあぐあぁがぁあ」
自分の腕を見て夢では無いかと思う男だが、激痛に襲われて現実だと確信する。
肩の関節にナイフを刺され、腕を動かす事が出来ない男。
発狂寸前の男にはぁ……とため息を付く俊。
「衝撃波を腕に流したんだ。それで腕の中で衝撃波を送り続けて逃げ場がない衝撃波は腕を破裂させたんだ」
淡々と男を見下ろしながら言う俊に、怯えながら旬を見る男。
「前まではこんなふうに衝撃波を溜めたり、送り続ける事が出来なかった。けどな」
俊は男の頭に手を添える。
「大機械祭での出来事の後、かなり特訓したし、あの事件で少し能力の使い方が分かったんだ」
「……、な、何をするつもりだ……!」
「腕を破裂させられるんだ。頭はどうだ?」
「ま! 待ってくれ!!」
「脳がシェイクされてグチャグチャになるだろうな」
「話す!! 話すからぁ!! だから、殺さないでくれぇ!!」
ハァハァ……と息を荒くして泣きながら言う男であった。
俊は男の頭から手を離す。
「話せ。この先の扉には何がある」
「こ、この先の扉の向こうは正面に一つの扉があって、後二つ扉がこの隣にある……」
「誰がいる?」
「酒井深月とペイルライダーだ……、だけど、ペイルライダーはいない……」
「なぜだ?」
「さ、さぁ……?」
男の発言に俊は直ぐに頭に手を添える。
「本当だッ!! 本当に知らないんだッ!! 信じてくれ!!」
男の必死さに嘘をついている様に見えなかった俊は手を離し、男を見下す。
「天月彰吾はどこにいる?」
「た、多分一番奥の部屋にいる、かも……知れない……」
「分かった」
そう言って俊はそのまま扉の向こうへ歩いて行き、扉を開けた。
「って、事があったんだよなぁ……」
と口元を歪ませながら言うマスク。
それを見ていた彰吾と深月、沙由莉。
「それがどうした?」
「いやぁ? ただ何でそのブレードを使わなかったのかなぁ? と思っただけだ」
「話す義理はない」
俊は一気にマスクに近付いて横にひと振りする。
だが、その斬撃はマスクに当たらず空を切る。
続けて攻撃をしようとするが、マスクが俊の腹部に蹴りを入れ、それを俊が防ぎ距離を取る二人。
「ハハハ、本当に凄いよ。宮下俊」
「黙れ」
「はぁ……、でも、楽しい時間は過ぎていくんだよなぁ……」
マスクが言うと、突如マスクの隣に毒生成と共に姿を消した長身の男が表れた。
「時間だ」
「分かってる。って事で宮下俊、ここまでだ」
長身の男が言うと、それに反応してマスク言う。
「行かせるかッ!」
俊がマスクに突っ込もうとしたが、マスクが俊に向かって手を向ける。
その瞬間俊は体を動かすことが出来なくなった。
「ぐッ……!! うご、かないッ!!」
「能力は進化する。俺も前まではこんな事は出来なかったからな」
動けない俊に向かって言うマスク。
「ざ、けんなよッ!! こん、なの……! すぐにッ――」
「止めておけ、それはお前の神経に直接繋げている。それを無理矢理切れば、お前の神経も切れる」
マスクの発言を聞き、俊は無理矢理身体を動かそうとしなくなった。
「……」
「動かなくて正解だよ、宮下俊。楽しませて貰った礼だ」
マスクは解毒剤足元に置いた。
「これはここに置いておくよ。んじゃ、そろそろ行くか」
「ああ、あともう少しだ」
「回収もしとくか、寄生糸のが楽だな」
マスクが言うと、俊が倒した部下二人が立ち上がりマスクの元へ向かっていった。
神経を来たはずなのにも関わらず動く二人を見て驚愕する俊。
「切られた神経を糸で繋げているだけだよ。あ、因みに俺達が出たあとにここに立てば屋上に帰れるから。またな、宮下俊と天月彰吾」
マスクは自身のマスクを外して素顔を見せる。
「今度はお前ら二人を殺す」
そして、部下合わせて四人が姿を消した。
姿が消えた瞬間、俊の体は自由に動かすことが出来た。
直ぐにマスクが置いた解毒剤を取り、深月の作った氷壁の近くに行く。
「深月!」
「直ぐに解除しますッ!」
能力を解除すると、氷壁の一部がパキンッと音を立てながら崩れる。
崩れた所から入り、解毒剤を一つ深月に渡す。
もう一つは沙由莉に渡した。
深月は凛花に解毒剤を飲まし、沙由莉は俊に渡された解毒剤を飲んだ。
すると、状態が良くなったのか凛花と沙由莉の表情が和らいだ。
それをみた俊はふぅ……と一安心して、その場に座り込む。
「あー、良かったー無事で」
「ですね。それよりも、俊……」
「ん? なんだ?」
「あの映像は……」
マスクの見せた映像の事を聞く深月に少し表情が険しくなる俊。
「本当の出来事だ」
「そうだったんですね……」
「ああ」
「でも、しゅ……、俊は、優しい……ので、大丈夫、です」
「……、お、おう」
何とも言えない空気になり、お互いに恥ずかしくなる二人。
「す、すまない、が……、そろそ、ろ行った、方が……良いんじゃ、ないか?」
ボロボロになった彰吾が間に入って言う。
「そ、そうだな!!」
「そ、その通りですね!!」
彰吾に言われ、俊と深月は動揺しながら立ち上がるとふと、目が合う。
「「アハハハハハ」」
「……、仲良いですね……」
解毒剤のおかげで意識はボヤけるが、一人で歩いて行ける程度まで回復した沙由莉が言う。
そして俊は彰吾を担ぎ、沙由莉と深月は凛花を二人で運び、マスク達が残した瞬間移動のポインターに立った。
すると、一瞬で景色が変わり元いた屋上に5人はいた。
その後、屋上周辺を捜索に当っていた警官が突然表れた5人を保護し、彰吾、沙由莉、凛花は病院へ即搬送された。
沙由莉と凛花は直ぐに体調が回復し、彰吾は顔の傷を手当してもらい退院。
退院後に沙由莉達の泊まっているホテル、久能が経営しているホテルでパーティーが開かれた。
最終日の見送りサプライズパーティーだったらしく、沙由莉、凛花、深月の三人は知らなかった。
そこに荷物を纏めた彰吾と俊がホテルに呼ばれ、最終日をそこで過ごす事になり、パーティーにも参加していた。
「俺正装好きじゃないんだよなぁ……」
「そこは呼ばれたんだし、後企業の社長とかが来るらしいからさ。さすがにな」
エレベーターに乗りながら俊と彰吾の二人が話す。
パーティー会場の50階に着くと、エレベーターの扉が開く。
開くと扉の左右に男性二人が立っていた。
「招待券か、入室書のご提示を」
「すみません、突然久能さんに呼ばれて参加何ですが……」
「申し訳ありませんが、招待券か入室書が無いと入れないのです」
「通してやってください」
入れない二人を見た長身の男性が警備の人間に言う。
「分かりました。では、どうぞ」
「どうも、ではこちらへ」
長身の男性の後に続く彰吾と俊、一体何が起きているのか全くわからない二人。
「あの、ありがとうございます」
有る程度歩いた所で長身の男性に言う彰吾。
「凛花お嬢様から言い渡されていたので、待っておりました。彰吾様、俊様」
振り返って二人に言ってから、丁寧におじぎをする長身の男性。
「私は久能に仕える者で、序列は1番のオースト・ネルソンです」
「初めまして、久能さんのお友達の天月彰吾です」
「初めまして、私も久能さんのお友達の宮下俊です」
「ご丁寧にご挨拶していただき、誠に感謝致します」
と笑顔で言うオーストであった。
「では、こちらへ。お嬢様達がお待ちになっております」
そう言うとオーストは赤いカーテンの様なのを広げて彰吾達を中に入れる。
すると、
「彰吾さんッ!」
言いながら彰吾に抱きついてくる沙由莉。
「うわッ!? さ、沙由莉!? ど、どうした?」
「心配だったんです! だって、Sランクの私達が倒れてそれで、人質に取られて只ひたすら殴られていたのを……」
今にも泣き出しそうな沙由莉に、彰吾は優しく頭を撫でる。
「大丈夫、俺はほら、こうして元気なんだし」
「でもッ!」
「あー、あとな沙由莉……」
「な、何ですか!? 私に何か出来る事があれば何でも言ってください!!」
いや、今この子何でもするって……言ったよね? それはアカン奴。と思った彰吾だが、ある物が当たり直ぐに我に帰る。
「胸……」
「え?」
「胸が当たってる……」
「あ……」
そっと、顔を赤らめながら距離を取る沙由莉は横目で彰吾を見る。
「えっち……」
「いや、何かごめ――」
彰吾は沙由莉に謝ろうとしたが、何故か沙由莉を見ながら黙っている。
どうしたのだろう? と思う沙由莉。
「あの、どうしたのですか? 何か付いてます?」
「――!! い、いや! な、何でも!?」
「正直に言ってください!」
と頬を少し膨らませて前屈みになり、腰に手を当てながら言う沙由莉。
アハハハー……と誤魔化す彰吾だが、誤魔化しきれず、
「あ、余りにもか、可愛くて……見とれてた……んだ」
彰吾の発言にボンッと言わんばかりに沙由莉の顔が真っ赤になり、数歩後ろに下がった。
そして、二人の間に変な空気が流れ始めた所に誰かが彰吾の肩に手を置く。
誰だと思い、振り返る彰吾。
「彰吾、殺していい?」
満面の笑みで言う俊がそこにいた。完全に俊の存在を忘れていた彰吾。
「ご、ごめん。俊……」
チッ! と舌打ちをしながら、睨みつける俊であった。
そんな俊に女性がぶつかる。
「あ、すみませ――深月か」
「そこは素直に謝った方が良いと思いますが?」
「はぁーあ、ごめん」
「はい、許します」
「……、綺麗なもんだな」
突然俊が褒めだし、それに焦った深月は戸惑う。
「は、はい!?」
「いや、綺麗だなって」
「い、いきなり、言われても戸惑うだ、だけですッ!」
「そうか?」
「そ、そうです!」
「そんなにかなぁ? 〝外の景色〟」
「だって! そんな――は?」
「綺麗じゃん、〝外の景色〟」
彰吾と俊のいる位置は丁度、外の綺麗な夜景を見るのに丁度良い位置であった。
深月はゆっくりと後ろを振り返り、窓から見える綺麗な景色を見る。
「……、確かに綺麗ですね」
「だろ?」
「……」
「何怒ってんだ?」
「怒ってませんが?」
冷たい目を俊に向けながら言う深月。
「いや、怒ってるって……」
「……、ダンスしてください」
「はい?」
「ダンスを一緒に踊ってくれたら許します」
「はぁ……、あいよ。でも俺ダンス出来ないと思うぞ?」
「私に合わせれば踊れますから」
そのまま、俊が「そうかなー?」と言いながらダンスをする為に、中央へ歩いていった。
それにしても俊は鈍感何だな。と思った彰吾である。
そんな彰吾の袖をそっと掴む沙由莉。
「わ、私達も踊りません……?」
顔を赤らめながら言う沙由莉の耳元で彰吾は、
「いいよ」
と優しく囁き、それを聞いた沙由莉は満面の笑みで彰吾の手を引いて中央へ向かう。
中央では深月と俊、そのほかの男女が優雅にダンスをしている。
彰吾と沙由莉は空いている場所を見つけ、そこでダンスを始めた。
彰吾と沙由莉は綺麗に足を運びながらダンスをして、俊と深月は俊が深月に付いていく様な形でダンスをしていた。
そして、ダンスを終え彰吾は一人テラスへ出て外の景色を見ていた。
「こんな所で何してるんですか?」
声の主を確認する為に彰吾は振り返る。
「彰吾さん」
「久能さん、今まで何処に?」
「本家に連絡と挨拶をしていたので」
「あぁーなるほど」
彰吾が言うと、冷たい風が吹く。
風が吹き終わると、凛花は彰吾に近づく。
「お隣、良いですか?」
「ええ、どうぞ」
彰吾は先程見たオーストの丁寧なおじぎを凛花にする。
「うむ、くるしゅうない」
「何処の殿様ですか」
凛花のボケを彰吾がつっ込み、顔を合わせる。
「プッ……」
「フフ……」
お互いに顔を合わせた瞬間に、笑いがこみ上げて来て笑う。
「フフフ……、でも、今日は本当にありがとうございました」
笑っていたのに関わらず、頭を下げてお礼を言う凛花にちょっと驚く彰吾。
「いや、むしろ無事で良かった」
「彰吾さん……」
「これからもよろしく」
言いながら彰吾は右手を凛花に差し出す。
凛花は頭を上げて、彰吾の手を取り握手をする。
「はい、私の方もよろしくお願いします。後、彰吾さん」
「ん? 何だ?」
「私の事は、凛花って呼んで下さい」
「分かった」
「それと、これはお礼です」
そう言って、彰吾の頬にそっと触れる様にキスをした。
その後、彰吾はキスされた頬を手で抑えて驚きながら凛花を見る。
「では、今夜は楽しんで行ってください」
それだけ言い残し、彰吾は一人テラスに残った。
「……、はぁ……、大胆だなぁ」
もう一度、綺麗な景色を見る彰吾。
次は負けない、お前を倒す。と思った彰吾である。
「彰吾さぁーん、こっちで皆と話しましょうー?」
「ああ、今行く」
そうして、彰吾達の沖縄旅行の最後の夜を過ごした。
PM 20 : 28 東京にあるビルのオフィス。
「源刻様、若があれを使ったそうです」
使用人の発言に、書類を書いていたペンを机の上に置いて眼鏡を取る。
「……、では、私も一旦戻るとするか」
「準備致します」
そう言って、使用人は部屋を出た。
一人部屋に残った源刻は、机の引き出しを引きその中にある一つの書類を見る。
「とうとう、戻ってきてくれるか」
その書類を机に出し、
「俊……」
と呟いた。
つづく
いや、本当に遅れて申し訳なかったです。
二ヶ月か……何回投稿出来たのでしょうね。人によってはかなり投稿出来た筈です。
そんな中、身内などに早く更新お願いしますと言われ、でも忙しく、PCが壊れ、テスト的な物。
そんな波乱万丈な日々でした。 しかし、それが人生ですね。
そして、投稿もひとそれぞれですね。
でも、忙しいのは変わらずです。投稿が遅れると思います。
多分二ヶ月は無いかと思います。いや、思いたいな……
では、長くなりましたが、皆さんお待たせしました。
そして、ありがとうございました。




