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欠陥と超能力者  作者: 神蔵 悠介
~放たれた悪意編~
18/32

十八話 放たれた悪意編 Ⅷ

遅くなってしまい、申し訳ございません。

テスト対策、仕事、リアルが忙しく書く気力を削がれていく日々でした。

しかし、それでもなんとか仕上げました。

では、よろしくお願いします。

 彰吾は脇を閉めて腕をボクサーが顎を守るように構えてから、股を占める。

 その後に全身に力を入れて攻撃に備えた。

 マスクの部下、ゴツイ篭手をはめた二人が一気に彰吾に近づく。

「まて」

 一言、マスクが言うとマスクの部下がその場で止まり、マスクの方を見る。

「その篭手をとって、これを代わりはめろ」

 マスクが二人にグローブを投げ渡し、それをキャッチする部下二人。

「その篭手で殴ったら流石に天月彰吾が直ぐに死ぬ。それはダメだ」

「……、それよりも我々は何と呼べば宜しいのでしょうか?」

「せっかく天月彰吾が名前をくれたんだ。マスク、と呼んで貰おう」

「了解です、マスク」

 部下の一人が答えると、二人はグローブをはめて彰吾に近づく。

 彰吾の前に立った部下の一人が軽く準備運動を始める。

 そして、準備運動が終わったのか彰吾を睨む。

「お前のせいで俺は捕まったんだ……!!」

 言いながら彰吾にボディブローを入れる。

「――ッ!」

 歯を食いしばってその一撃に耐える彰吾。

 だが、部下の一人のラッシュは止まらない。今度は、フックを彰吾の頬に当てる。

 その後、彰吾のお腹に蹴りをいれた。

 彰吾は数歩後退りながらも、防御の構えを崩さないでいた。

 数歩下がった彰吾に部下の一人は近づく勢いを使って、彰吾のお腹に膝打ちを入れる。

「ぐッ……!」

 さすがの彰吾もそれには耐え切れず、声を漏らす。

「覚えてるか? 俺の事」

 マスクの部下二人はフードを深く被っているせいで誰なのか判断出来ずにいた。

「……顔を隠す奴は俺はしらない」

「じゃあ、こうしたら分かるか?」

 部下の一人が一旦攻撃を止めて深く被っていたフードを上げる。

「――! お前……あの時のか……!」

「あの時はどうも、天月彰吾君……ッ!!」

 正体

を表し、彰吾の名前を言ったと同時に驚いて身体に力が抜けた瞬間に、ボディブローを入れた。

 だが、彰吾はギリギリの所でお腹に力を入れて有る程度威力を殺した。

 しかし、力が抜けてた分、今までよりも大きなダメージを負った彰吾は少し咳き込む。

「ゲホッ……、ハァ、ハァ……。銀行強盗の一人か」

「覚えてたのか、偉い偉……いッ!!」

 元銀行強盗犯は彰吾の太ももに回し蹴りをする。

「――ッ! な、何でお前がここにいる?」

「そりゃあ、助けて貰ったから、なぁ?」

 言いながら元銀行強盗犯はマスクの方を見る。

 この時、彰吾は思い出していた。沖縄旅行に行く前日の事。

 彰吾はテレビを着けながら自分の部屋で荷物の整理をしていた。

 その日は普通に天気予報など、彰吾にとってはどうでもいいニュースが流れていた。

 だが、突然スタッフの一人が女子アナウンサーに一枚の紙を急いで渡す。

 女子アナウンサーは紙に書かれた文を少し読むと、

『臨時速報です。30分前に起きた出来事で、犯罪を犯した超能力者を留置する刑務所と、その近くにあった一般の刑務所が同時に襲われました。これによ――』

 彰吾はその時、ぶっそうだなぁ……と思っていた。

「お前らだったのか……!」

「仲間を助けるついでだ。戦力になるなら、手に入れるさ」

 彰吾は睨みながらマスクに向かって言うと、マスクはそれに答えた。

「見境無しか――ぐッ!」

 言った瞬間に強烈な一撃を彰吾のに打ち込む元強盗犯。

 それを見たマスクはフフフと笑う。

「いい具合に強くなってますね」

「えぇ、御蔭様でッ!」

 マスクと話しながら右フックを彰吾の脇腹に打ち込む。

「ぐぅ……!!」

 脇腹はどうしようもなく、彰吾はモロにダメージを受ける。

 だが、倒れる訳にもいかず何とか精神を保ちながら立ち続けた。

 フーフーを息を荒くしながら、痛みをかき消す様に息を吸う彰吾。

「彰吾……さん……!!」

 顔色は悪いが、彰吾の名前を言う沙由莉。

 それを聞いた元強盗犯の一人が沙由莉の方を見てから、ニヤァ……っと笑う。

 そして彰吾の顔、お腹、背中などを攻め始めた。

 ただ耐える事しか出来ない彰吾はその攻撃に耐える。

「交代だ」

 マスクが元強盗犯に向かって言い、彰吾から離れてもう一人のごつい篭手をはめている人物にグローブを渡す。

 グローブを受け取ると、深く被っていたフードを取り顔を露にする。

「……、痴漢男……」

 彰吾が言った瞬間、膝蹴りが彰吾のお腹を捉えていた。

 あまりの急な出来事に直して、くの字に体がおり曲がる彰吾。

 だが、防御の構えだけは崩さぬようにしながら、口を開けてパクパクしている。

 元痴漢男は彰吾の前髪を掴んでから持ち上げる。

「ふむ、久しぶりです。元気そうで何よりで、すッ!!」

 彰吾の顔を殴り飛ばす、殴られた時に右眉毛の近くが切れて流血する彰吾。

 殴られ続けられたせいで顔の一部が腫れていた為、殴られた時に切れてしまった。

 口の中も切れていて、出血し口の中全体が鉄の味で広げられていた。

「あ、れ! か! らッ!! あなたを!! ずっっっっっっっっと!!!! ボコボコにしてやりたいと!!」

 元痴漢男は彰吾を殴りながら言ってから、バックステップして、

「思ってたんだよぉおおおおお!!!!」

 一気に近付くと同時に彰吾のお腹に掌打を打ち込んだ。

 あまりの衝撃と威力で、数歩後ろに下がって壁に背中を預ける彰吾。

 そのままズルズルと壁に背中を預けながら足から倒れていく。

 床に尻を付けると、元痴漢男が近付いて彰吾の胸ぐらと右肩を掴んで沙由莉のいる方、中央へ向かって投げた。

 投げられた彰吾は受身も取れずに床に身体を打ち付けて、ゴロゴロと数回転がる。

「彰吾……さん……!」

 ほぼ目の前近くにきたボロボロの彰吾を見ながら弱々しく言う沙由莉。

 彰吾は身体全体に痛みが走るが、床に手を付けて立ち上がろうとする。

 四つん這いになった所で息があがる彰吾。

「はぁ……っはぁ……」

 そんな彰吾に元痴漢男が近付いて、裏衿を掴む。

「ほら、立って……くださいッ!!」

 そう言いながら、彰吾を無理矢理立たせる元痴漢男。

 立ち上がると、防御の構えを取る彰吾。

 ニコっと笑ってから元痴漢男は彰吾に近付いてデンプシーロールをしながら彰吾を殴る。

「おら! おら! おらぁ!!」

 右左と交互に殴っていく元痴漢男に、ただ殴られる彰吾。

 それを見ている事が辛くなった沙由莉は歯を食いしばりながら視線を逸らす。

「一旦そこまでだ……」

 突然マスクが間に入り、攻撃を中断させて元痴漢男を下がらせる。

 立つのがやっとの状態の彰吾をみたマスクは彰吾に近づく。

「ここで、ある女の子のお話をしよう」

「……?」

 ボロボロになりながらも彰吾はマスクを見る。

「その女の子の名前は白川沙由莉」

「白……川、沙由莉……?」

「そう、白川沙由莉。今あそこに吊るされている女の旧姓だ」

 親指で沙由莉を指しながら言うマスク。

 その会話を聞いていた沙由莉は、

「止めて、ください……! その話し、はやめ、て下さい……!」

 苦しそうにしているが、本当に嫌そうに言う沙由莉。

「白川沙由莉は当時、四才の頃家族旅行中に交通事故に巻き込まれた」

 淡々と沙由莉の過去を話すマスク。

「トラックの信号無視による交通事故。不幸中の幸いか、母親は大怪我。白川沙由莉は骨折などで済んだ。だが、父親は死亡。せっかくの楽しい家族旅行が悲劇の出来事になってしまった」

 マスクは彰吾の周りを歩きだし、沙由莉は思い出したくないのか目を思っ生きり瞑り歯を食いしばっている。

「そして、母親はその事故で新たな子供を作る事が出来なくなった」

「……」

「その事故で莫大なお金は入ったが、父親が存在しない。莫大なお金はその父親の葬儀と白川沙由莉の今後の為に残した。それか――」

「止めてって言ってるでしょ!! それがわか――んぐ!」

 沙由莉はマスクの会話を断ち切る様に言ったが、逆に断ち切られてしまう。

 マスクが沙由莉の方へ手の片を向けると、沙由莉の口は何かに塞がれている様に話せなくなる。

「うっせぇ、黙ってろよ……」

 強制的に沙由莉を離せなくさせてから睨みつけて言うマスク。

 それを見ていた彰吾はマスクを睨みつける。

「おぉ、怖いねぇ……。でも、動けないだろ?」

「……ッ!」

 それがバレていた彰吾はギリッと口の中で歯を噛み合せる。

「話の続きだ。それから二年が経ち母親はある男性と会う。その男の名前は東堂とうどう祐治ゆうじその男と出会い母親は再婚をして、東堂と苗字になり、東堂沙由莉とも上手くやっていき幸せを掴み、順風満帆と行っていた。だが、」

 沙由莉の前に立つマスク。

「事件が起きた。会社仕事で海外へ出張する事になった東堂祐治は海外へ行った。だが、そこである事件に巻き込まれ人質として誘拐されている。そして、この事件はテロ行為による事でたまたま、あそこで起きた事件だった。そして未だにそのテロを起こした犯人は捕まってはいないのと、犯人とのコンタクトが切れて、生存確認が出来てない」

「……」

「誘拐して人質にした犯人を憎み、探している。それで東堂沙由莉は犯罪者を憎む様になった。とさ」

「……、何故、そん、な事を、知っ……て、いる?」

「調べたからに決まってんだろ、天月彰吾。あーそれと、爆弾師ボマー

 マスクは沙由莉の方へ振り返り、少し近づく。

「その事件を調べて色々分かった事があったよ……」

「……ッ」

 マスクを涙目で睨む沙由莉

「犯人がどこにいるのか、俺は知っている」

「――!! ど、どこに! い、るんで、すか……!!」

 予めマスクは口の拘束を取り、マスクの発言を聞いた沙由莉は苦しいながらもその話に食いつく。

 そんな沙由莉を見てニヤニヤと笑うマスク。

「教えてやってもいいが、条件がある」

「な、なん……で、すか?」

 マスクは沙由莉に近付いて拘束を解き、沙由莉を地上へ下ろす。

「天月彰吾を殺せ」

「――!! そ、そん、な事……でき――」

「殺さなかったら教えない」

 マスクの発言に握り拳を作り、マスクを睨む沙由莉。

「さぁ、早くしろ。念願なんだろ? 11年も恨み続けてきたもんなぁ~」

 歯を食いしばる沙由莉。マスクの言うとおり、沙由莉は11年間犯人を恨み続けながら犯人を探していた。

 だが、その犯人に関する情報が全くなくお手上げ状態であった。

 しかし、その犯人を知っているという人物が目の前にいる。

 これはどうしても知っておかねばならないと思う沙由莉だが、

「知りたいよねぇ? 知りたいよねぇ!!」

 煽る様に沙由莉に言い続けるマスク。

 沙由莉は正面に立っているボロボロになった彰吾を見る。

「……」

 後何回か攻撃すれば倒れてしまうであろうの状態の彰吾。

 沙由莉は犯人が知りたい。が、その為に彰吾を殺さねばならない。

 そんな事を簡単に出来る筈がない沙由莉。

迷うこと数分が立った。その光景にマスクは、はぁ……とため息を付く。

「……はぁーつまんね。いいよ、俺が殺す」

 いつまでも迷っている沙由莉に飽きたマスクは突然言い出す。

 沙由莉はマスクに空間爆破を行う。が、マスクは空間爆破を避けた。

「狙いがしっかり定まってねぇぞ? しっかり狙え、こんな風になぁ!!」

 マスクは沙由莉に手の平を向けると、沙由莉が吹き飛ばされる。

「沙ッ……由莉……!!」

 それを見ていた彰吾は沙由莉の名を言う。

「おいおい、人の心配をしてる場合か? 自分の心配をしろよ」

 そう言いながらマスクは彰吾に近付き右手を上げると、マスクの部下が使っていた篭手が装着される。

 彰吾は逃げようとしたが、立っているのが限界の彰吾に逃げることは出来なかった。

 そして、彰吾の目の前に立ったマスクは拳を振り上げ、

「死ね」

 彰吾に向かって振り下ろした。

 振り下ろした瞬間、物凄い音と同時に扉が突然吹き飛ばされてマスクはその方へ向く。

 なんだ? と思っていると、扉を壊した張本人が表れる。

「被害はゼロだな、よし」

「よし、じゃないです。これで向かい側に味方がいたらどうするんですか?」

「その時はその時さ」

「馬鹿ですね……」

「うっせ」

 突然扉を壊すなり、夫婦漫才を始めた俊と深月。

 その光景を見ていたマスクと部下は呆然としていた。

 だが、直ぐに異常だと判断した部下二人は一気に俊と深月に突っ込む。

「――! 俊!!」

「ん――うお!? あぶね!!」

 扉の近くにいた俊が先に狙われ、攻撃されたが俊はギリギリの所で避ける。

 もう一人の部下は深月近付いたが、何かを感じ直ぐに深月から距離を置く。

 それを見た深月は関心する。

『今の場面で引くとは強いですね……、もう少し近付けば氷漬けにしたのですが……』

 と思う深月は、

「俊、この二人相当強いですよ」

「……」

「……俊?」

 深月は部屋に入った瞬間に襲われ、部屋の中の状況を確認していなかったが直ぐに分かった。

 何故、俊が黙っていたのも分かった深月。

 ボロボロになった彰吾と病院にいる筈の沙由莉と凛花が部屋にいたのだがら。

「――!! 沙由莉! 凛花! 天月さん!」

 三人に向かって言う深月に対し、俊は黙っている。

「ふむ、宮下俊に絶対零度アブソリュート・ゼロの酒井深月か……って事は、奴らは倒されたか」

 状況を理解したマスクが口を開き、呟く様に言う。

「絶対零度は邪魔だな。こうしておこう」

 マスクは深月に手の平を向けると、

「――!? う、嘘です。か、身体が……動きません……!」

 立ったまま動くことが出来なくなった深月を見たマスクはフッ……と鼻で笑う。

「さて、宮下俊。お前一人だ」

「……」

「そして、ここに私の部下がいる。この二人は君を殺したがっているんだ、なので……」

 フフフと笑い、

「死んでくれ」

 マスクが言った瞬間に、部下二人が俊に一気に突っ込む。

「だ、ダメです!! 俊!! その部下二人はあなたよりも強い!!」

 動けない深月は持っている情報だけでも俊に伝えようと叫んだ。

 だが、深月の叫びも意味ないぐらいに俊が一歩も動けていなかった。

 深月は完全に出遅れていると思い、何とか身体を動かそうとする。

 しかし、動かす事が出来ず部下二人が俊に攻撃を仕掛けた。

「逃げて!!」

 思わず深月は俊に向かって叫ぶ。

 だが、叫んだが直ぐに言葉を失い今見ている光景に驚愕する深月。

 驚愕していたのは、マスクと沙由莉、深月であった。

 俊がマスクの部下二人を一撃で倒したのだ。

 まさかの出来事に言葉を失う三人。

 何が起きたのか分からず、驚いたまま硬直していると、

「出し惜しみはしない……」

 俊が言い出し、後に手を回して腰に装着してあった、皮で作られたマガジンポーチの様な物から刃の無いナイフの様な黒い柄を持つ。

 刃のないナイフの黒い柄を持ってマスクに向かって走り出す俊。

 それを見たマスクはフフ……と笑う。

「その鈍器で私を殴打するきか?」

「……」

 俊は無言のままマスクに突っ込み、ため息を付くマスク。

「馬鹿だな……。その短さでは私に届く前に殴る」

 マスクが忠告をするが、それを聞いても無言でマスクに突っ込む俊。

 そして、俊が刃の無い黒い柄を振りかぶる。

 それに反応してマスクは俊に殴ろうとしたが、

「伸び!?」

 突然柄から黒い平べったいのが表れた。

 マスクはそれを避けきれず、マスクの斜め左の部分を切られた。

 俊はそのまま振りかぶった勢いを使って、一回転すると同時に回し蹴りをマスクの胴に入れる。

 回し蹴りを受けたマスクは後退させられ、床に片膝を着ける。

 俊は持っている黒い平べったい物を逆手持ちにしていた為、器用に手元で回して持ち替えた。

「誰も、鈍器とは言ってないが?」

 マスクは俊に切られた箇所を抑えて、立ち上がる。

「……、収納型の簡易ブレードか……」

「舐めてると痛い目に会うぞ?」

「ほざけ」

 マスクは一気に俊に突っ込み、距離を縮めた。

 俊は即座に構えてマスクを迎え撃つ様にブレードを収納する。

 ブレードの間合いに入った瞬間に俊は収納されたブレードをマスクに向かって振る。

 マスクは俊のブレードの持ち方を確認する。

 俊は逆手持ちをしてはいない、それを考えるとブレードの刃は収納された所から出るはず。

 と思ったマスクは俊に攻撃をしようとした。

 だが、直前の所で俊は腕を捻って殴る様にブレードを振った。

 その瞬間に逆方向からブレードの刃が表れ、マスクの胸部の辺りを切る。

 しかしマスクの胸の服が少し切れたぐらいしか効果が無かった。

 俊は振りかぶった勢いを使って、半回転して回し蹴りを再度マスクに放つ。

 マスクはそれをガードした。

 が、この時俊は自身の能力を発動していた。

 その為、ガードしたが真横に吹き飛ばされて、飛ばされた先にあった鉄パイプなどの工事材料の余り物に激突する。

 マスクが激突すると、砂煙が立ち上がりそれを確認した俊は直ぐに彰吾の元へ駆け寄る。

「彰吾!!」

「しゅ……ん」

 彰吾の名前を叫び、それに反応した彰吾が言うと彰吾は膝から崩れた。

 俊はそれを正面から受け止め、腕で彰吾の身体を支える。

「ひ、ヒーローは……遅れ、てやって……くる、って奴か……?」

「そうじゃねぇって」

 ボロボロになりながらも冗談を言う彰吾に優しく言う俊。

「……、すまん」

「何がだ?」

「ブレー……ド」

「気にすんな、俺自身で決めた事だ」

「そう……か」

「あぁ」

 話していると深月が二人に駆け寄る。

「天月さん! 大丈夫ですか!!」

 彰吾は深月にニッ、と笑って親指を立てた。

 それを見た深月は少し笑い、優しく彰吾を見つめた。

 そんな事をしていると、マスクが吹き飛ばされ激突して残骸となった余り物が激しい音を立てて残骸を吹き飛ばす。

 その光景を見た俊は真剣な表情で深月を見る。

「深月、彰吾と東堂さんと久能さんを守ってくれ」

「……、分かりました」

「ありがとう」

 そう言って俊は彰吾を深月に預けて立ち上がる。

 深月は彰吾に肩を貸してそのまま、沙由莉と凛花のいる場所へ向かう。

 直ぐに沙由莉と凛花の元へ着くと深月は彰吾を床に下ろして俊の方を見る。

「俊……!」

「ん? 何だ?」

「が……」

「が?」

 顔を真っ赤にしてモジモジしている深月をどうしたんだ?と思いながら見る俊。

「頑張って……」

「――あぁ……!」

 少し驚いたが俊は笑顔で深月に向かって言った。

 深月は目の前に分厚い氷の壁を作り、防御に備える。

 そして、煙の中からマスクが表れた。

「凄い、凄いよ……! 宮下俊……!!」

「良かったな」

「良かったよ……! 実に、イイ!!」

 バッと両手を広げて言うマスクに俊はマスク下の姿に驚愕する。

 顔の皮膚が酷い火傷の傷で色が変色しており、瞼が存在していなく眼球が飛び出している様に見えた俊。

 驚愕している俊に気づいたマスクは何に驚いているのか分からなかった。

「あぁ、これか」

 マスクは驚いている原因が分かり、俊に切られて素顔の部分を左手で隠す。

「醜いだろ? 今の時代なら、こんな傷跡形も無く治せるんだがな……」

 左手を退かすと切られた筈のマスクの一部が直っており、マスクは右手で彰吾に指をさす。

「そいつのせいで付けられた傷なんでね。忘れない様に、と残している訳」

「……! お前、まさか……」

「ん? 俺の正体に気づいた?」

「彰吾からは話は聞いていた」

「そうか。でも、今は天月彰吾何かよりも……」

 マスクは戦闘態勢をとり、それをみた俊は構える。

 構えた瞬間、マスクの姿が消えた。

「お前の方が面白い……!!」

 突然背後から声が聞こえたが、既に遅く一撃受けてしまう。

「ぐぅ……!」

 俊は直ぐにマスクから距離を置いてからブレードの刃を展開させた。

 マスクは俊を見てから、手のひらを天井へ向ける。

「いつまで寝てんだ? さっさと起きろ」

 その瞬間、左右からダウンさせた筈の部下二人が挟撃してきた。

 俊はまたも、二人を同時に捌く。

 元銀行強盗犯には腹部に蹴りを入れ、元痴漢男にはブレードの柄で殴打。

 挟撃してきた二人だが、すぐに倒されまた地面に寝る。

 俊はマスクを見るが、マスクはフフフ……と笑っている。

「部下は倒したぞ。お前だけだ」

「そうか? それらはしっかり動くぞ?」

「それら、だと?」

「あぁ。ほら、起きろ」

 マスクは天井に手のひらを向けた状態で指を動かすと、倒れている部下二人が人間では到底出来ない動きをしながら俊を襲う。

「――!? くッ……どういう!」

「俺の能力だ……。殺さないとそいつらはずっと動くぞ?」

「……、そんな事か」

「なに?」

 俊はブレードを元痴漢男の腕と足を切り、元銀行強盗犯も同様に腕と足を即座に切った。

 切られると、部下二人がその場に倒れた。

「殺さなかったら、また動くぞ……。――!?」

「どうした? 早く動かして見ろよ」

「……、何をした?」

 余裕を見せながらマスクに歩きながら近づく俊にマスクは聞く。

「腕と足の神経を切った」

「そういう事か……。面白い」

 フフフと笑いながら、ポケットから黒い手袋を取り出したマスク。

「本気で相手してやろう」

「雑魚の言うセリフだな」

「なら、雑魚に殺されるんだな」

 俊はマスクに向かって掌打をしてから、能力を発動して衝撃波を飛ばす。

 マスクはそれを避けてから俊に突っ込む。

「どうやら、天月彰吾よりお前の方が強いみたいだな……」

「それがどうした?」

 戦いの中、二人は会話を交わす。

「いや、心底何で俺はあんな奴に負けたのか分からずイライラする」

「お前が弱いんだ」

「ほざけ」

 言った瞬間にマスクが俊の腹部を蹴り、俊はそれを後ろに飛んで威力を弱める。

 そしてそのまま、片手でバク転をして距離をとる俊。

「お前を殺せば、そこで氷の壁の内側にいるアイツらも出てくるだろう」

「それはねぇな」

「何言ってんだ?」

「俺はな普段本気で怒る事は無いねぇんだよ」

 俊はブレードの刃を収納させて、柄を床に向けて言う。




「だけどな……」




 ブレードの柄を強く握る俊。

「親友をここまでボコボコにされて……!! 黙っていられる程、大人じゃねぇんだよッ……!!」




 すると、ブレードの刃が表れそのまま床に落ちる。

 俊はブレードの持っている腕を振ると、ジャラジャラと音を立ててブレードの刃が宙を舞う。

 ブレードの刃が長くなり、俊をそれを鞭の様に扱う。

 そのまま俊はマスク目掛けて腕を振る。

 マスクはその攻撃を避けると、マスクのいた床がえぐり取られる様に切られていた。

「テメェはただじゃおかねぇ!!」




「そうこなくちゃなぁッ!!」




 マスクを攻撃の合間を縫って俊に近付き、俊はそれを阻止してから攻撃をする。




「クソ野郎がああああああああああああああ!!」




 叫びながら攻撃する俊であった。




 つづく

今度整体行って、体をほぐして来ようと思います。

少し疲れとかたまってたりとかですかね。それに書く気力の低下は正直まずいです。

私の作品自体一話が長いので、その分書く気力を失えば絶対に書かなくなると思います。

それを回避する為に、はい。行って来ようと思います。……、いわゆるこれはスランプ?とかなんかですかね?

まぁ、気持ちの問題が一番だと思いますが。

さて、こういう悩みに困ってる方は、気分転換をしましょう。

書く気力がなくなったときは、気分転換してました。それで仕上げる事ができました。

では、長くなったのでこの辺で。

ありがとうございました。

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