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umbrella  作者: 雪野 葵
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蔵本理美


 双子たちとお別れをし、わたしは走った。


 あの子たちのように、強くなりたい。

 本気でそう思った。

 だから、わたしはこうして走っているんだ。

 会っても傷つくかもしれない。

 でも、どうしても会いたいから。

 たくさん傷つけてしまったけれど、もう一度会って伝えたいから……


 雨はさっきよりもひどくなり、スニーカーが中まで濡れた。

 体温が奪われ、息が上がる。

 けれど、視界にまだその人は現れない。

 人混みと傘のせいで、誰が誰だか全然わからない。

 こんな状況で会えたら、きっと奇跡に近いだろう。


 色んな場面が頭の中をよぎる。

 あの人がわたしのために叱ってくれたこと…

 苦しいときや悲しいときは、真剣にわたしの話を聞いてくれたこと…

 なのに、時々、あの人の叱ってくれたことが素直に受け止められなかった。

 叱る意味を理解しないで、突っ返すように怒ってしまった。


 本当にごめんなさい。

 今ならほんの少しだけ、あなたの気持ちがわかる気がするんだ。 


 空はまだ泣いている。

 泣いている空とあなたがなんだか似ている気がした。

 ふいに、今朝の悲しそうな顔を思い出して、胸の奥がズキッと痛んだ。


 急がないと、あの人がいなくなる前に…


 もし、想いを伝えてしまえば、傷つくかもしれない。

 後になって、あの決断は正しかったのかと後悔するかもしない。

 でも、いつかは、わたしは決断しなければならない。

 そうして、自分の気持ちや彼の気持ちと向き合わないといけないのだから…


 「……あっ…」


 視界にずぶ濡れのあの人の姿…


 「…っ、瑠依!」


 一瞬、ビクッと体を強ばらせた。

 けれども、振り向かずに、歩いていってしまう。

 まるで聞こえてないように、平然と…


 「瑠依、待って!風邪引いちゃうよ

 ねぇ、話を聞いてよ」


 もう、届かないの?

 わたしの声も、手も、痛みも、全て…


 「……ばかっ」


 ぼそっとつぶやいた。

 その声に、目の前のあの人はまた肩を震わす。

 わたしは傘の柄を握り締めて、走り出す。

 彼の肩をぐいっと引っ張り、少しつま先立ちをして、耳元で小さく囁く。

 何年もの想いを届けるため、逃げ出したくなる衝動を抑えて、伝える。


 伝え終わった後のあなたの顔がとても驚いていて、焦っていて…

 そんな表情を見て、わたしはくすっと笑った。

 そうすると、あなたもすぐに目を細めて、笑い返してくれた。

 

 変わってないね、何もかも。

 



 いつも雨しか運ばないその存在は、この瞬間からわたしにたくさんの幸せを運んでくれる存在に変わったのでした。


 

 


 






 

 


 

 

 

 

 

 




結局、上手いラストシーンが思いつかず、ぐだぐだしてしまいました^^;


誤字・脱字、アドバイス等、お願いします>_<

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