見 え ま せ ん
注意:ジャンルは恋愛ですが正直どうでしょう
「今度一度会ってみませんか?」
その文字を見た男はガッツポーズをした。
男の名は佐々木純。
趣味のネットサーフィンをしていたところ、偶然一人の女の人と知り合った。
彼女の名は水井彩。
純と同じ趣味を偶然もっていた。
なので二人はメールでの話もよく合い、良い友達関係であった。
最近では電話の会話もよくする。
そんなある日、彩は純に会いませんかとメールをしてきた。
その文面に純は心を踊らせていたのである。
待ち合わせ場所は意外と近かった。
というより、二人とも近くに住んでいたのが真相である。
会う日の朝、彼が支度をしていると
電話が。
「もしもし」
「純?彩です!」
彩の声だ。透き通っていていい声だ。
「どうしたの?」
「いや…私、影が薄いから待ち合わせ場所であなたに私が見つけられるか心配なの…」
なんという配慮だ。そこがまた可愛い。
「安心しろって。俺が彩のこと見つけられないはずがないだろ!」
ちょっと格好つけて言ってみた。
「ふふっ…ありがと!また着いたら電話するね♪」
電話は切れた。
純の脳内メーカーは100%彩の文字で埋まった。
さて、そろそろ出発しようか。
お昼過ぎ、純は家を出た。
大通りの交差点に来た。信号には「南学校前」と書いてある。
ここが待ち合わせ場所だ。彼女はまだ来ていないようだった。
しかし、時間を過ぎても彩は来ない。しょうがなく、携帯で彩に電話した。
「もしもし?」
「じ…純です。い…今どこにいますか?」
「今私も交差点に着いたよ。そこから見えない?」
純は周りを見渡したが、それらしい人はいなかった。
「うーん、よく見えないな。どこにいるの?」
「えー、もっとよく見てよー!ここだよ!」
もう一度見渡したが、やはりそれらしい人はいなかった。
「…見えませんよ?」
「…」
しまった。怒らせてしまったかもしれない。
「あ、ごめんごめん!ヒントちょうだい!」
純は聞くと、
「しょうがないなあ…wもう2,3歩前に出れば見えるよww」と言われた。
純は2,3歩踏み出した
純が道路に足を踏み出すと同時に、走ってきた大型トラックが純の肩に当たった。
はっと気がつくと、純はその場に倒れていた。
おもむろに体を起こすと、
目の前に女の人がいた。
「彩さん…ですか?」
と思わず聞くと、
「よかったー!これで、私の事が見えましたね!」
(……「こ れ で 」だって?)
純は嫌な予感がした。
「見えたみたいですね。初めまして!」
透き通るような声で言うと、
透き通った彩はニッコリと笑った。